徐横山曰仁先生の『伝習録』の前書《続》

世の人々は、先生に直接お会いすることはおろか、声すら聞いたことがないにも関わらず、はなからバカにした態度をとり、怒りの心を燃やして、噂話の類を元に憶測して決めつけようとしている。しかし、そんな態度で本当のことが分かるだろうか?また、先生に付き従う人々であっても、先生の教えを聞きながら、往々その一を得て二を忘れ、或いは細かいことに捉われているうちにその本当の大切なところを見失ってしまう。

このままでは王陽明先生の教えの真意が伝わらないことを憂いて、世の人々に先生の教えの真意を知って貰いたいと思い、私(徐愛)は、いつも教えて頂いている内容を出来るだけ正確に記録し、それをまた他の門人同学の人々に示して、その意見を聞きながら間違いのないように正したものがこの記録である。どうか先生の教えの真意が曲がらずに伝わることを心から冀っているものです。
門人徐愛書す。

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