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看取り~介護と死別を通して得られた家族の絆とは~(13)

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8月1日(日)
体調が戻らない。牛乳を飲んだだけ。いろいろ昔話をした。昔住んでいたアパートの話とかお母さんの話とか。お父さんの兄にあたる方に電話をしたが、いろいろ感慨深いところがあったようで、少し涙ぐんでいた。「治るまで2,3年かかるのかな?」と言っていた。お父さんはあきらめていない。僕もあきらめない。
 
8月3日(火)
眼科で検査を受けたが、白内障ではなく、抗がん剤の副作用ではないかとのこと。来月また検査する。帰りはとてもつらそうだった。引越しが終わったら車椅子をレンタルしようか、と話し合った。
 
8月4日(水)
声の張り良かったが、体力が衰えてきたことを本人も自覚しているようだ。僕が仕事に行っている間、布団を干してくれたが、布団が重かったと言っていた。
 
8月5日(木)
昼電話したときは調子良さそうだったが、夜帰ると疲れているようだった。僕はお父さんの物忘れがちょっと多いのが気になっている。
 
8月6日(金)
午後半休をもらって病院にいった。CTと内視鏡の検査をした。暑かったのでだいぶ疲れているようだったが、帰りは休み休みしながら電車で帰った。早く終わったので、僕は新居の掃除とか水道等の住所変更の手続きをした。ケアマネのTさんから電話があり、ショートステイは送迎ができないというので、介護タクシーを頼んだ。それと車イスのレンタルをお願いした。
 
8月7日(土)
僕は今日から本格的に引越しの準備をした。お父さんの体調は安定しているようだった。ショートステイに電話して時間を決めてもらった。
 
8月8日(日)
夕方一緒に散歩した。背中の膿がつぶれていたので、ガーゼでとめてあげた。昨日は痛みがあったようだが、今日は痛まないようだった。
 
8月9日(月)
朝出勤前にガーゼを換えた。お父さんは夕方一人で自転車で、郵便局や区民税の支払いなどに行ってきた。僕は帰宅してからまたガーゼを換えた。お父さんは銀行の住所変更をしたかったようだが、引っ越して住民票を変えてからじゃないと、できないんだよ、といってもなかなか理解できなかったようだが、最後はわかってくれたようだ。
 
8月10日(日)
日中は調子がよかったようで、引っ越しの段ボール詰めをしたので、疲れてしまったようだ。背中の傷はだいぶおさまってきている。
 
8月11日(水)
いつものように病院の行はヘルパーさんに頼んで、僕は区役所に転出届を出しに行ってから病院に行った。11時頃着くと、お父さんはケアの椅子に座っていて、僕を見つけると、「哲也が来るとホッとする」と言った。O先生から、「ガンが広がっていて、薬を変えます。それで来週1週間ほど入院してもらいます」と言われ、僕はだいぶショックを受けたが、お父さんはそうでもなかったようで、淡々としていた。入院の手続きを済ませて帰宅すると、少し熱がでて僕は慌てたが、夜には収まった。今後行き返りは介護タクシーを使おうか考えたが、お父さんは、「車椅子でいいよ」と言った。
 
8月12日(木)
朝は体調は普通だったが、引越しの準備をして、夜は疲れたようだった。「後は僕がするから」と言ったのだが、お父さんは引越しを楽しみにしているので、たぶんまた自分でするだろうと思う。
 
8月13日(金)
朝は見送りできないくらい調子が悪かったので、仕事を休もうと思ったが、昼くらいからよくなったようだ。やっぱり引越しの準備をしたようだ。背中の傷はだいぶ良くなったので、ガーゼでなく絆創膏に変えた。やっぱり疲れたようで、夜はアイスノンをしていた。
 
8月14日(土)
お父さんといっしょに介護タクシーでショートステイに向かった。僕はもちろん帰ったが、お父さんは明日は新居の方に向かうことになる。食事がとれないのに食費を取ったり、点滴スタンドがなかったり、いろいろ不満はあったが、急な依頼だったので、息を整えて落ち着いた。なによりお父さんが普通にしていたので、それでよしとしよう。18時ごろ電話をして少し話した。最後の荷物の整理に思いのほか時間がかかったので、ショートステイに預けて正解だった。
 
8月15日(日)
もちろん教会は休んで一日引越し作業。8時半に業者がきて、お父さんが来たのが16時半頃で、そのころ搬入が終わった。ものすごく暑かったが、お父さんはずっと冷房の効くところにいたので大丈夫。3分の1くらい片付け、とりあえずお父さんの寝場所を確保した。新築住宅に初めて住むことになったので、とても喜んでいたが、移動で疲れただろう。
 
8月16日(月)
僕は夏休みをもらって、ほとんど片付けを終えた。エアコン業者と車椅子のレンタル業者とケアマネさんが来宅。夜薬でむせて少し戻した。シャワーの後、胃ろうの傷口のテープを張ったら少し腹水がたまっている。今日もだいぶ暑かったが、外には出ていないので熱中症の心配はないだろう。
 
8月17日(火)
朝は辛そうだったが、僕が仕事に行くとき見送ってくれた。病院から電話があり、明日から入院と連絡があり、お父さんに電話で伝えた。帰宅すると、部屋が片付いていて、「散歩より疲れたよ」と笑っていた。夜は調子を戻していたが、やはり腹水が気になる。
 

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