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歯科と理美容の意外な関係 ―床屋床屋外科からの歴史から多職種連携の未来まで【⑬Another view 医療システムの過去・未来・海外】
このシリーズの3回目で、「なぜ、世界中で歯科は医科と別扱いなのか?」という疑問について考えてみました。 はっきりとした答えはいまだにないのですが、もともと歯科は理美容と近い業態で、そのことが、現在まで、医療の中での歯科を特徴づけているのではないか、と考えられます。 1. 歯科と理美容は産業構造が似ている私が歯科業界に身を置くようになった頃(1990年代終わり)、以下の理由などから、「歯科の産業構造は、病院よりも理美容に近い」と言われていました。 ① 治療椅子(ユニ
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「毎食後の歯みがき」は国際標準ではない! 本当に効果的なタイミングは…【⑧Another view 医療システムの過去・未来・海外】The Argument about the most effective time to brush your teeth.
※この記事は、月刊『アポロニア21』2015年6月号、2024年7月号掲載の内容を改変したものです。 歯みがきは、ホントに食事の直後がいい?「歯みがきはいつすればいい?」 と聞かれたら、日本人のほとんどは「毎食後」と答えるでしょう。 しかし、『月刊アポロニア21』の企画で、著名な歯科医師・歯科衛生士17人に、お口のケア習慣をうかがったところ、歯みがきのタイミングは「起床時」「食後すぐ」「入浴中」「就寝前」など、バラバラでした。 また、国際的に見ると、「食後すぐに」とい
¥200むし歯治療20万円⁉…「医療の金融化」が進むアメリカの惨状【⑦Another view 医療システムの過去・未来・海外】The effects of the "Financialization of Health" in the United States.
※この記事は、月刊『アポロニア21』2024年6月号掲載の内容を改変したものです。 アメリカの医療費が驚くべき高額に 現在、アメリカの医療費は、 「むし歯で20万円」 「軽い打撲の治療も20万円」 「盲腸の手術は1,000万円超え」 … など、日本人にはとても信じられない高額なものになっています。 「短期的な利益」を求める医療機関の運営や、医療関連のさまざまな産業がそれぞれに利益を追求するようになった結果、医療費の単価が極端に高額になってしまったのです。 治療費
¥300生活保護と医療保険は、スタートから別モノ!【⑥Another view 医療システムの過去・未来・海外】The public medical insurance system and the poverty relief system are different.
「医療保険」と「生活保護」の違いというと、なんとなくぼんやりしていることが多いようです。 しかし、歴史的に見ると、「生活保護に代表される社会扶助」と、「公的医療保険制度の背景となる互助・共助」は別モノです。 その違いがはっきりと見えてくる、そもそもの歴史的成り立ちを紹介します。 生活保護(社会扶助)は、救貧法からスタート 西ヨーロッパにおける社会扶助の歴史は、1601年にイギリスで成立した「救貧法」に始まります。 これは、都市部に流入する困窮者を自治体の責任で保護す
保険診療は、ホントに最低限の治療なの?【⑤Another view 医療システムの過去・未来・海外】The Japanese healthcare system is a pride of Japan.
しばしば「日本の保険制度はダメだ!」「保険ではちゃんとした治療ができない!」「貧しい人向けの制度で、国際標準に合っていない」などどとこぼすのを耳にします。 特に、歯科医師(歯科技工士、歯科衛生士、企業関係者も)が歯科医療制度について話す際には、常套句のようになっています。 しかし、制度の仕組みや成り立ちをみると、これは大きな誤解である上に建設的でもないように思えてきます。医科や世界との比較から、日本の歯科保険診療の実態や課題を考えてみます。 歯科では、「黄金期」から