徐横山曰仁先生の伝習録の前書(抄)
「先生は、全てを見透す驚くべき智見を持ちながら、気さくで明るく、格式ばったところの全くないお方である。
けれとも世間の人々は、先生の若かりし時、豪邁不羈の性格で侠客の間に出入りされた噂や、或いは詩文の世界に没頭されたり、かつては仏道や神仙の道に耽溺されたりしたことをもって、先生の主張に異を唱えた。皆、先生の主張をよく聞きもせず、訳もわからずただ、異を立て、奇を好むものとした。これは、先生が未踏の異域に砭謫(へんたく)3年に及び、困難の極みにも静かに徳を養い精神を練り、古学儒道