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【ミカタをつくる広報の力学】 #42 環境課題に取り組もう

今月は「環境月間」ということで、今回も環境の話。「環境課題への取り組み」について書きたいと思います。

前回は環境課題の「PR方法」について書きましたが、今回はその手前の「ファクトづくり」、つまり「取り組み」についてです。
環境PR初心者向けのザックリ解説なので、大雑把な部分はご容赦ください(笑)


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。


「脱炭素社会」と「SDGs」のおさらい

最近よく聞く「脱炭素社会」「SDGs」というキーワード。その2つはどう違うのか。いまいち分かりにくいので、ザックリと説明したいと思います。
ググって出てくる解説を超えるものではありませんので、知識のある方は読み飛ばしてください。

「脱炭素社会」というのは、二酸化炭素やメタン、フロンガスなどの「温室効果ガス」の排出を、2050年までに実質ゼロにしようという取り組みです。

2015年開催の「国連気候変動枠組条約締約国会議」(COP21)で採択された「パリ協定」に基づいています。
2020年の首相の所信表明演説でも、2050年までに温室効果ガスの排出ゼロを目指す旨が発表されました。

理由としては、「温室効果ガス」が排出されると地球の温暖化がどんどん進んでいくことで異常気象につながり、生物の活動に悪影響を与えるから、ということです。

「温室効果ガス」の主な発生原因は、ものを燃やしたり、エネルギーを消費したときに発生する、と考えると分かりやすいかもしれません。

一方「SDGs」(持続可能な開発目標)は、2001年の「MDGs」(ミレニアム開発目標)を元にして2015年につくられたものです。

「MDGs」は主に「ヒト」に関する項目が多く、環境に関するものは全8項目のうち「環境の持続可能性の確保」のみでしたが、「SDGs」では「13.気候変動に 具体的な対策を」、「14.海の豊かさを守ろう」、「15.陸の豊かさも守ろう」などに展開されました。

目標としては、2030年までに「SDGs」に掲げるゴール17項目を達成することです。

こちらの理由は人間を中心とした「循環型社会の実現」=「サステナビリティ」です。
ヒトに関する差別や貧困、健康や労働といった問題、エネルギーや環境における問題は、放っておけばどこかで行き詰まり、結果として人類の活動に悪影響を与えるから、ということです。

この2つを大雑把に比べてみると、「脱炭素社会」は温室効果ガスという環境問題に特化しており、「SDGs」は環境問題を含む人類の様々な課題に取り組んでいるようです。

逆に共通点を考えると、「今まで開発のために大量生産&大量廃棄で発展してきたけれど、つくるのも、使うのも、捨てるのも、いろんなものを犠牲にしてますよね」と気付いたということで、「少し節度をもって調整しましょうね」という結論に辿り着いたのではないでしょうか。


具体的な取り組みを考える

つまり全人類が、地球環境のことを考えて行動しなくてはならない、というルールで協力しましょうという時代。

そういう人たちに愛される企業になるには、率先して環境活動に取り組むという考え方が、ESGなどに反映されていて、スチュワードシップコードにも導入されたわけですが、それはまた別の機会に。

ここから「具体的に何をすれば良いのか」ということを考えていきます。
まず、数多くある環境課題の中で分かりやすいところをピックアップします。

①省資源、②廃棄削減、③環境汚染の抑止。

かなり大雑把ですが、この3つが実現できれば、環境負荷をかなり減らすことができます。

言い換えると、
①省資源 →「使う量を少なくする」
②廃棄削減 →「捨てる量を少なくする」
③環境汚染の抑止 →「環境に悪い素材は使わない」

ということです。

前回の「#41 環境月間を盛り上げよう」で取り上げた環境省の活動も当てはまります。
「てまえどり」は「食品ロス削減」を目的として、廃棄削減を進めた結果、省資源にもつながります。
プラスチック製カトラリーの削減は、プラスチック素材の問題はもちろん、
使い捨てにしないことで、廃棄削減や省資源にも効果があります。

これらをヒントに「環境課題への取り組み」を考えると、基本的には以下のような活動になってくるでしょう。

・「無駄をなくす方法」を考える
・「繰り返し使う方法」を考える
・「環境保全になる素材」を考える

例えば、プラスチック素材を紙やリサイクル素材に変える「脱プラビジネス」は、様々な業界で取り組まれています。食品を扱う業界では、賞味期限の近い商品を値引きするなどの「フードロス」対策が盛んです。
あえて「環境商材」ではなく、「取り組み」の方を書いてみました。

ビジネスベースではなく、社内での地道な取り組みであったとしても、ユニークであったり効果実績がある場合には取材対象になることもあります。


お勧めの具体策は「トレードオフ解決」

企業ごとに業界も個性も異なるので、抽象的で使い古された手法ですが、少し具体例を挙げてみようと思います。

「地産地消」の仕組みを考えると、輸送にかかるエネルギーを軽減できるので省資源になります。

「屋上緑化」などは建物表面の素材を植物に変更することで、冷暖房の効率を上げ省資源につながります。

「書類電子化」紙資源の削減もさることながら、今話題のDXとしてリモートワークを促進できればコロナ感染対策にもつながります。

これらは社内で取り組む内容で、散々実施されてきた活動なので今更感がハンパないですが、高い実績を上げられれば、もしくは業界で初めての事例となれば記事になるかもしれません。

また地道な活動は、「30%達成」、「50%達成」と、リリースを継続的に出し続けることで記事になることもあるので、諦めずに「継続は力なり」の精神で頑張りましょう。

使い古されてない手法の例も一つ。
私が個人的に期待しているのは、「トレードオフの解決」です。

環境省が実証実験中のプラスチックスプーンなどの有料化ですが、帰結するのはマイスプーンへの移行です。

ところが、レジ袋のマイバッグへの切り替えですら、衛生的に問題があると言われてきたので、口に入れるマイスプーンを持ち歩くというのは、さらに感染の危険度が増すでしょう。

このように環境課題には、コロナ禍をはじめとする様々な要因を背景にした「トレードオフ」が存在します。それを解決できるサービスが開発されれば、話題になるのは想像に難くないですよね。

調べてみたら、カトラリーのポータブル除菌ケースというものがあるそうです。いち早くノベルティとして展開できた店舗は、記事になるかもしれません。

トレードオフは他にもあって、フードロス対策のためのフードシェアリングにも衛生問題が付きまといます。
現金からの感染予防やキャッシュレスの推進で増えるプラスチックカードは、脱プラとは逆の方向に進みます。

これらのトレードオフを解決できるアイデアがあれば、結構大きな紙面を飾れると思うのですがどうでしょうか。


おわりに

前回に続き、環境テーマの続編として「環境課題への取り組み」について書きました。最後の「トレードオフ解決」は、ちょっとハードル高めの変化球。つまりライバルが少ないということです。

環境課題は社会受けが良い上に、アイデア次第で様々な切り口や施策に展開できるので、企業の個性に合わせて積極的にプランニングしてみてください。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。



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