記事一覧
【ショートショート小説】 ワールドエネミー
生牡蠣色の雲が覆う空に、割れるようなジェット音が響き渡っている。
雲以外、何も見えない空間に、突然、太陽に照らされ一機のU18戦闘機が現れた。
「前が全く見えません。仲間の戦闘機も、目的の爆撃地点も…」
パイロットのリー・スパーク空軍大尉が無線で本部へ連絡する。
「何を弱気なことを言っている。とにかく、目的を達成するんだ」
スピーカーから本部の大佐からの声が聞こえる。
「わかりました…」
無線を切
【ショートショート小説】 コーラスグループ
三島家の長女、かなえを乗せたハイヤーは、大きな市民会館についた。
会館のターミナルに車が停車し、運転席に座っていたマネージャーの松野が素早く車を降りて、後ろのトランクから、かなえの大きなビトンのバッグを担いだ。
後部座席に座っていたかなえは、松野が開けた後ろのドアから大物の雰囲気を漂わせながら、ゆっくりと降りると、ポケットに入っていた、ペルソールの白い縁のサングラスをかけた。
「暑いわね」
5月中
【ショートショート小説】 レンタルビデオ屋の怪人
宇宙特捜隊隊員の権田茂雄…。
それは仮の名で、N93星から地球を守るためやってきたきた宇宙人「グルトラマン」は、テレパシーによって、ゾイド星人から指定された場所である、
インターネットの動画配信などにおされ、主な店舗は次々と閉店していっているが、その中でもしぶとく営業を続ける、中野のレンタルビデオ屋で奴を待っていた。
ゾイド星人はグルトラマンが地球で外から飛来してくる、怪獣たちを退治しているのを聞
映画「帰ってきたあぶない刑事」感想
あぶない刑事。
初めのドラマシリーズは流石に子供で、うちの9時就寝ルールがあったため、(放送は夜の9時だった)再放送のみで、リアルタイムでは見れなかった。
続編のドラマ「もっとあぶない刑事」から映画もっともあぶない刑事まではリアルタイム見ている。
この頃は日本テレビも刑事ドラマが多く放送されていて、(なぜか鹿賀丈史の濃い顔が思い出される)「ジャングル」その続編の「ニュージャングル」(ニューってな
今更、映画「首」についての感想(1)
「首」は「アウトレイジ最終章」から六年ぶりの北野武監督による映画。
北野武監督は前作から事務所の問題、その他、さまざまなことがあり、「首」は
環境が一変してからの新作映画で、ブランクや危うくお蔵入りになる可能性もあって、映画の出来には不安要素も多かったと思う。
しかし、この急激な環境の変化。関係者にとっては、なかなか迷惑であっただろうが、遠くで見ている人間にとっては、その年になってまで、同じと
【ショートショート小説】 国会答弁
午後6時。今日も首相のいい加減な国会答弁が終わった。
国民の半数が反対するスポーツイベントや、国際博覧会、大規模な葬儀などを、民主主義を死守するために実施すると言う。
政党と関わりのある宗教団体との関係を、切ると言うだけで何もしない。
人種差別発言をする議員を閣僚に加える。
重症者の増えた感染症におざなりな対応をする。
議員の裏金問題に自身の責任を取らない。
国会を開けと言う野党の声を無視する。
【ショートショート小説】 人形たちの物語
『こいつらと一体、いつになったら離れることができるんだ…』
アントニオは自分の部屋に勢ぞろいした使い古しのおもちゃ、
ガンマン人形のハレルソン、宇宙航空士のプラスティック製のおもちゃのメルヴィン、ソードを持ったプラネット侍の番、名前のない熊のマトリョーシカを見てため息をついた。
何度も「こんなもんいらねえ」と捨てては、
何度も家に戻ってきてしまう人形たち…。
「稲川淳二の実話系怪談かよ」
アン
「映画」マリウポリの20日間の感想
AP通信の記者による、ロシアのウクライナ侵攻から、マリウポリ壊滅の二十日間を追ったドキュメンタリー。もちろん、それは戦争の無慈悲なひどい現実を見せつけられる映画だ。
映画を見ていると、自分がどの程度のノリで見ようとしたのかを思い返してしまう。勉強のためか、興味本位か、ただの暇つぶしか…。
ジュースを飲んだり、ポップコーンなど食べながら見ている人も中に入るかもしれない。それが悪いとは言わないが、安