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メディア露出に直結する 広報向けニュースレター・企画書の書き方 サンプル付

マスメディアに自社を取り上げられたい、という場合に有効な「ニュースレター」をご存じでしょうか?

「プレスリリース」は出しているが、「ニュースレター」は活用したことがない方もいると思います。
実は、PR代理店やメディア露出を得意としている広報職の方は、「プレスリリース」よりも「ニュースレター/企画書」を使いこなしている場合があります。
そんなニュースレターのメリットとすぐに書けるポイントを紹介します。


ニュースレター/企画書とは

ニュースレターは、メディア関係者向けに送る資料の形式の一つです。呼び方は人によって異なり「企画書」「報道資料」「コンテンツ資料」などということもあります。意味合いとしては「企画書」が最も分かりやすいと思います。

書き方に特殊なルールや条件がある訳ではなく、メディア関係者に「こんな企画はどうでしょうか?」と提案する資料です。
「プレスリリース」と似ているものの、書く内容や使い方が若干異なります。

ニュースレター/企画書とプレスリリースの違い

プレスリリースもニュースレターも「メディア関係者向けのお知らせ」という意味では同じです。
異なるのは書ける内容です。

プレスリリースの記載内容にはある程度の制約・条件があります。
たとえば、企業の公式情報として内容や文体は企業然としたものが求められます。特に内容には新規性が求められ、新商品/サービスの開始、あるいは経営・人事などの企業情報が必要で、過去に発表した内容は2度は使えないなどです。
プレスリリース配信サービスのPR TIMES社は新規公開情報が含まれていないプレスリリースの配信を認めていません。(https://prtimes.jp/magazine/acceptability-standard/

一方、ニュースレターにはそうした制約がありません。
他社のことを書いても良いですし、新規公開情報が含まれていなくても問題ありません。なぜなら世の中にそのまま公開するものではないからです。
私個人はプレスリリースは素材、ニュースレターは料理と解釈し、よりメディア関係者が食べやすい(そのまま企画に通しやすい)資料にすることを意識しています。
つまり、プレスリリースよりも、掲載・放送に直結しやすい資料に位置付けています。

ニュースレター/企画書のメリット

一部ではニュースレターはプレスリリースを出すネタがないときに、代替手段として作成するものと紹介されているようです。しかし私はむしろニュースレターの方がメディア露出に直結することが多く、「今だ!」と思うときに作成するようにしています。
私の経験ではニュースレターからTV番組「沸騰ワード10」、「おはよう日本」「ZIP!」「めざましテレビ」「ワールドビジネスサテライト」など各種番組や、「日本経済新聞」「日経ビジネス」などに取り上げられたことがあります。

ニュースレターには以下メリットがあります。

  • 1枚のテキスト資料で取材に繋がる場合がある

  • 特にTVや新聞、雑誌などの大衆向けメディアに有効

  • 新情報(新製品、企業提携など)がなくても作成できる

著名企業でなくても、BtoC、BtoB問わず、良い企画があれば作成可能です。

ニュースレター/企画書の書き方とポイント

具体的に何を書けば良いか、の前に形式についてご紹介します。

形式

ニュースレターのフォーマットにルールはありません。各自が工夫してOKなのですが、参考として私のおすすめの形式をご紹介します。

  • サイズ:A4 1枚で完結

  • フォント:12以上

  • カラー:基本はモノクロ

  • デザイン性:不要

  • 画像:意図がある画像以外は極力省く

  • FAXで送付する場合は宛名を書く(相手の部署/番組名/コーナー名)

  • 下部に問合せ先である自身の連絡先を記載

この形式を推奨するのは理由があります。

①A4用紙1枚で完結できるまで1テーマを絞り込む

色味やデザインよりも”企画になっているかどうか”にこだわることが重要です。
メディア関係者はメールやFAXを数秒サラッと見て、使える企画か否かを判断します。数ページに渡るボリュームがあっても採用できる企画になっていなかったら意味がありません。そのため、ボリュームは極力絞り、デザイン性も気にしません。

②ターゲットの番組/紙面の構成で書く

とんな内容を書けばいいか、はターゲット媒体によって決まります。

ビジネス系メディアの例
例えばテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」、NHK「おはよう日本」のおはBizなどビジネス色の取材を狙うなら、ニュースの構成は以下のケースが多いです。

「報道するきっかけ(統計データや今日の出来事)」
→「取材(サービスが使われる現場)」
→「取材(サービス提供企業の代表のインタビュー)」

これを企画書の中で展開します。

トレンド情報メディアの例
トレンド誌や「めざましテレビ」のイマドキなどをターゲットにするなら、キュレーション型にします。飲食店を紹介してもらいたいなら、そのエリア、フードのカテゴリなど自社以外の情報も盛り込みます。
第3者推奨やお墨付きがあればそれを記載するのも良いでしょう。

ただし、「ハロウィングッズ特集」「バレンタインチョコ特集」など誰もが考え付く時節ネタは大手飲食チェーンや大手メーカーの情報で埋まってしまいます。キュレーションの工夫が必要でしょう。

「医師がおすすめする●●」
「意外な客層が来店している●●」
「今年ならではの●●のトレンド」など企画を工夫し、他社情報も含め、キュレーションします。

人物が軸のメディアの例
企業のサービスではなく、人物を軸にしたメディアの枠はかなり多いです。
ある製品/事象のマニア、もしくは専門家がその製品について語るものです。
新聞、ビジネス系メディアでも経営者など人物にフォーカスしたインタビューのコーナーがあります。
そういったメディアには当該人物のプロフィールをニュースレターにします。しかし、単に当該人物の学歴や会社の沿革、提供サービスの開発経緯を書いても企画の採用率は低いです。

人を軸にした記事にはいくつかの傾向があり、以下などの要素を盛り込む必要があります。
・どれだけのマニアなのか
・どれだけの専門家なのか
・社会的意義のある事業に取り組んでいるか
・人生に起承転結があるか(読んだ人に勇気を与えるような挑戦と成功がある)
・読者にとって役立つノウハウを語れるか

③定期的に作成するのではなく「今」書く

ニュースレターを企画にするときに大事な視点が「なぜ今」です。

”今取り上げる理由”がないと、記者から「今後ニュースがあるときに掲載を検討します」と言われ、そのときがやってこない、、、となりがちです。これは自社が主語になるプレスリリースのあるある話です。

自社のタイミング(自社の都合)ではなく、社会のタイミングに合わせたニュースレターは採用確度が上がります。社会情勢や法改正のタイミングなどを活用し、既出の情報を企画にします。
例えば以下などです。

  • 本日の政府の発表によると~(コロナ第●波の予兆が来た、経済指標、統計情報など)

  • 法改正1カ月を目前に~

  • 年末商戦のピークを前に~

ニュースレターは定期的に毎月送る、など継続的に作成・配信することを推奨するケースがあるようですが、個人的には必ずしもその必要はないと考えます。「世の中の動き的に今書くべき!」というタイミングに瞬発力をもって作成する方が掲載の近道です。

定期的に送付することで相手に覚えてもらえると考えるのは送り手側の都合です。情報を受け取る側が「あの会社さんのニュースレター、今月はまだかな?」とは残念ながら思わないでしょう。
毎月無理にネタを捻り出すことに時間をかけるよりも、ネタがないときは作成しないと判断することも、タイムマネジメントの1つでしょう。

ターゲットメディア別のニュースレター/企画書のサンプル

具体的に、ターゲットメディア別のニュースレターのサンプルをご紹介します。

経済番組・ビジネス雑誌

これは「ワールドビジネスサテライト」などのビジネス番組を意識したニュースレターです。

「なぜ今」にあたる「コロナ第7波」を冒頭に記載し、社会的意義のある事業を紹介しています。また他社が直近発表した統計データの引用や他社のサービスの紹介も併記し、客観性を担保しています。

画になる取材先として、当該サービスを利用している顧客に取材できる可能性についても触れています。

テレビの情報系番組

企業の人気商品などを紹介する情報系番組に提案するときのニュースレターです。

新情報はなく、すでにオープン済みの既存店舗の情報ですが、「今この事象が起きている」として紹介しています。
ターゲット番組のテロップになりそうなキーワードを冒頭3行に散りばめています。

特にTV番組向けには「画」になる情報を記載すると採用確度が上がるので、自社サービスの紹介文ではその点を重点的に記載しています。

インタビュー枠

経営者や専門家にインタビューする連載枠向けに送るニュースレターです。例えば日経新聞の@EDGE、日経ビジネス、Webメディアなどです。

これはとあるカテゴリーの専門家を紹介するニュースレターで、そのノウハウが語れることを企画にしています。
ノウハウを駆使することで仕事で成果が出るので読者にとってメリットがある企画として提案しています。

まとめ

ニュースレター/企画書は、ここでご紹介した書き方のみが正しいワケではありません。
ターゲットメディアにはどういった記事が掲載されているか、どのような構成になっているかを調べ、メディア関係者側の視点に立って作成すれば掲載確度は上がると思います。
ぜひご活用ください。

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