shimozu jin

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【ショートショート小説】 国会答弁

午後6時。今日も首相のいい加減な国会答弁が終わった。 国民の半数が反対するスポーツイベントや、国際博覧会、大規模な葬儀などを、民主主義を死守するために実施すると言う。 政党と関わりのある宗教団体との関係を、切ると言うだけで何もしない。 人種差別発言をする議員を閣僚に加える。 重症者の増えた感染症におざなりな対応をする。 議員の裏金問題に自身の責任を取らない。 国会を開けと言う野党の声を無視する。 これらのすべての問題を、置き去りにしたまま、自分は休暇を取りゴルフをする…。

    • 【ショートショート小説】 人形たちの物語

      『こいつらと一体、いつになったら離れることができるんだ…』 アントニオは自分の部屋に勢ぞろいした使い古しのおもちゃ、 ガンマン人形のハレルソン、宇宙航空士のプラスティック製のおもちゃのメルヴィン、ソードを持ったプラネット侍の番、名前のない熊のマトリョーシカを見てため息をついた。 何度も「こんなもんいらねえ」と捨てては、 何度も家に戻ってきてしまう人形たち…。 「稲川淳二の実話系怪談かよ」 アントニオはボソリとつぶやいた。 って言うか、動くはずない捨てた人形が家にまたいるっ

      • 「映画」マリウポリの20日間の感想

        AP通信の記者による、ロシアのウクライナ侵攻から、マリウポリ壊滅の二十日間を追ったドキュメンタリー。もちろん、それは戦争の無慈悲なひどい現実を見せつけられる映画だ。 映画を見ていると、自分がどの程度のノリで見ようとしたのかを思い返してしまう。勉強のためか、興味本位か、ただの暇つぶしか…。 ジュースを飲んだり、ポップコーンなど食べながら見ている人も中に入るかもしれない。それが悪いとは言わないが、安全な場所で見る、本当に起こっている戦争の現場を見る違和感がある。 ファーストシ

        • 映画「辰巳」 1

          辰巳…。どれぐらいの規模かわからないけど、インディーズで予算が低いのは間違い無いだろう。しかし、カメラワークと熱気のある役者の演技などで、そのことはそれほど感じられない堂々とした映画だった。 雨の日に関わらず、観客もなかなか多かった。 この映画はフィルムノアールを意識して作られているという。 日本のヤクザ映画はフィルムノアールの中に入れていいのかはわからないが、映画の主人公の辰巳はヤクザの世界で生きる人間なので、この映画もヤクザ映画の一種と言っていいのかもしれない。 この

        【ショートショート小説】 国会答弁