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『孟子』55公孫丑下―孟子と充虞の対話(2)天を怨まず、人をとがめず
孟子は、斉を去った。
弟子の充虞は、道すがら質問して言った。
「先生、不機嫌そうなご様子ですが…。
以前、私は先生からこのような言葉をいただきました。
〈君子は天を怨まず、人をとがめたりしないものだ。〉」
孟子は言った。
「あの時はあのとき、この時はこのときだ。
五百年ごとに必ず、王者は出現するものだ。
そして、そのときには必ず一緒に、歴史に名を刻む臣下も出現するものだ。
周王朝が開かれて以来、七百年が過ぎた。
すでに五百年の周期は、過ぎている。
時間の経過を考えれば、とっくに王者が、出現していなければおかしいのだ。
だが、こうなっているのも天が、今はまだ天下が治まることを望んでいないからではないのか。
天下を平定したいとお望みならば、今の世において、私をおいて他に誰が、歴史に名を刻む臣下になれるというのだ。
私が、どうして天を怨んだり、人をとがめたりするものかね。
そんなことで不機嫌になっているわけではないよ。」
*以上、『孟子』55公孫丑下―、孟子と充虞の対話(2)天を怨まず、人をとがめず
*現代語訳に満足できず、『孟子』を漢文訓読で読みたいという人はこちら
【原文】
孟子去齊。充虞路問曰、「夫子若有不豫色然。前日虞聞諸夫子曰、〈君子不怨天、不尤人。〉」曰、「彼一時、此一時也。五百年必有王者興、其間必有名世者。由周而來、七百有餘歲矣。以其數則過矣、以其時考之則可矣。夫天、未欲平治天下也。如欲平治天下、當今之世、舍我其誰也。吾何為不豫哉。」
*この記事の訳は、原則として趙岐注の解釈にしたがっています
*ヘッダー画像:Wikipedia「孟子」
*ヘッダー題辞:©順淵
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