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【詩】のすたるじっくふぃるたー

ここは 造られた憩いの場


ここは かつて
雨さえ降らなければ、
太陽の煌めきにも負けない
無邪気な子供達の眩しい歓声が、
いつだって溢れていた



あの石段を登った先には、
古い大木を削って造られたベンチがある


今となっては夢かうつつか
曖昧な日常をはっきり見ていたゆえに
そっと物語る証人に選ばれた
この古木は、
はるか昔 多くの幼い冒険者達が、
自分の力では見えぬ高みの景色を求めて
何度も手足をかけよじ登ったもの


古木と同じくその頃を知る
今のわたしの目には、
ここに残像が重なる

そのフィルターは、
淡いたまごぼうろの色味を
優しい味の牛乳で薄く伸ばしたような、
昭和の時代の色をしている

あの子の姿がある

あの子も
あの子も


かすかな笑い声が 風となって
芝生の上を
次々と躍りながら通りすぎて行く


あの子の話し声

あの子も
あの子も




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