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「鮪のシマハラ」らしいランチ営業を考える。


 ランチ営業が居酒屋をブラック化させる。そう考えてきました。自店の力不足を棚に上げて恐縮ですが、どう考えても難しいのです。

 数字で考えていきましょう。まずは料理です。神保町のランチ相場価格は1,000円前後かと思います。一般的な飲食店の原価率は30%~40%です。そうです。300円~400円で料理を仕上げないといけません。う~ん、マグロでは絶対無理です。相当劣悪なマグロを使わないと数字内に収まりません。

 それでは唐揚げ定食や生姜焼き定食を提供するのか?ダメです。まったく「鮪のシマハラ」らしくありません。私たちの提供するランチは、絶対マグロ料理である必要があります。そこで、比較的マグロの使用量が抑えられる「マグロばらちらし」一択になりました。はい。「鮪のシマハラ」のランチメニューは「マグロばらちらし」のみでの営業です。爆笑です、絶対お待たせしません。

 次に人件費です。ランチの日商を50,000円と設定します。仕込みも含めて勤務時間は10:30~14:30の4時間です。人件費を30%で考えると、日商の30%である15,000円が人件費の許容範囲です。時給1,500円で一人当たり4時間の6,000円。3人では多すぎて、2人で営業しなければなりません。数字上はそうなります。ますます絶望的です。しかもこの概算は、日商を50,000円にしてあります。想定単価の1,000円で考えると50人の来店が必要です。この辺りから絶望を超えて笑みがこぼれてきます。

 そんな絶望的な気持ちをポジティブに。「鮪のシマハラ」のランチ営業は、スタッフ2人が「マグロばらちらし」のみを提供するというトリッキーな形でのスタートとなります。ただ「ばらちらし」にはマグロ愛を詰め込みました。きっと喜んで頂けると思います。


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 損益分岐もFLコストも無視し、鮪のシマハラ「らしさ」だけを追求してきました。そんな自分が、なぜランチ営業だけは数字で考えたのか。それは、やっていることが間違っていないとう確認のためです。上記のようにFLコストや損益分岐など賢しげな数字で構築した店舗が、輝きを放つことなど絶対ありません。ぜんぜんワクワクしないのです。

 「つぶれないお店」がやりたいわけではありません。「私たちはマグロが大好きです。みなさんはどうですか?」そんな気持ちで営業する私たちの生き様で繁盛したいのです。「0か?100か?」のお店を創っています。賢しげな数字は5店舗になったら考えます。元気がでてきました。「鮪のシマハラ」はやっぱりこうでないと。

 「鮪のシマハラ」が倒産に追い込まれることがあるとするならば、それはコロナウィルスの影響ではありません。数字より「らしさ」や「想い」を優先した結果です。そんな店主でありたいです。


追伸 「ランチ儲からなければどうしますか?」ですって、もちろんすぐヤメちゃいますよ。




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