shimozu jin

shimozu jin

記事一覧

【ショートショート小説】 ワールドエネミー

生牡蠣色の雲が覆う空に、割れるようなジェット音が響き渡っている。 雲以外、何も見えない空間に、突然、太陽に照らされ一機のU18戦闘機が現れた。 「前が全く見えません…

shimozu jin
5日前
5

【ショートショート小説】 コーラスグループ

三島家の長女、かなえを乗せたハイヤーは、大きな市民会館についた。 会館のターミナルに車が停車し、運転席に座っていたマネージャーの松野が素早く車を降りて、後ろのト…

shimozu jin
7日前
2

【ショートショート小説】 レンタルビデオ屋の怪人

宇宙特捜隊隊員の権田茂雄…。 それは仮の名で、N93星から地球を守るためやってきたきた宇宙人「グルトラマン」は、テレパシーによって、ゾイド星人から指定された場所で…

shimozu jin
8日前
3

映画「帰ってきたあぶない刑事」感想

あぶない刑事。 初めのドラマシリーズは流石に子供で、うちの9時就寝ルールがあったため、(放送は夜の9時だった)再放送のみで、リアルタイムでは見れなかった。 続編のド…

shimozu jin
12日前
1

今更、映画「首」についての感想(1)

「首」は「アウトレイジ最終章」から六年ぶりの北野武監督による映画。 北野武監督は前作から事務所の問題、その他、さまざまなことがあり、「首」は 環境が一変してから…

shimozu jin
2週間前
1

【ショートショート小説】 国会答弁

午後6時。今日も首相のいい加減な国会答弁が終わった。 国民の半数が反対するスポーツイベントや、国際博覧会、大規模な葬儀などを、民主主義を死守するために実施すると…

shimozu jin
1か月前
3

【ショートショート小説】 人形たちの物語

『こいつらと一体、いつになったら離れることができるんだ…』 アントニオは自分の部屋に勢ぞろいした使い古しのおもちゃ、 ガンマン人形のハレルソン、宇宙航空士のプラス…

shimozu jin
1か月前
4

「映画」マリウポリの20日間の感想

AP通信の記者による、ロシアのウクライナ侵攻から、マリウポリ壊滅の二十日間を追ったドキュメンタリー。もちろん、それは戦争の無慈悲なひどい現実を見せつけられる映画だ…

shimozu jin
1か月前
3

映画「辰巳」 1

辰巳…。どれぐらいの規模かわからないけど、インディーズで予算が低いのは間違い無いだろう。しかし、カメラワークと熱気のある役者の演技などで、そのことはそれほど感じ…

shimozu jin
1か月前
2
【ショートショート小説】 ワールドエネミー

【ショートショート小説】 ワールドエネミー

生牡蠣色の雲が覆う空に、割れるようなジェット音が響き渡っている。
雲以外、何も見えない空間に、突然、太陽に照らされ一機のU18戦闘機が現れた。
「前が全く見えません。仲間の戦闘機も、目的の爆撃地点も…」
パイロットのリー・スパーク空軍大尉が無線で本部へ連絡する。
「何を弱気なことを言っている。とにかく、目的を達成するんだ」
スピーカーから本部の大佐からの声が聞こえる。
「わかりました…」
無線を切

もっとみる
【ショートショート小説】 コーラスグループ

【ショートショート小説】 コーラスグループ

三島家の長女、かなえを乗せたハイヤーは、大きな市民会館についた。
会館のターミナルに車が停車し、運転席に座っていたマネージャーの松野が素早く車を降りて、後ろのトランクから、かなえの大きなビトンのバッグを担いだ。
後部座席に座っていたかなえは、松野が開けた後ろのドアから大物の雰囲気を漂わせながら、ゆっくりと降りると、ポケットに入っていた、ペルソールの白い縁のサングラスをかけた。
「暑いわね」
5月中

もっとみる
【ショートショート小説】 レンタルビデオ屋の怪人

【ショートショート小説】 レンタルビデオ屋の怪人

宇宙特捜隊隊員の権田茂雄…。
それは仮の名で、N93星から地球を守るためやってきたきた宇宙人「グルトラマン」は、テレパシーによって、ゾイド星人から指定された場所である、
インターネットの動画配信などにおされ、主な店舗は次々と閉店していっているが、その中でもしぶとく営業を続ける、中野のレンタルビデオ屋で奴を待っていた。
ゾイド星人はグルトラマンが地球で外から飛来してくる、怪獣たちを退治しているのを聞

もっとみる
映画「帰ってきたあぶない刑事」感想

映画「帰ってきたあぶない刑事」感想

あぶない刑事。
初めのドラマシリーズは流石に子供で、うちの9時就寝ルールがあったため、(放送は夜の9時だった)再放送のみで、リアルタイムでは見れなかった。
続編のドラマ「もっとあぶない刑事」から映画もっともあぶない刑事まではリアルタイム見ている。

この頃は日本テレビも刑事ドラマが多く放送されていて、(なぜか鹿賀丈史の濃い顔が思い出される)「ジャングル」その続編の「ニュージャングル」(ニューってな

もっとみる
今更、映画「首」についての感想(1)

今更、映画「首」についての感想(1)

「首」は「アウトレイジ最終章」から六年ぶりの北野武監督による映画。

北野武監督は前作から事務所の問題、その他、さまざまなことがあり、「首」は
環境が一変してからの新作映画で、ブランクや危うくお蔵入りになる可能性もあって、映画の出来には不安要素も多かったと思う。

しかし、この急激な環境の変化。関係者にとっては、なかなか迷惑であっただろうが、遠くで見ている人間にとっては、その年になってまで、同じと

もっとみる
【ショートショート小説】 国会答弁

【ショートショート小説】 国会答弁

午後6時。今日も首相のいい加減な国会答弁が終わった。

国民の半数が反対するスポーツイベントや、国際博覧会、大規模な葬儀などを、民主主義を死守するために実施すると言う。
政党と関わりのある宗教団体との関係を、切ると言うだけで何もしない。
人種差別発言をする議員を閣僚に加える。
重症者の増えた感染症におざなりな対応をする。
議員の裏金問題に自身の責任を取らない。
国会を開けと言う野党の声を無視する。

もっとみる
【ショートショート小説】 人形たちの物語

【ショートショート小説】 人形たちの物語

『こいつらと一体、いつになったら離れることができるんだ…』
アントニオは自分の部屋に勢ぞろいした使い古しのおもちゃ、
ガンマン人形のハレルソン、宇宙航空士のプラスティック製のおもちゃのメルヴィン、ソードを持ったプラネット侍の番、名前のない熊のマトリョーシカを見てため息をついた。

何度も「こんなもんいらねえ」と捨てては、
何度も家に戻ってきてしまう人形たち…。

「稲川淳二の実話系怪談かよ」
アン

もっとみる

「映画」マリウポリの20日間の感想

AP通信の記者による、ロシアのウクライナ侵攻から、マリウポリ壊滅の二十日間を追ったドキュメンタリー。もちろん、それは戦争の無慈悲なひどい現実を見せつけられる映画だ。

映画を見ていると、自分がどの程度のノリで見ようとしたのかを思い返してしまう。勉強のためか、興味本位か、ただの暇つぶしか…。
ジュースを飲んだり、ポップコーンなど食べながら見ている人も中に入るかもしれない。それが悪いとは言わないが、安

もっとみる

映画「辰巳」 1

辰巳…。どれぐらいの規模かわからないけど、インディーズで予算が低いのは間違い無いだろう。しかし、カメラワークと熱気のある役者の演技などで、そのことはそれほど感じられない堂々とした映画だった。
雨の日に関わらず、観客もなかなか多かった。

この映画はフィルムノアールを意識して作られているという。
日本のヤクザ映画はフィルムノアールの中に入れていいのかはわからないが、映画の主人公の辰巳はヤクザの世界で

もっとみる