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#篠原悠希
「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ 第11回 イランの古典文学その1-2
「高名なるアルスラーン王(の大冒険)」の続き
☆☆☆
都市の城門の警備は厳しかったが、アルスラーンは幸運にもかれの正体を見破った隠れムスリムのタウゥースという人物の援けによって(隠れムスリムはいいやつ設定)、タウゥースの管理する門から入り込むことができた。タウゥースとその弟のカウゥースは、アルスラーンを匿い、エリアスという偽名で彼らのコーヒーハウスで雇うことにした。
問題は、ほかにもエリア
「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ第七回 麗しの都エクバターナの栄枯盛衰
歴史の砂に埋もれた古代の実在都市エクバターナについて、熱く語ります。
エクバターナといえば、一般の読者さまには田中芳樹先生作「アルスラーン戦記」の王国パルスの首都としての方が、知名度が高いのではないでしょうか。篠原も若き日に夢中になって読んだ名作「アルスラーン戦記」は中世の中東を想定したファンタジーですが、エクバターナという名の都市は、古代から中世のイランに実在していました。
エクバターナは、
「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ 第六回 ミトラ教について
ペルシア人の宗教は拝火教(ゾロアスター教)でしたが、国教としたのは最後のサーサーン朝からで、アケメネス朝からパルティア王国時代あたりまでは、伝統的な多神教も同様に信仰されていましたの。本書では太陽と契約の神ミトラ、水の女神アナ―ヒタ―、軍神ウルスラグナなどが言及されています。
支配層から庶民まで一番人気のあったのは、主神で創造神のアフラマツダ神よりも、善神ミトラ(ミスラ)神でした。太陽神であり、
「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ第五回 エジプトの迷惑な王様
今日はペルシアともマッサゲタイともあまり関係がないのですが😓
ヘロドトス・歴史より
古代エジプトで、もっとも広大な領土を拓いたというセソストリス王の子、プエロス王の話
神罰によって十年の間、盲目にされていたプロエス王は、十一年目に刑罰の期間が終わったので、自分の夫としか交わったことのない婦人の尿で目を洗うと治るという神託を授かった。
さっそく自分の妻の尿で洗顔したが、目が見えるようにならな
「マッサゲタイの戦女王」刊行記念 第三回 スキタイ人の怖い風習
「スキタイ族の首狩り・皮剥ぎ・頭蓋骨の杯」
青銅冶金に優れていたというスキタイ族は、紀元前七世紀まで遡る、騎馬民族でも一番古い民族で、ウクライナあたり……大雑把にいってヨーロッパとアジアの真ん中左寄りあたりからユーラシア大陸へと広がって行ったとか。
マッサゲタイ人やペルシア人も、アーリア人と呼ばれるスキタイ系白人種の分派であると長く信じられてきました。東洋の遊牧民、匈奴の祖先もスキタイという説が
「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ 第2回 騎馬民族の醍醐味
騎馬民族といえばなんといっても「後背騎射」英語では「パルティアン・ショット」と呼ばれる、馬を走らせながら後ろ向きに矢を撃つ神技弓技。
パルティア王国は紀元前247年-後224年にイラン高原とその周辺を支配した国で、正しくは「アルサケス朝パルティア王国」なのですが、場所がイランなのと、ペルシア人と近縁のイラン系民族なのと、前王朝だったギリシア系セレウコス朝からの文化的脱却を目指してアケメネス朝ペル
新刊紹介「マッサゲタイの戦女王」古代オリエントの戦記小説 第一回女王の名前
今年2冊目の単行本です。
紀元前6世紀、アケメネス朝ペルシア帝国の勃興期という戦乱の時代に、ペルシア軍を返り討ちにした中央アジア遊牧王国マッサゲタイの女王、トミュリス(作中名はタハーミラィ)の物語です。
当時カスピ海東岸から現在のトルクメニスタン一帯を支配していた、マッサゲタイ族については諸説がありますが、本書ではスキタイ系の遊牧民という見方を採用しています。
宗教的には、太陽神スーリヤを崇