『孟子』53公孫丑下―孟子と客人の対話 間に立つひと
孟子は斉を去ると、昼(ちゅう)の地に宿泊した。
すると、湣王のために、孟子を引き止めようとする客人があらわれ、座り込むと、孟子を説得しはじめた。
孟子は、それに答えることもなく、肘掛けにもたれかかり、眠ってしまった。
客人は不機嫌になって言った。
「私は、弟子のようにあなたを尊敬して斎戒沐浴して一晩置いてから、直言申し上げに来たのですよ。
なのに先生は、寝たふりをして耳を傾けることもなさらない。
ならば、もう二度とお会いすることはありませんね。」
そして、客人は立ち上が