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天才性が見つかる 才能の地図天才性が見つかる 才能の地図

才能とは、誰にでもあるもの。
才能とは、自分だけが満足するのではなく、周囲から評価されるような高いパフォーマンスを発揮できる状態。

第1部=「問題編」
➡「才能」についての誤解を解く。
生まれ持つ能力を正しく使いこなすための考え方の土台を形づくる。
第2部=「解決編」
➡第1部での問題点をクリア。
実際に手を動かしつつ自分自身の分析を勧める。
➡才能を使いこなす道筋を立てる。


<はじめに>

●人生は「異能バトル」である

友人や会社の同僚などから尊敬を集める人。
➡周囲より年収が高く、幸福度も高い。

周囲から能力を認められた人。
➡寿命も伸びる傾向がある。
例)
アカデミー賞受賞者の場合。
賞を取れなかった人より平均寿命が3.6年長かった。
ノーベル賞の場合。
受賞者は平均寿命が1.6年長かった。
芥川賞の場合。
受賞者は平均寿命が6.4年長かった。

才能を発揮できない3つの理由)
①「好き」や「得意」なことで才能を探そうとしている。
②人生を成功に導く「特別な能力」があると思っている。
③人生は「生まれ」で決まると思っている。

才能に関する3つのルール)
才能のルール①
人生とは「異能バトル」である。
才能のルール②
才能とは、グループ内の「かたより」が評価された状態である。
才能のルール③
ルールがあいまいな世界ほど、あなたは異能バトルに勝ちやすくなる。

<第1部 問題編 なぜ「才能」は存在しないのか?>

●問題編① なぜ「好き」と「得意」で才能を探してはいけないのか?

🐾「好き」なものは変化していく

社会科学の研究結果)
「好きを追えば社会で活躍できるという考えを支持するデータはほぼない」
➡逆にパフォーマンスが下がってしまうとの報告もある。

例)
自分の仕事が好きな人達のパフォーマンスの場合。
がんばって作業には打ち込む。
➡生産性が高いわけではない。

🐾「好きを貫く」ことは必ずしも良いことではない

好きなことを追っても成功できない3つの理由)
①「好き」は時間とともに変わる。
心理学の調査)
人間の好みは平均2~3年で切り替わることが多い。

自分が好きなことばかり追いかける。
➡情熱が下がったときにやる気がなくなる。
=目標を達成できなくなる。

②たいていの人の「好き」が、世の中から求められていない。
たいていの人の「好きなこと」
=スポーツ、音楽、アート関連。

スポーツ、音楽、アート関連の仕事。
=すべての職業の3%程度。
➡需要がない。

③「好き」を負う人に対する評価が、状況によって異なる。
評価される。
➡その人が誰に何をするかで変わってしまう。

例)
斬新なアイデアを顧客に売り込む。
➡「好き」をアピールした態度が有効に働く。
具体的な条件の交渉を行う。
➡「好き」をアピールした態度が逆効果になる。
=不利な契約に至ることが多い。

※「好きを貫く」のは場面によって機能が変わる。

🐾「自然にやってしまうこと」で才能はわからない

「自然にやってしまうこと」に注目する。
➡多くの能力を見過ごしかねない。

本当は高い能力を持っている。
➡日常でなぜか使いこなせないという人は少なくない。
例)
・本当は好奇心が強いのに無関心そうな人。
・本当は情熱的なのに冷淡にしか見えない人。
・本当はユーモアがあっても真面目な行動しかできない人。
など。

能力を表に出せない理由)
・別の能力が足をひっぱている。
例)
「リーダーシップ」の能力が高い。
➡「謙虚さ」と「慎ましさ」の能力も高い。
=周囲の人間の先頭に立つモチベーションが上がらない。

・スキルのなさが足を引っ張っている。
➡持ち前の能力を表現するスキルが足りないパターン。
例)
「共感力」「思いやり」がある。
➡コミュニケーションを取るスキルが不足している。
=能力を出せる段階まで進めない。

・トラウマが足を引っ張っている。
例)
子どもの頃にラクガキやイタズラを強く怒られる。
➡大人になってからも「好奇心」を発揮できない。
=新しいことをするのを恐れてしまう。

・環境が足を引っ張っている
例)
実際には創造的な発想がうまい人の場合。
ルーチンの決まった業務だけを行う仕事を長く続ける。
➡クリエイティブな発想を使わずに暮らす習慣が染み付く。

・セルフイメージが足を引っ張っている
「私はこういう人間だ」
➡思い込みが強い。
➡他の能力に意識を向けられない。

例)
「私は誰とでも仲良くできる人間だ」
➡「自己主張」「自己顕示」の能力を表に出せない。

🐾得意なことをしても成果が出ない理由

※得意なことを活かした人が、高いパフォーマンスを出せることを示したデータには、信頼できるものが少ない。

得意なことを活かそうとする。
仕事の成果)
「上がるか上がらないか」
➡微妙な違いしかない。

自分の得意なことに集中する。
仕事へのモチベーションや満足度は上がる。
➡高いパフォーマンスに結びつくケースは少ない。

仕事の成果が上がらない理由)
①長所を伸ばすよりも、欠点を治す方が効果が大きい。
例)
頭が良くても性格が悪い。
➡周囲の助けを得られない。
絵がうまくても自制心がない。
➡作品を完成させられない。

②「得意を活かす」ことの効果が状況によって異なる。
例)
経験の少ない新人。
➡得意なことに集中したほうが、モチベーションが上がる。
作業へのモチベーションが高いベテラン。
➡自分の欠点を意識したほうがパフォーマンスは上がりやすい。

「才能」は、時と場所によって定義が変わる。
➡「得意」をあきらめたほうがいいことはよくある。

自分の得意なことを貫く。
➡大きな成功を逃してしまうケースがある。

🐾「悪いこと」も状況によっては役に立つ

例)
「不安になりやすい人」が持つメリット)
メンタルが弱くてすぐ不安になりやすい性格。
➡未来に起きそうなトラブルへの準備を促す。

不安は体内の緊張レベルを高める。
集中力を高める。

「自信がない人」が持つメリット)
自信がない人ほど他人の批判を素直に受け入れる。
➡自信家よりも能力が育つスピードが速い。

世の中を歪んだ目で見ない。
➡現実にもとづいた判断もうまい。

「協調性がない人」が持つメリット)
社会生活には不向き。

周囲からの批判を恐れない。
独創的なビジネスをはじめられる。
斬新な発明を思いつく。

他人との衝突を恐れない。
➡自分の意見を押し通すのがうまい。
➡年収も高くなりやすい。

「内向的な人」が持つメリット)
内にこもって人づきあいが悪い人。
いつも孤独で自尊心が低い人。
➡他人の心を読むのがうまい傾向がある。

外交的な人よりも他人を観察する時間が長い。
自分の内面を掘り下げる回数も多い。
➡人間の心理に対する理解が自然と深まる。

「サイコパス」が持つメリット)
「他人の感情に影響されない」という特性。
・他人に感情を左右されない。
➡つねに自信満々でいられる。
・結果がどうなろうとも怖がらない。
➡プレッシャーに強い。
=リスクを恐れずに行動できる。

研究結果)
大企業のCEO、弁護士、外科医、消防士、ジャーナリストなど。
➡感情に動かされずに冷静な判断をする必要がある。
=サイコパスのほうがパフォーマンスは高くなる。

※感情の負荷が高い職業では、サイコパスのほうがパフォーマンスは高くなる。

「恐れを知らない」特性。
➡勇気が必要とされるシュチュエーションでは有効に働く。
「頼りになる人物」
➡評価される。

🐾牛糞は玄関に置き、栗は囲炉裏に隠すべし

➡猿蟹合戦での例。

個人の性格と年収の関係性)
経済学者、ジェームズ・ヘックマンの調査。
感情の安定と年収)
感情が安定していて、不安や悲しみを覚えにくい人。
➡プレッシャーの中で決断する仕事で能力を発揮しやすい。
=年収も高い。
(投資銀行家、神経外科医、消防士など)

不安になりやすく、すぐに未来を悲観的に考える人。
➡高い注意力が求められる仕事で活躍。
=感情が安定したひとよりも稼げる。
(交通の安全を守る仕事、健康管理に関する仕事など。)

性格の明るさと年収)
明るくて社交的な人。
➡人間関係を維持しなければならない仕事で高収入を上げやすい。
(広報担当、カスタマーサービス、教師、看護師など)

口数が少なくて非社交的な人。
➡厳しい意思決定や率直な発言が求められる仕事で年収が高くなる。
(経営者、財務責任者、弁護士、医師など)

積極性と年収)
外交的で積極性がある人。
➡人脈づくり、人前で話すことが多い仕事で年収が上がりやすい。
(政治家、不動産業者、コメディアンなど)

内向的で人見知りな人。
➡長時間集中する必要がある仕事では外交的な人よりも年収が上がりやすい。
(図書館委員、ソフトウェア開発者、監査役など)

特性を活かした仕事についた場合。
➡給与には5~10%ぐらいの影響がある。
=「適合ボーナス」

🐾IQの高さは”正義”なのか?

IQの高さによるデメリット)
コミュニケーションの場合。
IQが高い人は対人関係で苦労しやすい。
➡人間関係の質が低い。

他人よりも思考力が高い。
➡周囲と同じ興味や意見を持つことができない。
=話が合わない。

IQが高い人。
=周囲との共同作業が苦手。
➡会社でうまく活躍できないケースが多い。

IQが高い人は心身のトラブルに苦しむ。
・喘息、アレルギーになりやすい。
・不安障害の診断を受ける確率が2倍から4倍も高い。

周囲の情報をたくさん取り込むのがうまい。
➡脳が過剰に興奮しやすい。
=心と体のストレスが増えてしまう。

※IQが高い人たちは、社会に出てから意外と成功しない。

「努力する才能」のデメリット)
努力する「目標に向かってストイックにがんばる能力」

研究結果)
「ストイックに努力できる人は50代になってから記憶力が下がりやすく、心臓病などにかかるリスクが高い」

いつも「ストイックにがんばる」
目の前のゴールが不要だった場合。
➡うまくあきらめられない。
例)
ブラック企業に入る。
➡ストイックすぎてやめられない。

本当はやめるべきゴールに努力を注ぎ続ける。
➡解決は遅れる。
➡不要なストレスが増えてしまう。
=がんばれる人ほど病気にかかりやすい。

才能などもともと存在しない。
正しい状況に置かれた特性。
=「才能」
間違った状況に置かれた特性。
=「欠点」

周囲の状況を把握できていない。
➡自分が持つ特性が役立つかも判断できない。

<第1部 問題編② 成功に欠かせない能力が存在しない理由とは?>

🐾IQ150超えの頭脳集団を見ても、未来の成功者は見抜けない

”才能”を発揮できない理由)
「人生を成功に導く『特別な能力』があると思っている」

よく言われる「成功に欠かせない能力」
①IQの高さ
②自信の大きさ
③ポジティブ思考
④コツコツやり抜く力
⑤大量の練習

※能力を持っていても、世の中で高いパフォーマンスを発揮できるかどうかはまったく予測できない。

「IQ」の重要性)
「IQ」
人間の知能を表す指標のこと。
➡数字が高いかどうかは、ほぼ生まれつき決まってしまう。

「保有する資産」「社会的な地位」の場合。
スタンフォード大学の心理学者、ルイス・ターマンの大規模調査)
1528人の生徒を35年追いかける。
➡どんな人物になるのか確かめる。
(生徒のIQ135~200)
結果)
「大人になってからも天才的な才能を示す者はいなかった」
➡全体的に地味な職業についた者が多い。

研究チームの見解)
「知能と成功は相関関係にはない」

研究への参加を断られた子どもたちの中から、ノーベル賞受賞者あり。
世界的な音楽家になった人間もあり。
(それぞれ2人づつ出ている)

※IQの高さは、それなりに人生に影響をおよぼすことがわかっている。

生まれつきIQが高い人の場合)
・物理学者
・エンジニア
・神経外科医
➡などの職業で活躍しやすい。

IQが高い年収も高い。
➡ポイントが1つ上がるごとに、平均で約2万5千円~6万円ぐらい年収が上がる。

26000人のCEOを調べたデータ)
一般的な労働者の平均12倍を稼いでいる。
➡IQは平均レベルの人が多かった。
(平均を下回るCEOもいた)

IQの高さ)
複雑なスキルが必要な職業では活きる。
➡それ以外の仕事では、知能のメリットをうまく使えない。
=頭の良さが活きる職業は限定的。

🐾やっぱりお金持ちの家庭は有利?

IQが高くて両親が裕福な子どもは、大人になってどれぐらい金持ちになるか?

「両親の裕福さ」「子供時代のIQ」
➡将来の年収の約14%しか説明できない。

✘ 知能が低い自分がハンデを背負っている。
✘ 知能が高い自分が優位に立っている。

IQの予測が最も高いもの。
=「学歴」

名古屋大学などの調査報告)
「卒業した大学がいかに有名校だったとしても、その後の人生で高収入を得られるかどうかとはほぼ関係がなかった」

※良い大学や高校に入ったところで、未来のパフォーマンスへの影響はほぼない。

自分のIQを自慢する者は敗者だ。

物理学者、スティーヴン・ホーキングの言葉

🐾自信があれば成功できる?

オハイオ州立大学などのチームによるメタ分析から言えること。
「人生の成功において、自尊心の重要さが占める割合は9%前後」

※自信があっても仕事ができるわけではない。

自信がある人ほど嫌われやすい。
つねに自信がある。
➡他人よりも不安が少ない。
=自分の能力を高めるモチベーションが湧きにくい。
➡不安だらけの人よりも、スキルが上がらない。

実際にはパフォーマンスが低い。
➡本人だけは自分の能力を1ミリも疑わない。

セフルイメージがふくれあがる。
➡他人の言葉を受け入れない。
自分は特別な人間だという意識も強い。

※重要なのは、高い自信を持つことではなく、あくまで高い能力を持つこと。

🐾ネガティブ思考よりもポジティブ思考のほうがいい?

大学院生へのインタビュー)
「いつもどれぐらいポジティブ思考をしているか?」
「ポジティブ思考の回数は?」

2年後の再インタビュー結果)
ポジティブ思考が多い学生ほど、卒業後に就職のオファーが少なく給料も低かった。
ネガティブな考えを持った学生のほうが、年収は高い傾向があった。

理由)
ポジティブな人は、ネガティブな人よりも努力を怠る傾向がある。

つねに未来を楽観的にとらえる。
「自分は大丈夫だ」
➡現状を変えない可能性が高くなる。
=危機感が薄れてしまう。

ポジティブな人ほど挫折に弱い。
楽観的な態度を保ち続けようとする。
➡うまくいかなかったときのショックが大きくなる。

ネガティブ思考は悪いものではない。
つねに最悪の状況を考えておく。
➡未来のトラブルへの備えができる。
=将来の不安を減らせる。

✘ 「ポジティブ思考など無意味だ!」
➡あくまでポジティブ思考にも副作用があるということ。

※ポジティブ、ネガティブどちらが良いという話ではない。

🐾「グリット」の重要性はいかに?

「グリット」
「やり抜く力」のこと。
➡何事もあきらめずに、長期間にわたってコツコツと続けられる能力のこと。

アメリカ労働省のデータを使った研究
約8000人のグリットとIQを調べ、20年でどれぐらい成功したかチェック。
結果)
「未来の収入を増やすためには、グリットよりも知能のほうが13倍も重要」

アイオワ州立大学が発表したメタ分析結果)
・グリットの高さと学校の成績にはほとんど関係がない。
・グリットが高くても仕事のパフォーマンスは3%しか改善しない。
=「グリットは言われるほど重要ではないし、私たちがすでに知っている以上のことを理解する役にも立たない」

🐾「グリット」のマイナス面「あきらめ」の大切さ

ジョンズ・ホプキンス大学などの研究チームのアンケート結果)
「『がんばり』にこだわる人ほど不幸な感覚が増えていた」

世の中に起きる問題の多く。
=自分の力でコントロールできないこと。
例)
・クライアントのミスで仕事が失敗する。
・上司に理不尽なことで怒られる。
など。

他人が関わる問題。
➡自分が挽回しようともがいても改善しづらい。

起きたことをいったん受け入れる(あきらめる)
➡人の反応をコントロールする余裕が生まれる。
「同じミスが起きないように改善できるところはないか?」
➡問題をとらえ直せる。
=建設的な方向にエネルギーを使える。

「あきらめ」を使う人。
➡日常問題へ柔軟な対応ができる。

研究結果)
「あきらめ」をよく使う人ほど、問題を解決するのも上手かった。

困難を受け入れられる人。
➡目の前の状況を冷静に見ることができる。
➡他人の立場を理解できる。
=人間関係のトラブルを解決するのもうまい。

※いったん状況をあきらめたほうが、トラブルを客観的に見られる。

🐾練習はどこまで大事?

「1万時間の法則」にも大きな疑問がある。

ミシガン州立大学のメタ分析)
「プロのチェスプレイヤーとミュージシャンのデータを調べ直す」
結果)
練習量とパフォーマンスの関係はバラバラ。
=明確な結論を出すことができなかった。

練習量が少ないにもかかわらず、一流になれた人が大量に見つかってしまった。

✘ 「天才は練習量で決まる」

練習の影響は、考えられているより小さい。
ある分野をマスターする。
➡練習の重要性が占める割合は12%ぐらい。

※超一流と凡人の差は、練習の量だけでは埋められない。

練習の重要性)
ゲーム➡26%
音楽➡21%
勉強➡4%
専門職➡1%

🐾努力が報われる条件とは?

特定の条件がそろう。
➡練習の重要性は上がる。

練習が報われる条件)
①トレーニング方法が確立されている分野。
例)
・プロスポーツ
・数学
・チェス
など。

②はじめて練習をする際には、その分野の専門知識を持ったコーチの指導を受ける必要もある。

高いパフォーマンスを発揮する人たち。
➡練習以外の「他の要因」が占めていた。

「他の要因」不明
要素は山のようにある。
➡どれがパフォーマンスに決定的に影響をもたらすのかは、わからない。
例)
・身体的な特徴
・性格
・IQ
・想像力
・モチベーション
・幸運
など。

✘ 「努力は意味がない」
◯ 「過去の自分を超える」ために行うのであれば意味がある。

🐾「人生は〇〇で決まる」と断言できる能力はない

ポイント)
①人生の成功を約束するような能力はない。
②人生の成功に関わる要素は無数に存在する。

<第1部 問題編③ なぜ人生は「生まれ」では決まらないのか?>

🐾本当に人生は遺伝で決まるのか?

遺伝の影響)
知能➡66%
性格➡50%
収入➡36%

「遺伝の影響」
(遺伝率)
例)
「身長は80%が遺伝で決まる」
✘ 両親の背が高ければ、子どもの身長も80%の確率で高くなる。

研究結果)
「親の身長から、子どもの背の高さの22%が予測できる」

遺伝の影響80%
両親の身長から予測できる高さ22%

例)
「IQの遺伝率70%」
IQが高い親の子どものIQが高くなるかどうか?
➡約9~16%ぐらいでしか予測できない。

🐾「遺伝率」の正体

間違い例)
「遺伝の影響が70%ある」
テストで100点を取った場合。
70点まで➡遺伝の影響
残り30点➡努力のおかげ

「遺伝率」
集団のなかの「バラバラ具合」を表す数字。
➡個々を判断するための数学ではない。

本書より

上半身と下半身がどちらも60~80センチでバラバラの場合。
➡影響は50%ずつ
=下半身率は50%

遺伝率も同じ。
いろいろな人と比べる。
➡どれぐらいバラバラなのかを見る。
➡遺伝と環境のどちらが強いかを判断する。
例)
上半身の長さ60~80センチのあいだでバラバラ。
=バラバラ具合20センチ
下半身の長さ65~75センチのあいだでバラバラ。
=バラバラ具合10センチ
➡比率は2:1
上半身率➡だいたい67%
下半身率➡33%ぐらい

遺伝率のデータ)
取り方しだい。
➡まわりの人との比較で決まる。
=誰と比べるかが大事。

✘ 遺伝率「絶対に動かない数字」
◯ 遺伝率調べ方でコロコロ変わる値

🐾人生は9割が遺伝だが・・・・・・

IQの遺伝率が0%の人も存在する。
➡生まれ持った遺伝子がほぼ影響しない人たち。
=知能が環境で決まっている。

「貧困に苦しむ人たち」
貧しい環境で暮らす人たちほど、IQの遺伝率は下がる。

お金がない。
➡少しの収入の変化で環境が大きく変わる。
=環境の影響が大きいぶんだけ、遺伝率が低くなる。

IQの高さ。
➡遺伝だけでなく、栄養や教育など外からの要素の影響も大きい。

収入によってライフスタイルが変わりやすい。
=IQの変動も激しくなる。

超名門校だけでIQの遺伝率を調べた場合)
みんな環境が似ている。
・上流階級の出身者が多い。
・優れた教育を与えられた学生ばかり。
=遺伝率は上がる。

育った環境に差がないとき。
➡生まれつきのIQの差が成果に反映されやすい。

本書より

専門家の意見)
「名門大学におけるIQの遺伝率は90%以上に跳ね上がる」

※遺伝率を見て大騒ぎしても、何の意味もない。

遺伝率を見る。
「自分にはどんな能力があるのか?」
「自分の能力を変えるのがどれぐらい難しいか?」
➡何も教えてはくれない。

✘ 遺伝率の大きさ努力の無意味さ

本書より

🐾能力や性格を明確に決める遺伝子は見つかっていない

人間の能力を形作る遺伝子。
=数十から数百以上。
➡それぞれの遺伝子の効果は極めて小さくなる。

✘ 「この遺伝子さえあれば背が高くなる」
身長に関わる遺伝子は20種類近くある。
➡それぞれが組み合わさって身長に影響している。

すべての遺伝子を合わせる。
遺伝子による身長の違い。
=3~10%ぐらいの解明。

※知性や性格といった複雑な要素を遺伝で判断するのは、ほぼ不可能。

🐾遺伝子の働きは努力で変えられる

遺伝子のなかにも、使われるものと、使われないものが存在する。
➡環境によって働きは変わる。
=毎日の体験によってどのスイッチが入るかが違ってくる。

例)
運動をする。
➡筋肉や骨を発達させるスイッチが入る。
健康的な食事をする。
➡細胞を若返らせるスイッチが入る。

※人生の選択によって、よい遺伝子をオンにし、悪い遺伝子をオフにできる。

遺伝子≠運命を決めるもの。
➡ウィンドウアートのようなもの。

本書より

完全に同じ遺伝子を持った人。
➡育った環境が異なる。
➡まったく違う人間になる。

🐾人生は”生まれ”で決まらない

※遺伝率では「自分の才能」は何もわからない。

遺伝率を見る。
「私にはどんな才能があるのか?」
「私は他と比べてどこが優れているのか?」
➡答えは何もわからない。

✘ 「どうせ人生は遺伝ガチャだ」
➡なんの意味もない。

遺伝の影響ばかりを強調する。
➡人生を良くするモチベーションが失われる。
「遺伝だからあきらめよう」
「どうせ人生は変わらない」
➡考え方におちいる。
=「あきらめたら、そこで試合終了」

✘ 「人生は生まれで決まる」
➡生まれる害も大きい。

才能を発揮できない3つの理由のまとめ)
①「好き」や「得意」を追っても失敗する確率が高い。
②人生の成功に役立つ能力など存在しない。
③遺伝について考えたところで才能はわからない。

<第2部 解決編 あなたの才能は「かたより」で決まる>

●解決編① 「才能」を決める3つのルール

🐾人生とは「異能バトル」である

能力のゆらぎ。
➡自分なりの”異能”として使う。

自分だけの”異能”で成果を残した人例)
スティーブ・ジョブズの場合。
ディスレクシアという問題を抱えていた。
➡文字の読み書きが苦手だった。
=シンプルな文章すら理解できなかった。

ディスレクシアを”異能”としてとらえ直す。
ディスレクシアのメリット)
・複雑なものの全体像を瞬時に見抜ける。
・ものごとを異なる視点から判断する能力が高い。
=新しいアイデアを思いつくのが得意。

文章が苦手。
➡文字よりも抽象度が高いイメージを使って情報を処理。

情報をイメージとして脳に取り込める。
➡全体像を把握するのはうまくなる。

文章が苦手。
➡論理にとらわれない。
➡発想が自由になる。
=斬新なアイデアを生む確率が上がる。

🐾才能とは、グループ内の「かたより」が評価された状態

自分の「得意なこと」だけにこだわる。
➡上の人間が現れた瞬間になすすべがなくなる。

遺伝子の影響を受けやすくなるとき。
=まわりの環境が似ているとき。
例)
・みんなが同じ食事をしている。
・教育レベルが一定
・性格が似た人たちに囲まれる。
など。
➡「生まれつきの能力」に左右されやすくなる。

努力が報われやすくなるとき。
=トレーニング方法が確立されていて、徹底した練習を積める場合。

「かたより」に注目した場合。
集団の中での考え方。
「どのようにかたよっているのか?」
➡自分より上の人間が現れても、活躍することは十分可能。

例)
どんな仕事をやってもパフォーマンスが高い有能さんと、一般社員の場合。

本書より

有能さんのほうが圧倒的に上。

✘ 有能さんにすべての仕事をやってもらう。
◯ 仕事の量を適切に分担する。

適切な分担の方法を考える。
➡「作業コスト」に注目する。

「作業コスト」
ひとつの仕事をやるために、あきらめるしかなかった別の仕事のこと。
例)
営業に出かけている間。
➡企画書を書けない。
企画書を書いている間。
➡営業に出られない。

作業コストの計算)

本書より

企画書のコストの視点から見る。
(右上)
➡一般社員のほうが優秀。

有能さんが企画書に時間のすべてを使う。
➡営業の制約を12件逃す。
一般社員が企画書に時間のすべてを使う。
➡営業の制約は2件しか減らない。
=作業コストは優秀。

一般社員が企画書に専念。
➡減った営業を有能さんに割り振る。
=全体のコストを減らすことができる。

本書より

最適な割り振り。
➡経済学「比較優位(ひかくゆうい)」

「比較優位」
個人の能力は他者とのパワーバランスによって決まるもので、相対的に”かたよったポイント”を見つけて、そこに特化したほうが活躍できるという理論。

本書より

🐾どんな人でも必ず”優位なかたより”を持っている

比較優位を意識して成功している企業も多い。

グーグルの例)
従業員のパフォーマンスを調べる。
➡成績が下から5%の人をつねにチェック。
「かたよりを活かせていないのでは?」
➡支援できる方法を探す。

グーグル人事部のパフォーマンスが低い人への見方)
「配置ミスや管理不足があるのでは?」
➡仮説を立てる。
➡本人にインタビューを行う。
➡それぞれのニーズや価値感を理解する。
➡新たな配置場所を探っていく。
=人材の最適化。

「比較優位」を大事にする。
➡働く側もモチベーションが上がる。

スタッフの能力を活かす注意点)
①どんな人でも、なんらかの”優位なかたより”を必ず持っている。
②自分の苦手なことだろうが”優位なかたより”であれば役に立つ。

本書より

※”優位なかたより”とは、必ずしも得意なことだとは限らない。

苦手で嫌いなこと。
➡周囲とのバランスによっては「優れた能力」になりえる。

「才能」のあるなし。
➡自分では決められないこと。
=状況によって評価が変わる。

🐾ルールがあいまいな世界ほど異能バトルに勝ちやすい

遺伝率、練習の影響。
➡明確な決まりや手順が決まった世界ほど高くなる。

ルールがしっかり定まった世界。
=能力を評価する基準が明確。

※ルールが明確な世界ほど、生まれつき恵まれた者が勝ちやすい。

ルールがあいまいな世界。
=凡人でも勝てる可能性が高まる世界。
例)
現代アートの世界。
素人に評価の基準がわからない。
➡価値の判断すらできない。
「ルールをいかに壊したか?」
➡価値が決まるケースが多い。

🐾型を知らなければ型破りはできない

2018年、ノースウェスタン大学の統計学者の調査)
「成功したアーティストを分析」
タイプ①
キャリア初期に、有名な美術館やギャラリーに作品が展示された。
タイプ②
キャリア初期に、有名無名を問わない複数のギャラリーに作品が展示された。

タイプ②
幅広い美術館やギャラリーを開拓。
➡自分の”かたより”を理解してくれるバイヤーや批評家とめぐり会えた。
=自分なりの異能を見つけた。

多彩な評価基準がある。
➡フィットする能力も多彩になる。

ルールがあいまいな世界。
➡いろんな戦略が通じやすい。

✘ 「ルールなど無視して自由にやれ」
➡逆転するには、既存のルールを研究する必要がある。
=まず正しい型を知る。

🐾異能バトルの勝率をあげる戦略とは?

”優位なかたより”をプロデュースしてくれる人などまずいない。
➡活かす作業はどこまでも自分自身でやる必要がある。

どんな「かたより」が役に立つのかを掘り下げるステップ)
①戦い方を決める
②異能を使いこなす

<解決編② 戦い方を決める>

🐾まずは異能バトルの戦闘条件を決める

誰から評価されたいのか?
➡評価によって何を得たいのか?
=自分がどんな場所で戦っているのかを分析する。

あなたはどこでどのように戦いたいのか?)
●エクササイズ①
フィールド分析
①戦う場所を選ぶ
「自分の人生で何をしたいのか?」
「私はどのようなことで評価を受けたいのか?」
➡ある程度の答えが見えてくる。

評価を受けたい組織、グループ、コミュニティについて考える。
Q:私はいまどんな組織やコミュニティに属しているのか?
Q:私はどんなグループのなかで活躍したいのか?
Q:私が能力を認められたい組織はどれか?

本書より

②審査員を明確にする
「審査員」
フィールドの中であなたの能力を評価する人たちのこと。
Q:そのフィールドで、あなたの能力をジャッジするのは誰でしょうか?
Q:そのフィールドで、最も大きな影響力を持つのは誰でしょうか?
Q:あなたが結果を出したときに、その成果に最も気づいてくれそうなのは誰でしょうか?
Q:そのフィールドで、あなたが最も評価を受けたいのは誰でしょうか?

例)
フィールドが「家族」の場合。
審査員妻や子ども。
フィールドが「会社のプロジェクトチーム」の場合。
審査員同僚や上司。
など。

グループの評価システムを考える。
➡最適な審査員を考える。

③勝利条件を選ぶ
どのような活躍をしたら成功と言えるのかを考える。
Q:そのフィールドで、どのような結果を出したら、あなたは「自分の能力を発揮できた」と言えるでしょうか?
Q:そのフィールドで、どのような貢献ができたら「審査員」は最も喜ぶでしょうか?
Q:そのフィールドで、どのような評価を受けたときに、最も成功したと言えるでしょうか?
➡ワークシートの「勝利条件」の欄に答えを書き込む。

例)
「同僚からプロジェクトへの貢献を認められる」
「ランニングサークルで仲間から努力をほめられる」
「プレゼンに必要な資料を1週間で集める」
➡勝利条件の設定は自由。

勝利条件が思いつかない場合の質問)
例)
家族が審査員の場合。
Q:自分の家族と、どのような関係を築きたいだろうか?
Q:自分はどのようなタイプの兄/姉/弟/妹/母/父になりたいだろうか?
Q:自分はどのような親になりたいだろうか?子どもからどう見て欲しいだろうか?

パートナーが審査員の場合。
Q:自分はどのようなタイプの夫/妻/恋人になりたいだろうか?
Q:自分のパートナーとどのような関係性を築きたいだろうか?
Q:パートナーとの関係において、自分はどのような人間でいたいだろうか?
など。

※勝利条件を選ぶ際には「予想」と「空想」の区別をつけるように気をつける。

「予想」
過去に体験した記憶を使って、何らかのイメージを思い描くこと。
現実をベースにする。
➡特定のイメージを思い描く。

「空想」
過去の体験にもとづかずに、ただ自分が希望する未来を、頭の中でイメージしている状態。
例)
過去にダイエットをしたことがない。
➡ただ脂肪が減ってスリムな自分の姿を思い描いている。
=空想

※「フィールド分析」で使うべきは「予想」

過去の研究結果)
「ポジティブな空想をよく使う人ほど、目標を達成するためのモチベーションが下がり、ゴールに向かって努力しなくなる」

空想を思い描く。
「もう目標に近づいたのだ」
➡脳は誤解する。
=ゴールを達成するエネルギーを節約しようとしはじめる。

🐾勝利条件に役立ちそうな異能はどれか?

●エクササイズ②
かたより分析
①評価される「かたより」を考える
「優位なかたより」を知る。
➡選んだフィールドに必要とされる能力を理解する。
「審査員」が求める成果も把握する。

自分の「好き」や「得意」をベースに自己分析を行う。
➡誰も求めていない能力を伸ばすことになる。
=成果も上がらない。

「優位なかたより」について考えるための2つの人物像)
成功者
あなたが選んだフィールドで、いま活躍している人。
審査員
あなたが選んだフィールドで、成功を評価する人。

Q:成功者は、どのようなスキルや資質を持っているのだろうか?
Q:審査員は、どのようなスキルや資質を重視しているのだろうか?
Q:私が選んだフィールドのなかで「優秀」とみなされる人と「優秀」とみなされない人を分けるのは、どのようなスキルや資質なのだろうか?
Q:私が選んだフィールドのなかで、最も役に立つスキルや資質はなんだろうか?
➡ワークシートの「評価される能力」に書き込む。

※「かたより分析」の中で最も重要な作業なので、十分な時間をかける。

グループのキーパーソンやハイパフォーマーから直接話しをければベスト。

注意)
「得意」だと思う能力に固執しない。
例)
「私は文章が上手い」
➡選んだフィールドで誰も文章力を評価してくれないなら書かない。

②「かたより」をランクづけする

本書より

評価される能力
リストアップした「評価される能力」の中から、特に価値がありそうなものを選ぶ。
➡最低3つ、最高で8つまで。

本書より

自分)
それぞれの能力を、自分がどれぐらい持っているのか。
➡10点満点で自己採点する。
➡「能力値」に書き込む。
例)
まったくない➡1点
最高に高い能力を備えている➡10点

凡人)
フィールドで、もっとも普通の働きをしている人を1人選ぶ。
(特定の人物がいなければ架空の凡人イメージでもOK)
➡能力を採点して「能力値」に書き込む。

成功者)
フィールドで、もっとも活躍しているハイパフォーマーを2人選ぶ。
➡それぞれの能力を採点して「能力値」に書き込む
(直接話しを聞くのが理想)

活用度)
自分、凡人、成功者のそれぞれが、各能力をどれぐらい現実に活用しているかを考える。
➡10点満点で採点する。
例)
「この能力をいつも使っている」➡10点
「ほとんど使っていない」➡1点
➡「活用度」に書き込む。

合計)
「能力値」と「活用度」を増すごとに足し算する。
➡それぞれの点数を出す。

③結果をプロットする
すべての能力の順位をグラフにしてみる。
➡すべての合計スコアを折れ線グラフにプロットする。

本書より

例図の場合)
6番、7番、8番が特に役立ちそう。
=あなたの「優位なかたより」(異能)

🐾サポートエクササイズでさらに能力を掘る

「フィールド分析」「かたより分析」で悩むポイント)
・私が選んだフィールドで、どの能力が評価されるのかがわからない。
・私が普段どのような能力を使っているのかがわからない。

サポート①
かたよりリスト
~200を超えるリストから正解を選ぶ~
➡本来は心理療法の世界で自己分析に使われるリスト。
=多くの組織やコミュニティで評価されやすい能力。

家族や趣味のコミュニティで評価されたい。
➡「日常で評価されやすい『かたより』」参照。
職場や副業などで評価されたい。
➡「仕事で評価されやすい『かたより』」参照。

本書より
本書より

サポート②
かたより日記
~普段の行動から自分だけの異能を探す~
日常をモニタリングする。
➡普段からどのような能力を使っているのかを考える。
・自分の「かたより」がわからない。
・自分のどんな能力が役に立つのかがわからない。
➡問題解決に役立つ。

実践法)
①あなたが選んだフィールドにいるときに、アラームが3回なるように設定する。
(数分、数時間おきでもOK)
➡できるだけランダムなタイミンで鳴るようにする。

②アラームが鳴ったら、その時刻をワークシートに記録する。
➡そのときに自分が行っていた活動も書き込む。
例)
「書類作成」
「同僚と会話」
「ピアノの練習」
など。

③活動内容を、10点満点で採点する。
採点の基準)
「グループの利益」
フィールドの関係者に、どれだけのメリットがもたらされたか?
・金銭的
・同僚が喜んだ
・雰囲気が良くなった
・ハイパフォーマーの助けになった
など。
➡幅広い利益について考える。

まったくメリットが生まれていいない➡0点
誰もが認める大きなメリットが生まれている➡10点

「真似されにくさ」
フィールドにいる人たちに、どれぐらい真似されにくいか?
➡同じ活動をできる人はどれぐらいいるか?

誰でもできそう➡0点
集団のなかで自分にしかできない➡10点

④「グループの利益」と「真似されにくさ」の合計が14を超える活動をピックアップ。
➡自分が使ったと思われる「能力」を記入する。
(思いつかない場合は「かたよりリスト」を参照)

本書より

「かたより日記」は最低でも2週間は続けてみる。

サポート③
他者の「かたより」を探す
~人の「かたより」見て、自分の「かたより」を知る~
他人の行動を観察する。
➡自分の能力について考える。

ポジティブ心理学)
「他人がどのように能力を使っているか?」を観察したほうが、自分について考えるよりも正確な答えを出せる。

手順)
①あなたの戦うフィールド内にいる「成功者」と「凡人」の2人を思い浮かべる。
➡「成功者」は2~3人ピックアップ。
②その人達が、普段の活動のなかで、特に発揮していると思われる能力を、それぞれ3つずつ挙げてみる。
(思いつかないときは「かたよりリスト」参照)
③その人たちが、自分のグループやコミュニティで成果をあげるために、どのような能力を使っているか考えてみる。

※書き出す方が効果が出やすい。

本書より

🐾己を知るのは生涯の大事である

分析は1回やって終わりというわけではない。
➡グループ内の力関係が変わることはよくある。
=半年に1回は同じ分析をしてみる。

異能バトルに勝つために一番大事なこと。
=グループの中における自分のポジションを掘り下げること。

<解決編③ 異能を使いこなす>

🐾あなたの異能の正しい使いみちとは?

2つの目標)
①自分の「かたより」を正しく使う。
②自分の活躍を審査員にアピールする。

「才能がある」
周囲から活躍を認められた状態のこと。

異能の正しい使いみちを探す)
●エクササイズ③
かたより活用トレーニング
【手順A】
「かたより分析」で判明した、自分の「優位なかたより」を1つピックアップする。
➡「能力値」と「活用度」の合計が、最も大きいものを選ぶ。

ハイパフォーマーを上回る能力が1つもない場合)
(甲)
「かたより分析」のプロットを見て、「能力値」と「活用度」の合計が2~3番手のかたよりをピックアップする。
(乙)
「かたより分析」の最初のステップにもどり、別のフィールドから優位なかたよりを探す。

どちらか片方だけでもOK。
➡基本手には両方行う。

能力が活きる場を見つける。
➡常に複数のフィールドで「かたより」を探し続ける必要がある。

フィールドを1つに絞る。
➡負けたときの再調整が大変。
異能が機能しやすい集団を見逃す確率も上がる。

弱者が勝つ。
さまざまな人間で構成されたグループをいくつもわたり歩く。
➡よりよい「かたより」を探し続ける。
=「かたより」のポートフォリオをできるだけ多様にする。

【手順B】
ピックアップした「優位なかたより」につてい「この能力を、今日はどのように新しい方法で使うことができるか?」と考えてみる。

例)
「忍耐力」が優位だった場合。
「これはめんどうだ」と感じている作業をリストアップ。
➡ひとつひとつに粘り強く取り組んでみる。

「好奇心」が優位だった場合。
「今までやったことのない仕事はなんだろうか?」
「まったく違う仕事の方法はないだどうか?」
➡思いついた作業に取り組んでみる。

【手順C】
さきほど考えた内容を、文章にして紙に書き出す。
例)
・「忍耐」という異能を発揮するために、今日は先延ばしにしていた事務作業をする。
・「好奇心」という異能を発揮するために、今日はいつものジムで新しいトレーニングをする。
など。

【手順D】
紙に書き出した内容を、1日のうちにできるだけ多く実践する。

A~Dの手順は、最低でも1周間は毎日繰り返す。
(毎日同じ異能を使っても、別の異能を使ってもOK)

【手順E】
1周間が過ぎたら、最後にその成果について考えてみる。
以下の質問の答えをメモしておく。
Q:意識して異能を使うことで、自分はどのように感じたか?
Q:異能を使ってみた経験から、何を学ぶことができたか?
Q:グループや集団(特に審査員)に、どのようなメリットをもたらすことができたか?
メリットがあったなら、それは10点満点でどれぐらいのレベルだったか?
(主観的な採点でOK)

【手順F】
ここまでの作業を振り返りながら、自分の「優位なかたより」を活かす方法を、ひとつの具体的な文章にまとめてみる。

例)
・「私は『共感』と『コミュニケーション』が優位なので、いまの会社における大口顧客のニーズを理解し、そのニーズを同僚へ明確かつ正確に伝える」
・「わたしは『リサーチ』が優位なので、自社の専門的な開発プロジェクトへ積極的に関わり、必要な情報をハイパフォーマーに提供する」
・「私は『倹約』が優位なので、趣味のランニングのコミュニティで資金管理を行い、定期イベントを成功に導く」
など。

本書より

文章のとおりに行動する。
➡予想どおりの成果が出るかどうかを確認する。

手順A~Eも意識して繰り返す。
➡つねに自分の異能を新たに活かす方法を探す。

🐾世の中で活躍するには自己アピールが欠かせない

「かたより活用トレーニング」を繰り返す。
=異能を使いこなすための基本中の基本。
➡やればやるほど精度が高くなる。

※自分の成果は自分の口で語らないと、まわりの人たちが、価値に気づいてくれることはまずない。

✘「良い仕事さえすれば認めてもらえるはずだ」

自信に満ちた態度の人。
➡嫌なやつだと思われるリスクがある。
「この人は有能だ」
➡印象をもたれやすいメリットもある。

自己アピールを控える。
➡自信があるだけで能力のない人たちに活躍の場を奪われる。

”正しく自慢する方法”を探る)
●エクササイズ④
「自己アピールプランニング」
ウェスタン大学アイビービジネススクールなどの研究チームが開発したエクササイズ。
➡ビジネスのコミュニケーション能力を高めるためにデザインされたもの。
・従業員の交渉力アップ
・スピーチスキル改善
・情報伝達の効率化
など。
➡高い効果が認められている。

手順)
【手順A】
内容プランニング
➡アピールしたいことを深掘りする。
Q:自分の脳力をうまく活かせた事例はなんだろうか?
Q:私がアピールしたい貢献・業績・達成はなんだろうか?
Q:私が、その貢献・業績・達成を伝えたい理由はなんだろうか?
Q:この自己アピールにより、私はどんな異能を伝えたいのか?
➡アピールしたい内容はワークシートに書き込む。

自己アピールが思い浮かばない。
➡定期的に自分自身の成功例のカタログを作る。
例)
①1週間に1回だけ10分程度の時間を作り「今週うまくいったことはなんだろう?」と考える。
②思いついた答えをシンプルな文章にまとめ、メモに残す
「12名のパートタイム従業員を監督した」
「経営陣と協力して新入社員研修を刷新した」
など。
(どれだけ小さな業績でもOK)
➡自分が最もアピールしたいものをピックアップする。

【手順B】
審査員プランニング
「審査員」をイメージしながら考える。
Q:「審査員」について、私が知っていることは何だろうか?
私はどのような知識を持っているだろうか?
Q:「審査員」は、私の貢献・業績・達成をどれぐらい知っているだろうか?
もし「審査員」がこちらのことをまったく知らないときは、どうすれば私の貢献・業績・達成を理解してもらえるだろうか?
Q:「審査員」のモチベーションが、最も上がりそうな情報や行動はどのようなものだろうか?
Q:「審査員」のなかに、メインのグループとは意見が異なる別のグループはふくまれていないだろうか?
(社内の部署内に2つの派閥がある場合など)
もし別のグループが存在するのなら、そのサブグループは、どのような評価軸を持っているだろうか?

シンプルな文章にまとめる。
➡ワークシートに書き込む。

【手順C】
「審査員」に向けて、自分の貢献・業績・達成をどのように伝えるのか掘り下げる。

ポイント)
Q:自己アピールの目的を達成するには、どのような伝え方がよいだろうか?
ストレートに自分の貢献・実績・達成を伝えるべきか?
それもと遠回しに伝えたほうが良いだろうか?
なにか失敗例も混ぜたほうがいいだろうか?
Q:その伝え方をした場合「審査員」はどのような印象を持つだろうか?
どのような反応をするだろうか?

シンプルな文章にまとめる。
➡ワークシートに書き込む。

伝え方に迷ったときのポイント)
・成功談には、必ず失敗談を混ぜる。
➡ポジティブな情報だけでなく、ネガティブな要素も加えるほうが無難。

自慢めいた印象が薄れる。
➡親しみやすさと信頼度が高まる。
=自分の功績がより際立つ。
(ポジティブ、ネガティブの比率は半々ぐらい)

・アドバイスが欲しいふりをする。
➡自分よりも目上の「審査員」に、アドバイスを求めるのも有効。

功績が自然と相手に伝わる。
➡自慢の印象を消すことができる。

「成功カタログ」を相手に見せる。
「私が行ったこの仕事についてアドバイスが欲しいのですが・・・・・・」
➡効果的

助言を求めるふりをする。
➡相手の頭に成果をすりこむ。

【手順D】
媒体プランニング
自己アピールの媒体を考える。
Q:「審査員」に自己アピールするには、どのような手段を使うべきだろうか?
・対面
・SNS
・書面
・業界誌、ブログ
・セミナー、講演
など。
Q:「審査員」は、決まった媒体を好んではいないだろうか?
この自己アピールを、記録として残す必要はあるだろうか?
Q:その媒体を使うときには、金銭や時間の問題は起きないだろうか?

シンプルな文章にまとめる。
➡ワークシートに書き込む。

本書より

媒体には人間も含む。
=自分を宣伝してくれる人。

※他人を通じた自慢は、本人が自慢した場合よりも印象がよく、より有能だと思われる傾向がある。

他人に自分を褒めてもらう。
➡まずは自分自身が、周囲の人たちをほめる。
=賞賛に応じて、相手も同じ行動を取ってくれる。

🐾能力の「使いすぎ」または「使わなすぎ」問題

「使いすぎ」例)
「自信」の能力を使いすぎる。
➡「傲慢」でしかなくなってしまう。
「協調性」を使いすぎる。
➡「自主性のなさ」に変わる。
など。

能力を使いすぎる。
➡弱点に変わる。

「使わなすぎ」例)
「好奇心」を持つ人。
➡なぜか社内の人間関係だけには無関心。
「慎重さ」を持つ人。
➡部下の指導では雑な対応をしはじめる。
など。

サポート④
”使いすぎ/使わなすぎ”分析
~正しい能力の使い方をチューニングする~
「優位なかたより」を適切なレベルで使うための手順)
【手順A】
「かたより活用トレーニング」で、あなたが最も活かしたいと判断した異能を1つだけピックアップ。
➡ワークシートに記入する。

【手順B】
まずは「この能力を使いすぎたらどうなるか?」を掘り下げる。
Q:私の異能が強すぎると何が起きるのだろう?
他人はどう思うだろう?
Q:他の人に、どんな非難をされたことがあるだろうか?
Q:自分の行動や発言について、何か正当化する傾向はないだろうか?
➡ワークシートの「使いすぎる」に書き込む。

【手順C】
「この異能を使わなすぎたらどうなるか?」を考える。
Q:私の異能の反対語は何だろう?
Q:この落とし穴を避けるために、どんな行動を取るのが理想だろう?
Q:私は他人のどんなところに憧れているだろうか?
➡ワークシートの「使わなすぎる」に書き込む。

【手順D】
その異能の最適な使い方を考える。
Q:異能を使いすぎず、かといって使わなすぎない、ちょうどよいバランスはどこにあるだろうか?
Q:「使いすぎ」と「使わなすぎ」の両方の欠点を改善したら、どのような行動が生まれるだろうか?
Q:「使いすぎ」と「使わなすぎ」の両方の長所を改善したら、どのような行動が生まれるだろうか?
➡ワークシートの「最適な使用法」に書き込む。

本書より

例)

本書より

<おわりに 現代は(思ったよりも)希望に満ちている>

🐾多様化した世界では、より多彩な経験と能力が価値をもつ

「才能など存在しないが、誰でも持っているものである」

特定の状況でうまく機能する能力。
=「才能」
特定の状況でうまく機能しない能力。
=「欠点」

能力が評価されるか。
➡状況によって変わるもの。

人生で獲得する評価。
=グループ内の相対的なパワーバランスで決まるもの。

基本ルール)
「ルールの数が多い世界ほど、あなたは異能バトルに勝ちやすくなる」

多様性の時代ほど、大きな意味を持つ。
「多様性」
いろんな価値感や、性別、能力、個人の違いを受け入れる、という考え方。

多様性の時代。
=評価するルールが増えた時代。

多様化した世界。
➡より多彩な経験や能力が価値を持ちやすい世界。
=かつて評価されなかった資質を活かしやすい世界。

🐾多様性が増した世界には、副作用もある

ルールがあいまいな世界。
「なにをすれば成功できるのかがわからない世界」

成功へのルートがハッキリしない状況。
「自分は何をすべきか?」
➡判断がしづらくなる。
=途方にくれる人が増えてしまう。

価値の基準がわからない。
➡自分の才能に悩む人が増えるのは当然。

ルールが増えた社会の長所/短所)
長所
➡異能を活かせるチャンスが増える。
短所
➡選択肢の多さで人生の先が見えなくなる。

知ることだけでは十分ではない、それを使わないといけない。やる気だけでは十分ではない、実行しないといけない。

ゲーテの言葉

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