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〈マロン×アプリコット×コニャック〉は至高のマリアージュ。もしかしたらこの〈ヴォージュ〉は、進藤史上最高傑作?


クリスマス限定商品〈ヴォージュ〉

シェフの進藤です。
今日ご紹介するクリスマスケーキは〈ヴォージュ〉。

こちらは昨年〈クリスマスの新作〉として販売し、大変ご好評を頂いたケーキ。
その為、「今年も販売して欲しい」と多くの方からご意見が。それを踏まえて熟考した結果、今年のクリスマスにも再び登場させる運びとなりました。ありがとうございます。

当店は〈違いの分かる大人向け〉な商品を販売している洋菓子店です。
当店のケーキ・焼き菓子は、〈複雑な味のハーモニー〉や〈複合した食感〉をテーマにしている物が多く、その細かなこだわりは、流石にお子様には理解できないものばかり。私の娘(小学生)が食べて、首をかしげるシーンをよく目にするので(笑)。
なので、私の売りたい物と、お客様の買いたい物とのミスマッチを避ける為、今では前もって〈当店の菓子は、違いの分かる大人向け〉と掲示しています。
とはいえ、現在当店のケーキに〈お酒〉は一切使用していません。

それは何故か?

実は、当店を始めた頃の私の菓子作りには、フランス パリでの修業経験から多少の洋酒を使うのが当たり前でした。香りを補う必要性を感じたケーキには、少量の〈洋酒〉ラム、ブランデー、キルシュ等を使っていて。ですが、日々の営業で売れ残るケーキを見ると、〈洋酒〉を使用したケーキが多くて…。統計を取ると、〈お酒〉を使っているケーキがその他に比べて避けられている事がわかりました。
私のモットーは〈臨機応変〉なので、そういった地域性に合わせる為に、代替可能であれば洋酒を使わず〈香料〉に随時レシピ変更して、今に至ります。
〈香料〉を嫌う方もいらっしゃいますが、〈洋酒〉にも物によっては香料が既に入っていたりして。最近の香料の技術は素晴らしいんです。結果、そういった経緯で、当店ではお酒を全く使わなくなりました。

ですが、今回の〈ヴォージュ〉を作るにあたり、どうしても使いたいブランデー〈コニャック〉には、残念ながら、その豊潤な香りを再現する〈代替可能な香料〉はありませんでした。
よって、このケーキに限っては、思いきって久しぶりに〈お酒〉そのものを使う事にした次第です。
もう営業を開始して9年も経ち、当店の事、私のケーキをご理解頂けるお客様が増えた今の状況なら、《洋酒入りのケーキ》もあの頃よりはご理解頂けるのではないか?と考えました(これは昨年の事なので大正解でしたが)。
お酒を使ってはいますが、ご安心下さい。私は、〈サバラン〉のようにお酒がたっぷり入っていて、アルコール臭がキツく感じるケーキは好みではありませんので。

洋酒の素晴らしい“香り”を楽しんで欲しいのです。

製造の過程で熱を加え、大部分のアルコールは飛ばしますが、やはり僅かなアルコールは残ってしまうので、やはりお子様向けではないですね。ご注意下さい。

少し話が逸れてしまいますが、普段、シェフパティシエとしてオリジナルケーキをクリエイトする身としては、〈憧れ〉はフランス菓子の超有名人ピエール・エルメ氏のようなパティシエ。そして〈目標〉は、彼のように新しいマリアージュを生み出す事。
具体的には、若い頃食べて衝撃を受けた〈プレズィール スュクレ〉→“ヘーゼルナッツ×ミルクチョコ×多重食感”や、〈イスパハン〉→“バラ×フランボワーズ×ライチ”等に代表される“素晴らしいマリアージュな菓子”を、私も生み出してみたい!と常々思ってはいて。

でもそれは簡単ではなく…

「いいのができた!」と思っても独りよがりな物だったり、「これは自分だけが美味しいと思ってるのかな…」と疑心暗鬼になったり。
私が得意なのは〈既存の複雑で素晴らしい味の組み合わせ〉を、糖分や量を調整、バランスを模索して〈至高の領域〉に近づける事。当店の〈リュクス〉〈ラフォレ〉〈メルヴェイユ〉辺りを召し上がって頂ければ、ご理解頂けるのでは?と思います。

そんな私でも、少ない数ですがオリジナルなマリアージュの〈成功例〉があるんです!

その1つが〈マロン×アプリコット×コニャック〉の〈ヴォージュ〉。
かなりの自信作。
ある意味、今のところ私史上〈最高傑作〉かも?

〈コニャック〉とは、フランスのコニャック地方で、白ぶどうから作られる高級ブランデーの事。コニャック地方で作られた物のみ〈コニャック〉と名乗る事ができるんです。ちなみに、有名ブランデーの〈ヘネシー〉や〈レミーマルタン〉はコニャックの銘柄になります。実はこのケーキに付けた名前、〈ヴォージュ〉もその1つ。

ではここからは、その〈ヴォージュ〉の詳しい説明と、そのオリジナルストーリーについて。

私は26才の時、生まれ育った大阪を離れ、東京品川の〈ラフォーレ東京〉というホテルに勤めました。そこで働き始めて1年程過ぎた頃、社を挙げた1大イベントとして、全国各地にあるそのホテルグループ社員による〈料理コンクール〉が開催される事になりました。勿論私も〈デザート部門〉に参加を表明。そういったコンクールに〈初挑戦〉する事が、とても嬉しかったのを覚えています。

テーマは〈秋〉

参加を決めてから書類提出までは余り時間が無く、更に仕事終わりのクタクタ状態での〈コンクールの試作〉は、思った以上に大変で。必死に、それまでに培った製菓の引き出しを開けまくり、ちょっぴり背伸びもしつつ、やっとの事で期限内に〈秋イメージのデザート〉をまとめ上げて提出しました。
そしてそれは、多くの社員による応募の中から見事に書類審査を通過。
その数ヶ月後、〈ラフォーレ滋賀〉に赴いての決勝実技が行われました。

その時に作ったデザートが〈マロン×アプリコット×コニャック〉の1皿。

夏の名残のアプリコットと秋を代表するマロンのマリアージュ。そして、その仲を高級ブランデー〈コニャック〉が取り持つ1皿。

20年以上も前の写真なので、ボロボロ(笑)

初めて〈自分の菓子〉で人と競い、勝つ為に知恵を振り絞った〈私の取っておきのマリアージュ〉。

〈マロン×アプリコット×コニャック〉

その思い入れのある味わいを〈ケーキ〉に仕立てたのが、今日ご紹介する〈ヴォージュ〉になります。

〈ヴォージュ〉の断面

構成は上から、コニャックのムース、マロンのババロワ、マロンビスキュイ(スポンジケーキ)2枚、アプリコットのジュレ(果実ゴロゴロ)、となります。飾りはピスタチオと金箔でゴージャスに。
一見重そうに見えますが、甘味・酸味のバランスの良い、とっても軽い味わいのケーキなんです。まさに「違いの分かる大人向けのケーキ」。

このケーキに限り、いつもの様にクリスマス明けにカット販売はしません。潔くクリスマスのみの御提供。よく言えば“幻の”的な(笑)。実際は、上記で述べた様に〈アルコール入りのケーキ〉があまり歓迎されないのでそのように(涙)。
気になった方は、是非ともこの機会を逃さないようにして頂けたらと思います。

因みに、上記のコンクールの結果は、残念ながら3位。ですが、その中の〈味覚審査1位〉だった事が、当時の私としては大きな大きな自信になりました。

〈何事もやらなければ見えない物がある〉

では、本日も論より証拠。
ご予約をお待ちしております。
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2023年11月21日現在、今はインスタのフォロワー様限定先行予約、その受付期間中。今年の予約状況は、1番人気〈ビュッシュ ドゥ ノエル〉、新作の〈テ ロワイヤル〉、そしてこの〈ヴォージュ〉に人気が集中しているとの事。
気になった方はお早めのご予約をお勧め致します。


その他のクリスマスケーキ詳細は、下記をご覧下さい。

〈ビュッシュドゥノエル〉↓

〈テ ロワイヤル〉↓

〈バスクチーズケーキAMF〉↓

〈バニーユ〉↓




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