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【ミカタをつくる広報の力学】 #57 PRとイベントについて考える

感染も弱まり、リアル集客も始まったので、今回はPRとイベントの関係について書きたいと思います。

PR向けのイベントというと記者発表が代表的ですが、販促などのイベントでも取材誘致が可能です。イベントがPRに使われる理由、情報拡散や取材誘致の方法にも触れていきます。


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。


なぜイベントはPRと相性が好いのか

PRでは、プレスリリースやオウンドメディアなどの情報媒体に載せて情報を発信する方法と、リアルで開催するイベントを通じて情報を発信する方法があります。

情報媒体を使った場合は、記者も現地に足を運ばずに済み、記事を書き起こすのも比較的手間がかかりません。最近のリリースでは、写真素材をダウンロードできるリンクを貼ってあり、とても気が利いています。

一方リアルイベントの場合は、現地に赴き、時間も手間もかけて取材しなくてはなりません。場所によっては半日仕事なり、取材する側にとってはとても非効率なことも。

それでもイベントの方が記事につながりやすいのは、抜群の臨場感があって、「画になる」からです。

テレビの取材ではレポーターを入れて、試食や体験などを交えて臨場感たっぷりに伝えてくれます。
リリースを元にした記事では同じ画像を使わざるを得ませんが、取材をすれば各メディアでオリジナルの画像を使うことが出来ます。

イベントのもう一つのメリットは「TPO」
つまり、時間・場所・場合を主催者側で統一することができるという点です。

メディアを含め、イベントに参加するすべての人が、同じ環境、同じタイミング、同じ条件下で、同じ体験をするので、感じ方に個人差はあるものの、起きている事実の認識にズレが生じません。

イベントは、それ自体が「ファクト」ということになります。だからPRと相性が好いのです。


イベントの種類は多種多様

イベントとひと口に言っても、その種類は様々。
社内で開催するインナーなもの、特定の参加者のみを対象として一般公開しないもの、マーケティングの一環として実施されるものなど、ターゲットも目的も多岐にわたっています。

ここでは、企業自身で開催できるレベルのイベントについて、代表的なものを紹介していこうと思います。
イベントの中にはネット上で展開されるものもありますが、リアルのイベントに絞って書いていきます。


【記者発表会 / カンファレンス】
広報に携わる人にはお馴染みの記者発表会。
新製品のお披露目や経営者からの方針発表など、メディアだけを招待して開催するイベントです。
最近はリモート開催が増えたおかげで、「複数の会見に同時参加できる」と評判のようです。

【式典 / セレモニー】
除幕式や落成式、表彰式など、成果を称えて儀式的に行うイベントです。
基本的には関わる人たちだけでも成立しますが、お披露目としてメディアを呼ぶことも多いです。

【体験会 / ワークショップ】
特定のターゲットを集めて、製品やサービスの体験をするイベントです。
機器類や食品の体験が多く、ローンチ後の製品の場合もあれば、実証実験などの場合もあります。
少し前に流行したのは、インフルエンサーを集めてSNSに感想を投稿してもらう体験イベントです。

【セミナー / 講演会】
基本的には受講者に向けて開催するイベントですが、場合によってはメディアを入れることも。
話題性のあるテーマについて開催した場合は、受講者が出口でインタビューを受ける場合もあります。

【展示会 / EXPO】
国際展示場などで開催されるビジネスショーに、ブースを構えて出展するイベントのことです。
業界別に開催されることが多く、来場者も概ね絞られているため、ほとんどの場合がマーケティング目的ですが、雑誌取材やテレビカメラが入ることも珍しくないので、戦略的に活用することもできます。

【街頭イベント / 店頭イベント】
店舗や街頭において、一般消費者向けに開催される参加型イベントです。
サンプリングや即売会などのマーケティング目的が多いですが、中には話題づくりを目的としたゲリラ的なイベントも。


イベントの取材誘致と情報拡散

イベント参加者とのコミュニケーションが目的であれば、上記のイベントを開催した時点でほぼ達成なのですが、ここでの目的はPRなので、さらにメディア露出やSNSでの拡散といった効果を狙いたいところです。

記者発表会やカンファレンスの場合は、来場者をメディアに限定して開催するので、本来的にメディア露出を目的としていますが、それ以外のイベントの場合は、一般の人を来場させることが目的なので、情報拡散の方法には少し工夫が必要になります。

儀式的なセレモニーの場合は、事前に業界関係メディアに案内状を送付することで、取材誘致することができます。その際は当日の式次第だけでなく、どんな画が撮れるかを記載しておくと誘致しやすくなるかもしれません。
一般公開できるセレモニーであれば、フォトスポットを用意するなど、来場者の投稿を促す企画も重要です。

体験会やワークショップは上でも書いたように、一般の人を参加させてSNSへの投稿を促すことで情報拡散が可能です。予めインフルエンサーをキャスティングしておくと、投稿を活性化できて効果的ですが、もちろんステマはNGです。
セレモニーと同様に、メディアに案内状を送付すれば取材誘致も可能ですが、「体験内容」を重視する点が異なるので要注意。
製品の体験会よりも、前例のない実証実験の方が、メディアに好まれる傾向にあるようです。

セミナーや講演会は基本的に受講者のみをターゲットとしているため、メディア誘致には比較的不向きなイベントですが、著名人が登壇する場合や、公共機関が後援に付いている場合は、取材が入ることが結構あります。
報道特性や利害関係などを考慮して企画を立てることで、戦略的な取材誘致が可能になります。

展示会でもセミナー同様に、著名人の起用や主催組織との関係性で取材を受ける場合もありますが、ブースの場所によっても露出可能性が変わるので、小間の位置が重要になってきます。

最後に街頭・店頭イベントですが、これは面白いイベントを企画するしかありません。インパクトのあるプレスリリースを出して取材誘致する、という正攻法でいきましょう。
企画の内容については、その都度書いていきたいと思います。


おわりに

今回は、PRのイベントについて書きました。
年末年始には年中行事も多くなり、行政主導の経済政策が実施されれば、リアルイベントがさらに増えるでしょう。

イベントを短期的な販促策としてではなく、PR施策として考えることで中長期的な効果が期待でき、費用対効果も上がりますので、ぜひPRイベントとして活用することをお勧めします。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。



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