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日常の「ほうれんそう」を見直す

ストレスのない「正しいほうれんそう」をしているか

「位置」の概念は、気づくと忘れてしまいがちなため、日常的に上司と部下の「位置」を部下に認識させる方法をご紹介していきます。

それは、「ほうれんそうによる管理」です。

ほうれんそうとは、報告・連絡・相談です。ここでは、報告と連絡について見ていきます。

昨今の流行では、ほうれんそうは不要で「部下たちが自主的に行動すること」がもてはやされています。

しかし、その方法では、「成長する人はどんどん成長し、ダメな人はずっとダメなままで放置する」という事態を引き起こします。

識学の考えには、「実行すれば全員が成長できる」が根底にあるため、ほうれんそうは有効な方法だと考えています。

なかなか結果が出ない部下には、「ほうれんそうによる管理の回数を増やす」という方法を取ります。結果が出たら徐々に回数を減らしていくのが正攻法です。

部下がストレスを感じる「ほうれんそう」とは

「姿勢のルール」と同様に、ほうれんそうと聞くと「面倒くさそう」「不自由だ」という反発が起こると思います。

確かに、報告や連絡をする度に「全然できていないじゃないか」と怒られていたら、ストレスを感じますよね。

ミスを隠したり、失敗の報告が遅れてしまうでしょう。報告や連絡の滞りは、組織の成長を止めることにもつながります。

反対に、報告の度に喜びすぎるのもNGです。

「すごい」「やればできる」など大げさに褒めてしまうと、部下は自分が凄いことをやっていると勘違いします。

「あたりまえ」の基準が下がるからです。大事なのは、「機械的なほうれんそうをさせる」ことです。

ここでも、「仮面をかぶる」というイメージで接するのが大事なのです。

若手のリーダーによくある悩みのうちに、「自分がやった方が早い」という話をよく聞きます。

いざ部下に仕事を振っても、進捗が気になり、細かく確認してし、全体のスピードが下がってしまうと言います。

このような場合、ルールの設定をします。

「部下が定期的に、1日3回、報告する」というルールを設定するのです。
上司の方から声をかけるのではなく、部下から報告させることを徹底しました。

すると、管理の時間が大幅に削減でき、部下も締め切りの時間を意識して業務をこなすようになります。

部下からすると、ほうれんそうは億劫になることがあります。

「できていないと怒られるのではないか」

というように、感情が絡んだ「見えないハードル」があるからです。スムーズにほうれんそうをさせるためには、その場でほめたり叱ったりせず、「機械的に事実だけを聞く」というリーダーの態度が重要になります。

「寄り添ってほしい」という誇大妄想

逆に、上司から部下に確認するような状況はNGです。

先ほどの「自分がやった方が早い」と思っていたリーダーも部下の行動を確認しすぎていたことが原因でした。

今、「1on1」ミーティングという手法がもてはやされています。

これは部下に対して、「最近はどんな調子か」「困っていることはないか」と、カウンセラーのようにヒアリングし、モチベーションを引き出していくマネジメント法です。

実は、1on1は「位置」を間違えたダメな方法です。

このような1on1を週次などの高頻度で行っていると、部下はできなかったときの言い訳を聞いてほしいため、「話を聞いてくれるリーダーが求められてしまう」のです。

つまり、寄り添うリーダーが、成長の止まっている状態を正当化してしまします。

リーダーがそのことに早く気づけば、もっと早く部下たちは結果を出し始めます。部下に確認するのは、あくまで「情報を吸い上げる」という行為だけです。

「報告・連絡」と「相談」は異なる


ここまで、ほうれんそうの重要性を述べてきました。ただ、「相談」に関しては要注意です。上司が相談に乗っていいことは次の二つです。

1:「部下の権限では決められないこと」を決めるとき
2:「部下が自分で決めていい範囲なのかどうか」を迷ったとき

一つめは、例えば部下が持っている予算以上の施策を実施したいときの相談です。

二つめは、例えばお客さんへのクレーム対応の際に、「上司を出せ」と言われたとします。現場の対応判断は、すべて部下に任せていたとしても、自分の上司を動かく権限があるかどうか迷うことになるでしょう。その際の相談は受けて、自分が出るかどうかの判断をします。

相談に乗ってはいけないのは、明らかに部下の権限で決めることができる内容です。このときに、「こうすればいいんじゃない?」と言ってしまうと、部下の責任は、「上司の言うとおりに提案すること」に切り替わってしまいます。

「それはあなたが決めることだから、あなたがお客様にとって一番いいと思う提案をしてください」と突き返してください。必要以上に相談に乗ることは、部下の責任範囲を狭くし、言い訳できる環境をつくることになるのです。