渡部佑美は凄い!

”渡部“と聞けば、誰もが「あの芸人」を思い浮かべる時期だが、
全く関係ない、”渡部佑美”である。

正直、名字にしても名前にしてもよく間違えられる感じのオンパレードである。渡辺、渡邊、祐美、裕美、恐らく名前を口頭で聞いて一字一句間違えずに書ける人というのは、相当すごい人であると私は思う。

が、それ以上に渡部佑美は凄い

初めて会ったのは、2年ほど前の夏、阿佐ヶ谷シアターシャインである。
毎年シアターシャインは、七夕祭りの時期に地域住民に貸し出しをしており、私が所属する落語 サークル・杉並江戸落語研究会の一部若手がその期間を利用して落語会を行っていた(都合のいい情報には敏感な輩だ)

その中で、私も1日出演することになり(ちなみに前年、その寄席でいただいたカンパを出演者で割るはずだったが、結局もらっていない。つくづく図々しい連中だ)、劇場に向かったわけだが、その日に劇場前の受付をやっていたのが、誰あろう渡部佑美であった。

まだ大学を卒業して上京したばかりだったと記憶しているが、人当たりのいい人という印象であり、商店街の道楽の様なイベントでちゃんとバイト料も貰えないだろうに、献身的に受付兼売り子としてジュースやなんやらを売っていて「きっと良い子に違いない」と印象を受けた。
そして、「今日宜しくお願い致します」と愛想もよく仕事もできそうな印象だったのだが、恐らくお互いに何か同じ匂いを感じた。
事実、なんとなく渡部佑美も「私に何か聞きたそう」なオーラを出しつつ、私に「社会人のサークルさんですか?」「このあたりで活動されているんですか?」と聞いてきた。

なんとなく当たり障りのない話題をしながら、恐らく上京してきたばかりのうら若き乙女であった渡部佑美は演出家特有の人間観察をしていたのだろう。
一先ず、「自分の真の姿・身分を明かしても大丈夫そうだ」と判断したと見えて、自分が劇団の主宰をしているという事を話してくれた。

劇場といえども、商店街の七夕祭り、落語のイベントではあったが、やはり同じ穴の狢、「小劇場で演劇をやっている人」という事をお互いに感じていた。当時は、七夕祭りといっても時期は8月だった。
その一か月半後に渡部佑美は自身の劇団はみだしぼっちの公演を控えていた。
https://stage.corich.jp/stage/93841
https://hamidasibotti.wixsite.com/hamidasi/history?lightbox=dataItem-jmqa5n5v

当時、渡部佑美は単身上京してきていたので、お客さんと仲間を探していたのだ。私が「大した子だなー」と本当に感心したのは、こういったイベントへのお手伝いも「活動拠点で知り合いを増やすため、客を増やすため」であったことで、これは結構重要なことで、なかなか皆やっていない事である。
それをやっていて、立派なものだと思った。

かつて、様々な劇団で制作をやっていたので、そんな話をすると「あ、この人お客さんで来てもらうより、仲間にした方がよさげだ」と判断されて、公演の期間中に制作のお手伝いで伺うことになった。
この位の事は、よくある話なのだが、渡部佑美の凄い所は「いかなるスタッフさんにも」ギャラは払って叱るべきという素晴らし考えを持っていたことだ。読んでいるか、広田淳〇谷賢〇。

今まで、さんざっぱらタダ働きやら安く使われてばかりきた私は、「渡部佑美は凄い!」と感動を覚えた。
どうやら、彼女は修行の一環で自身の劇団のほかにも「虚構の劇〇」というところでもスタッフをやっていて、そこで反発を覚えて今の様な考えに至っているようだ。
この「人をいかに安く使うか」ばかりを考える新資本主義的な経営者などが蔓延している日本においてこう考えられる渡部佑美は実に素晴らしいし、こういう人が演劇をやれば世の中もっと良くなるのにと思った。

もちろん、彼女に対しては心配なこともあった。
「しかし今時、鴻上○○なんて過去の人の所で演劇やるなんて、大丈夫かあの子」と心配だった。

だが、やっぱり渡部佑美は凄かった。
公演時に、キャスト・スタッフさんとお会いしたのだが、かなりの人々が大阪の学生時代からの付き合いであり、「渡部佑美とまた演劇やったら楽しかろう」と集まった方々が多数を占めていたのだ。

もっと端的に渡部佑美が、この公演に向けて、「こんな事やった」「これもやっていて凄い」とか書きたかったのだが、思っていた以上に長文になったので締める。今回のZOOM演劇が成功し、余力があったら続編を書こうと思うのであった。
ちなみに「成功の基準」は、各自に送られる投げ銭で渡部佑美の家賃が払えて演劇を向こう何年間か続けられる事を意味している。


どんな形になっているか、上記の第1回の稽古場配信でご確認ください。

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劇団はみだしぼっち リモート朗読劇配信『落研怖い』
!無料・投げ銭制!

本番
2020年6月20日(土)22:00

稽古配信
6月15日(月)22:00
https://youtu.be/bozENz4cp54

6月19日(金)22:00

~落研怖い あらすじ~
落語女子の高橋弓子は、「大学生になったら落語研究会に入って、いっぱい落語を勉強するんだ!」と意気込んでいた。
しかし、いざ入ってみたら、そこは落研とは名ばかりのただの飲みサー。
これは、真剣に落語がやりたい弓子と、ゆるい雰囲気を愛する会長との闘いの記録である。

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脚本・演出 渡部佑美 https://note.com/osakanafurby

出演 江澤蛍 https://note.com/ezwhtreh

清水建志 https://note.com/shimizuxyz

飯室翔太 https://note.com/tobi1166

シーサー裕富 https://note.com/gekiotoko4989

593 https://note.com/593artwork

白石友里恵 https://note.com/shira_yurie

宣伝美術 モリグチロカ

コロナに負けるな!
朗読劇配信します! せっかくなので稽古の様子も配信します。


視聴は無料!もし応援したいなと思ったキャストがいたら、各記事の「サポートする」から是非投げ銭をお願いします。

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