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場面99:学校のグランド(再び)(音楽劇「君の名は希望」98)
乃木坂46の「君の名は希望」を題材にした舞台脚本。「透明人間」と呼ばれている女子が、お調子者の男子との出会いを通してクラスの中で居場所を作っていく物語。
いよいよ本編のラスト。この物語は最後の希(松井)のセリフに集約されています。最後までお楽しみ下さい。次回のエンディングもお楽しみに
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松井、白川と他のメンバーたち、歌い終わってから元の位置に戻る
白川、松井に話し掛ける
白川「あのさぁ希、この前また母親と話したんだ」
松井「結構話してるんだね」
白川「そうそう、それでこの前オヤジから電話が来たって言われて」
松井「え?でも望、お父さんは」
白川、松井の質問にうなずく
白川「そう、会ったことないんだけどさ」
松井「それがどうして?」
白川「うん、オヤジは最近死にそうな経験をして、ずっと酒に溺れててさ。そんな目に遭ってどうしても子供に会いたくなったって」
松井「そうか」
白川「それからさ、オヤジが俺の名前を聞いたらしいんだ。オヤジは『いい名前だな』って言って、電話の向こうでずっと黙ってたって。そして『俺の子供を産んでくれてありがとう』ってさ」
松井「うん」
松井、相づちを打ち、少し考え込む
松井「それでね、望に聞きたいことがあるの」
白川「何を?」
松井「望は生まれて良かったって思ってる?」
白川「うーん、上手く答えられないけど」
白川、そう言ってしばし黙り込む
白川「でもさ、これだけは思うんだ。自分に名前がある、それは当たり前のことじゃないって」
松井「うん」
白川「誰かが名前を付けてくれた。それだけで生きていていいんだって」
松井、口許を歪める。白川の言葉を受け止めたいと願う
白川、松井を改めて見る
白川「それもさ、自分の痛みを一緒に背負ってくれた人がいたからかな」
松井、白川を見つめ、笑顔を見せる。白川の言葉を胸に刻みながら
松井「私はただ望に会えて良かった。去年の6月、夏の服に着替えた頃に」
松井、慈しみを持って白川を見る
松井「そして望だけじゃない、この世の中のすべての人の名前が希望であればって、そう願ってる」
白川、松井と出会ってからの日々を振り返る
白川「そうだな」
白川、風を感じる。3月後半の風はまだ寒いが、もうすぐ待ちかねたように桜が咲くだろう
白川「今それだけを願ってる、そんな気がするよ」
周りのメンバーも松井と白川の会話を聞き、皆自然と笑顔になる
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最後に次回エンディングです、次回までお楽しみ下さい
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