マガジンのカバー画像

アメリカ生活:シマリスのだいたい今

290
最近のお話をまとめました。シマリス界では最近とはだいたいここ10年以内のことです。
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

呼べば来る、呼ばずとも来る

これはチキディー(Chickadee)というコゲラで、この辺りではよく見る野鳥です。日本にいる雀のふた回りは小さい鳥です。 小さな体に似合わずなかなか大胆で勇気ある鳥で、さらには好奇心旺盛なので、外でタネを手に動かず待てば何時間かの間に来てくれるようになります。冬の間、うちの餌箱に来る野鳥は10種類ほどおりますが、手にくるようになるのはチキディーだけです。 うちの夫は寒い中(手にくるのは餌が乏しい冬だけですので)何時間かごとに外でチキディーを呼び、手にとまらせるという訓練を毎

Have a nice dayの魔法

私が今教えているのは9年生、10年生、11年生で、ちょうど思春期真っ只中の難しい盛りです。 オンライン授業になり、アメリカの生徒たちも家族がいる自宅で一人っきりで授業を受けるのはやりにくそうですが、留学生にとっては夜からの開始になり、なかなか勉強のペースが保てなかったり、先生に会う時間や友達との雑談もなくなり、宿題が出来なかったり提出物が遅れがちになる子供が本当に多いです。 クラスにいる留学生はヨーロッパ、南米、東アジア、とバラバラですが、特に中国・韓国・日本からの子供たちは

たかがお昼ご飯

我が校には寄宿生がいるので、学校のカフェでは朝、昼、晩と3食の提供があります。 基本的にはビュッフェスタイルでビーガン、ベジタリアン向けやグルテンフリー、ナッツフリーなどの献立もありそれぞれが食の好みや規制に応じて選べるようになっています。アメリカですが留学生も多いので3食にあらゆる地域のメニューを出してくれるので、朝は中華粥、昼はナポリピザ、夜はパエリヤに焼き鳥、など飽きることはありません。 ありがたいことにどれだけ食べても無料で、しかもメニューも豊富なので学校がある日は外

夫を全力で褒めて自慢するnote

私の夫は大学を卒業してから本格的に日本語を猛勉強して、努力努力、また努力の果てにたった2年で日本語検定1級に合格した努力を惜しまない天才です。が、日本語が流暢に読めて話せて書けるけれど、私の記事を読むことはないです。 パンデミックが始まった当初はちょっと不安でした。何しろ結婚する前にも後にも、こんなに長い時間一緒に過ごすのは初めてだからです。そもそも結婚なんて興味もなかった私が(その辺りの話はこちらで読めます)結婚生活をここまで続けてきたのも奇跡に近いのに、さらには毎日24

君はくるくると踊っているかい?:Paolo Conte ”Via Con Me(一緒に行こう)”

大人になってからの音楽は、どれも誰かの顔が見えてくるし、風景も匂いまでも思い出せるものが多い。特に誰かに紹介されたり、偶然の一致を発見したり、そんな音楽を聴く時にはその人を思うし、その人を思う時には特定の音楽が聴きたくなる。 ピエトロが私の生徒だった時間は2年間と短かったけれど、思い出はたくさんある。ひょろひょろのやせっぽちで背が高く、いつも彼がぎゅっと背中を丸めるか、私が木を見上げる様に首を曲げないと目を合わせて会話が出来ない。 ニコニコと静かに笑う彼は毎日の様に放課後は

出番なしの冬

もう2月も真ん中。すでに1年近く対面で授業をしておらず、週末も休日も夫とふたりきりの生活を送っています。 前にも書いた様に、外に出ないこと・人に会わないこと自体は苦ではなく、むしろプラスに働いていることが多いのですが、仕事に関してはマイナスしかありません。 今日はクローゼットの整理をしながら今年の冬一度も出番がないままにまた来年の冬を待たねばならないものを手にした時に、ちょっとだけ外に出ない、人に会わないことを実感しました。 どれも大好きな冬のアイテムなのに、日の目を見さ

アメリカ50州の銘菓ってあったっけ?

現在アメリカの東海岸に住んでいる私。一応東海岸の一番北から一番南まで行ったことはあるのです。それ以外にもアメリカ国内はあちこち行っているのです。車で通り過ぎただけのこともあるし、修学旅行で生徒を連れて行ったところもあるし、学生時代にロードトリップで友人とドライブしたところもあるんです。 それなのに、例えば誰からか 来週ピッツバーグに行ってくるよ、とか ニューメキシコに里帰りする、とか カンザスシティに出張だ、とか あちこちの土地の名を言われた時に え!じゃあ、お土産で

Noteは生きている証明と自分用遺書だな

Noteの記事を読んでくれる人に私の顔や本名や身長体重や貯金の額を知る人間はおらず(身内では母しかnoteの存在を知りません)、それは自分が意図したことであり、これまでの友人や同僚や昔の恋人には私の視点で見た出来事をこれからも絶対に読んでもらいたくないと思っています。  それでいて、このページに存在している私というものは、自分がこれまで顔を見せ、心を開閉し、言葉を交わし、手を繋いできた直に関わりのある人なしでは成り立たず、その人たちが絡み付いている文章を本人が読むことが出来

痩せた・太ったの暴力

日本に帰国して一番憂鬱なのは長く会っていない友人やら親戚やら近所のおばさんやらから あら、シマちゃん、太ったわね〜 おっ!シマちゃん、痩せて綺麗になったね〜 などと体型についてのコメントを浴びせられることです。 まるで時節のあいさつのように言われます。 あら〜久しぶり〜シマちゃん、ちょっと見ないうちにポチャポチャなったわね〜 そんなに頻繁に帰国もできないし、私の周りだけなのかもしれませんが日本人の友人は男性も女性もわりと平気な顔で、面と向かって痩せた・太ったと言ってき

シマリス in a Winter Wonderland

昨日から降り積もった雪で、今日の青空が一段と美しく見えます。 外の気温は摂氏マイナス7度、寒いけれども極寒ではない気温です。ここでは冬になれば雪が積もるのは普通ですので、見慣れた光景ですがやっぱり美しいので庭でウロウロしたくなります。池はもちろん凍っていますがなぜだか毎年たくさんの金魚が生き残るんですね、生命って本当にすごい! 南九州のあったかい場所で生まれ育った私は大学で上京するまで延々と降って積もる雪を見ることはありませんでした。自室のベランダから静かに降る雪を見て感動

2021年 開拓時代の食事

食べたいものがちょっと歩けば手に入る、という天国の様なところにはもう30年以上住んでいないので、何かが食べたいなぁと思う時は ちょっとレシピ探してみよう とネットを徘徊する。便利な世の中になったね。パソコンが家になかった頃は味を思い浮かべながら、どうやって作るのかな・何が入ってたかな、と行き当たりばったりで肉まんや大福を作ったり、ウドンを打ったものだ。 ネットのやり方を辿ると、ちゃんとしたものはプロに任せるしかない様なものでも、なんとなく自分なりに納得いく程度の”食べた

海外の活字難民が行き着いた先

モミさんの “私と怖い話のこと”を読んで思い出したことがありました。 もう15年ほど前ですが、長い休暇でマレーシアかタイかの美しいビーチに旅行に出かけた時に手持ちのまだ読んでいなかった日本語の文庫本を持って行ったことです。 貴志祐介さんの “黒い家” でした。 *いろいろ出ている様ですがこの表紙だったと思います。 ビーチで傘の刺さったカクテルを飲みながら、白い砂浜に寝そべってパラソルの下で読む本、ワースト1のような選択です。素晴らしいホラー小説で、怖い話が好きな人には絶

Hey, sister!

大人になって友達を作り、友情を続けるのは難しいものだと常々考えている。 お互いがお互いを“この人だ!”と思い、親友になるのはまるで結婚相手を探すときの様に、様々な“一致”とタイミングの良し悪しが決め手となるのがわかったからだ。 今、誰かに “シマの友達は誰?”と聞かれたら一人の名前しかあげられない。 他にも仲が良くて一緒にランチを食べたり、海辺をぶらぶらしたり、お芝居を観に行く人間が周りにいるけれども、トモダチというタイトルを真剣な意味でとり、そのタイトルを授けられるのはケ