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ただ野球を楽しみたかったのだ

昨年は交流戦が中止ということもあり叶わなかったけれど、一年に一度東京ドームホテルへ泊まるという行事を20歳になってから始めた。それは日ハム対巨人戦に合わせての宿泊予約で、現ファン元ファンにとっては全身が奮い立つほどの一大イベント。

20歳の頃を思うと、よく東京ドームホテルに一人で泊まろうという思考回路にたどり着いたものだと若干引くけれど、行動力があると敢えて褒めておこう。この行動力のおかげで何事にも猛進出来るようになったのかもしれない。そう考えると、今も昔も私の「特別な時間にお金をかけることは何も惜しくない」という考え方・価値観には大きな変動がないようだ。


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それはそうと今日の試合はここ最近の日ハム現地観戦で初めて退屈と感じた。5回までリズムに乗り切れずテンポの悪い先発と、相変わらず打てない打者陣。巨人軍のチャンステーマが毎回流れるのに、ハムはだいぶ巻き巻きの様子で惜しい当りすらない。中田選手・野村選手が上がってきても勢いに乗れないハム打線を、途中から全くの無感情で見つめる私がいることに気がついてしまうくらい冷静だった。もう勝ちを信じていなかった。


なんだろうな。どういう展開だったのか記憶が曖昧なくらいフワフワと流れてしまう時間で、そして足早にホテルに帰り、部屋でワインを一人飲んでいる。


「負けて悔しい」「頑張ってほしい」「嬉しい」「楽しい」「また来たい」「ありがとう」。そういう感情の振り幅を試合前、試合中、試合後にいつも持って野球ファンとして約20年過ごしてきたけれど「退屈」と思ったことは今までなかったから、ひどく落ち込んでいる。趣味で感情が働くなってしまったら、私は何にすがったらいいのか。夢を与えてもらい続けてきた野球に飽きてしまう日がいつか来ることが怖いのだ。


ホテル側からのご好意でグレードアップした部屋に泊まることが出来た。きれいで快適でコーヒー類も充実しててのんびりできそうだ。今その部屋で一人ワインを飲んでいると、広くなって嬉しかったはずの部屋があまりにも広く、まるで将来の自分の姿のようでなんとも言えない感覚だ。一大イベントはまだ二日間残っている。どうか、一人でも幸せな時間を送りたい。明日こそ、野球って楽しいとまた思えるような試合を望んでいる。





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