"牛乳パック"どっちが好きですか?
こんにちは。
絵本と美術書の出版及び、デザインの基礎研究を行う視覚デザイン研究所の所長、内田です。前回は予告なしの公開でしたがたくさんの方に読んでいただき、いいねもいただきました。大変感謝しております。
今回は牛乳パックをテーマに、デザインの過程を公開します。視覚スケールを使って好感度の高いデザインを作りましょう。
どっちが好きですか?
深く考えないで一瞬の直感で決めてください。
感情は80%読みとれます
一瞬で選ぶとほとんどの人が<b>を選びます。
牛乳らしい爽やかな元気さに共感した結果です。
好みは人それぞれと思われていますが、実際には多くの人が同じデザインを好感しています。一人一人は異なっていても、全体から見ると共通しているのです。
デザインはこの共感を伝える技術です。
市販牛乳パックの好感度調査
2022年6月 視覚デザイン研究所実施 サンプル数33名
当室では市販牛乳パックのデザインに関しても、好き・嫌いを選択する好感度アンケートを実施しました。
このように様々なパッケージを集めたところ、市販の牛乳パックのパッケージの中で好感度A・Bに当てはまるのはごく少数で、約85%が好感度C〜Eに当てはまるものでした。
好感度Aのデザインをつくってみましょう
多くの人が好感するデザインは、当室が考える視覚スケールという物差しを用いることで作れます。好感度の低いデザインも、視覚スケールで調整すると好感度A・Bのデザインに変身します。
視覚スケール① 『画像率』 で親近感を表す
画像を大きくするほどひとの気配が高まり、親しみやすく安心感が強くなり、好感度が高くなります。しかし牛乳は嗜好よりも実用性が求められているため、画像率を5以上にすると実用性が弱くなります。牛乳は画像率2~5が最適値です。
市販商品の画像率
画像率を2~5にすると好感が集まっているのがわかります。
視覚スケール② 『文字のジャンプ率』 で元気さを表す
文字のジャンプ率を高くすると元気さが表れます。牛乳は文字のジャンプ率5~7が最適で、大きすぎると騒がしく下品になります。
市販商品のジャンプ率
上図★マークの商品は文字のジャンプ率が低いので上品な雰囲気ですが、同時にやや冷たくクールな印象にもなり好感度A・Bにはなりません。
視覚スケール③ 『色相』 は爽やかな青色に
色相を、元気さを表す赤色から冷静さを表す青色に変えると牛乳らしい爽やかさが表れます。
市販商品の色相
市販商品においても、活気・元気・力強さを表すはずの赤色を強調すると好感度が下がり、青色に変えるとメジャー商品になります。牛乳には他の食品とちがう役割が求められています。
好感度Aデザインが完成しました
最後まで読んでいただきありがとうございます。
当室では、視覚スケールをより使いやすくする方法を開発中です。
視覚スケールについて詳しい本や美術書も出版しています。
・デザイン書・美術書ストア
・今までのデザイン実験
また研究の成果を生かして、子どもの感性を健康に育てるためのえほんを出版しています。
・えほんストア
・視覚デザイン研究所公式サイト
視覚デザイン研究所のWEBサイトでは他にも、良いデザインとベストセラーの関係性や、選挙候補者の服の色とメッセージ性の考察など、さまざまな視点で感性の数値化や視覚スケールでの実験を行っています。
次回予告です
・乗ってみたいエコカーはどれ?
実験協力者募集
視覚デザイン研究所では、デザインを見て好きか嫌いかを皆さんに答えていただくアンケートを準備中です。当室の基礎研究に欠かせない大切なデータとなりますので、多くの方に協力していただけると大変嬉しいです。
※アンケートは近日公開。note、公式twitter、当室サイトのデザイン実験室に設置を予定しています。
実験のテーマも募集中。読んでみたいテーマがありましたら教えてください。また、自信のある商品ができたら好感度Aデザインにして発売してみませんか?無償で協力させてください。
次回もお楽しみに。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?