公務員こそ「リスキリング」で自律的キャリアを
『LIFE SHIFT 2: 100年時代の行動戦略』(アンドリュー・スコット, リンダ・グラットン、東洋経済新報社)に、会計事務所を解雇されてしまう50代のインという人物が登場します。
彼は解雇が通告されてからコーチングについて学び、フリーランスの会計士をしながらプロのコーチとして独立しようとします。
このときのインのコーチングについての学び、これがリスキリングです。
キャリア上の大きな変化に見舞われたとき、もしくはその変化に備えて、新たに必要となるスキルを身に付けるために学ぶことをリスキリングと呼びます。
理由はひとそれぞれですが、働き始めてから身に付けてきたスキルや知識では何らかの不足があり、今後のキャリアのために新しいことを学ぶこと。
人生100年時代が到来し、生涯で仕事に従事する期間が長期化し従来約40年間だったものが50年間超~60年間となる中で、学生時代を終えて最初に就いた仕事だけで終わるキャリアが珍しくなり、多くのひとが転職や副業、定年後の再就職などで2つ目、3つ目の仕事を経験する社会になりつつあります。
また、たとえ職が変わらなくても、社会の変化が速くなる中で、同じ組織の中にいても求められるスキルや知識は変化し続けています。
そのため、近年注目されているのが、新しいキャリアのための社会人の学び直し=リスキリングです。
さて、ではこの「リスキリング」ですが、私たち公務員にとってはどういう意味があるのでしょうか。
私は、公務員も上述したような社会全体の動きと、ほぼ同じ状況にさらされているのではないかと考えています。
つまりは、
これらの状況から、公務員にもリスキリングが必要になってきているとは言えないでしょうか。
このリスキリングは、上のような状況に「対応」するために必要という、やや防御的な意味合いだけではなくて、自らキャリア自律を実現する、つまりは「いつでも役所を辞められる職員」になるためにも重要なことです。
私自身は、常々「45歳までに、いつでも役所を辞められる人材になる」と公言しています。
そのために私が取り組んでいることのひとつがリスキリングです。
すべてリスキリングと言ってもいいかもしれません。
もちろん、辞められる人材になるために必要なのはリスキリングだけではなく、様々なひととのネットワークも必要ですし、経験してきたことのポートフォリオも必要ですし、家計の整理や家族との関係、そして健康も必要なことであり、まさに今取り組んでいる真っ最中です。
今、公務員として働いている多くの皆さんは、定年まで勤め上げるつもりで働いていることと思います。
そうだとしても、国鉄や郵政、年金機構のように、組織の移行によって公務員の身分を失うことはあり得ますし、市役所や県庁であっても人口減少や財政難から今と同じ人数の職員を養っていくのは難しくなるかもしれません。
また、仮に無事に定年まで勤めることができたとしても、その先、10年、長ければ20年近く、公務員ではない何らかの仕事に就く可能性は大いにあります。
そんなとき、やはり公務員としてそれまでに業務をつうじて身に付けてきたスキルや知識だけではなく、自分のその先のキャリアを意識したスキルや知識を学ぶ用意があるひとは強いと思います。キャリアの移行に備えて、学び始めることができていればなおのこと。
それこそキャリア自律ですよね。
公務員に限ったことではありませんが、働きながら学ぶのは簡単ではありません。平日の夜と土日に大学院のスクーリングやレポート、そして論文執筆を進めるのは相当ハードなはずです。
そんな中でも、比較的業務量が落ち着いている部署にいるときには、平日も18時には退庁でき、土日の勤務もほとんどなかったりすれば、そのタイミングこそリスキリングのチャンスかもしれません。
職場の状況をよく見ながら、自分のタイミングでリスキリングに飛び込むためには、自分のキャリアにとって必要なリスキリングについて予め考えておく必要があります。タイミングが来てから「何を学ぼうかな~」でもいいですが、下手するとタイミングを逃してしまうことも。
そういう意味でも、キャリアの節目で自分なりのキャリアデザインを考えておくこと、そして、今後のキャリアのために身に付けたいスキルや知識を意識しておくことは大切です。(もちろん24時間365日考えている必要はありません)
自分一人で考えるのが難しいと感じるときは、キャリアコンサルタントの力も活用してくださいね。
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