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映画『ラストマイル』

仕事帰りに観てきました。

 

『ナミビアの砂漠』と違って『ラストマイル』は伏線が張りめぐらされた映画でした。
登場人物も多く、本音と建前が複雑にかみあわない。
「誰かのために」が消費されるえぐい現実。
わたしも消費者の暴力に加担しているんだと気づかされる。
傍観してませんか。
緻密な描写に圧倒される。


複数の含みがあり、置かれた立場で玉虫色に光る企業スローガン『すべてはお客様のために』。


あの意味はこうだったのか、と伏線回収しつつも、大事な場面では「わからない」を残しておく。
わからない気持ち悪さを残すわけは、「ああ面白かった!」でサクッと忘却させない余韻への導火線だ。
最善解を宙ぶらりんにするラストシーン。

 

他にどんなシナリオがあり、最終的にああいうラストに決まったのだろうか。
映画では根本の問題解決法を言わない。
「こうしたらいい」と答えを提示しない。
答えをすぐにほしがるわたしたちを、「本当はわかってるでしょう」と見透かされる気がする。

 



「ニュース離れ」という言葉があるそうだ。
理由はニュースを見ると落ち込み、気分が塞ぐから。
現実でできたニュースは暗く重い内容がほとんどで、明るい気持ちに一瞬で影を差す。

現実を生きるのはときどき、ものすごくくたびれる。
人生の休み時間は一瞬で、義務と責任を果たす時間はその何倍も長い。

現実から目をそらしてくれる気分転換って大事だ。
現実から目を背けないために、わざとときどき、目をそらすのだ。
現実から離れたフィクションを楽しむ時間は、くたびれる日々に効く。


フィクションの人たちに元気をもらって、また現実に戻っていく。
だれかに渡したいどんな価値にも、元気の元手がいるのだ。

 

映画館に行くと調子がよくなる。
二人や三人も楽しいけれど、映画館は一人で過ごすのがいちばん贅沢だと思っています。

 

連れていってくれて感謝だわわたし。
また連れていくよ。

 


 

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