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72候【花鳥風月】小暑の候

空ますます青く澄み、
梅雨明けから吹く白南風しろはえ
本格的な夏到来を知らしめます。
二十四節気七十二候、小暑しょうしょの候は七夕たなばたの日、7月7日からです。

しちせきの節句とたなばた伝説

天の川をはさんで並ぶ織姫と彦星が、カササギのつくる橋で、年に一度の逢瀬をする七夕たなばた伝説。
日本ではもともと、7月7日を五節句のひとつとして、七夕しちせきと呼んでいました。
たなばたと呼ばれるようになったのは、日本古来の棚機女たなばたつめの伝説に由来するとか、奈良時代に伝来した他国神話と習合したとか、いろいろな説がありますが、個人的(感覚的)には折口信夫の「水の女」解説が好きです。

棚機女たなばたつめは村からひとり、ふたりと選任され、神に捧げる衣を織るために、村里から離れた清らかな水辺にある機屋で、俗世と縁を切り、機織りをしながらマレビトの来訪を待ち続けます。
「天地にかける梯子が、天上から垂らされた蜘蛛の糸一本て、それはあまりに心もとない。
折よく地上には1本の糸を布にする技術があるのですから、天界よりマレビトが降臨できる座を整えるための布を織りましょう」
と思っていたかどうかは知りませんが、年に一度7月6日から機を織り、7月7日の夕刻までに仕上げて棚に上納する風習があったそうです。

一度だけ、本格的な機織りを体験したことがあります。
とはいっても縦糸セットまでは済ませてもらった機で、横糸を積んでいく作業のみです。
たゆんだり、逆につっぱりすぎると布の均一性が崩れてしまうので、すべての糸は、つねに均等の張り具合を維持しなければなりません。
そうかといって、数多ある糸すべてを目視しながら人の目だけでコントロールするなんて、できるわけもありません。
30分、1時間と、同じ動作を繰り返しているうちに、機と一体になったような境地に入り、目でいちいち追わなくてもなんとなくうまくいっているのがわかる、と先生は仰っていました。
これもいわゆる「ゾーン」にらずんば虎児を得ず、ということなんでしょうか。

7月は文月といいますが、一説に短冊に歌や文字を書いて、書の上達を願う月として、「文披月ふみひらきづき」から文月に変化したというのがあります。
文字というものも、一本の線からできあがるもので、筆跡には人となり特有の気配がにじみ出ます。
1本の糸は布になり着物になり、1本の線は文字になり文章になる。
1本1本がつながり、組み合わされ、あつまって、えにしの道具となってゆきます。


太陽は蟹座まっさかり

夏至の日から蟹座に入った太陽は、その日を境に高度を下げ、だんだんと陽は短くなってゆきます。それまで外に向かっていた興味・関心・好奇心が内面へとむけられ、仲間内、身内、自分自身の内側を見つめる心理傾向が強まります。
蟹サインの特徴として、情感豊かで繊細な一面が、外界から押し寄せる刺激的な情報にさらされると、感情が大きく波打ち、処理するのが大変になることがあります。
そんなときは感情に起因する消化器系のトラブルを起こしやすく、さらに7月7日からの18日間は、ちょうど夏の土用でもあり、脾臓・胃腸が活発に動きだして、いつもよりたくさん働くので、疲れも感じやすくなる時期といわれています。
脾臓は栄養素管理マスター的な存在で、身体のなかに入ってきた栄養分をチェックして、ビタミンが足らんとか、ミネラルもっとよこせとか、要求を出してきます。
脾臓マスターが赤点出し続けると、食べても食べても、肝心のミネラル分が足りないと催促されて、食欲がとどまるところを知らぬモンスター化してしまうので、個人的にはこの時期のニンニクは欠かせません。
暑さに対処し続ける身体としては、毎度毎度の食事でミネラルをたっぷり補給することが、脾臓マスターからの必修科目です。

また蟹サインの心理傾向が過多になり、情緒不安定になると、内臓のはたらきが鈍くなり、消化不良になることもあります。
そんなときな精油の香りでリ・バランス、香り効果は即効性があるので本当に助かります。
湿度が高く、頭はぼーっと熱いのに身体は冷たい汗でひんやりしているときは、水の湿った深みから引き上げてくれるような
・シナモン
・パチュリ
・ベルガモット
・オレンジ
の組み合わせをよく使います。
芳香浴やバスソルト、オイルトリートメントなど定番使いしています。

ローズマリーチンキは無水エタノールにローズマリーを入れて
一晩漬けるだけのかんたん消毒スプレーです。

もうひとつ定番の香りはローズマリーのチンキ+ラベンダー精油の清涼スプレーです。
主に寝室、寝具にふりまいて、安眠できるよう工夫しています。

Shield72°さっぱりブラック スキンローションとリッチエマルジョンは、オーガニック精油のローズマリー、ラベンダー、レモングラスの香りを使用しているので、夏の暑気払いに最適な香りです。

旅行やキャンプ、ちょっとそこまでお出かけに、
持ち運び便利なスレンダー仕様&オーバーキャップ。
化粧水はミストスプレーだからメイクの上からも使えます。



夏の常備薬、レモン

そもそも精油をふだん使いしていないという人は、レモンひとつあれば芳香浴も、バスソルトもつくれます。

香り成分は、皮にたくさん入っているので、できれば国産、無農薬、防腐剤・ワックス不使用のものを買って、すりおろし器で皮を刷り下ろし、塩に混ぜて使います。
レモンピール塩は身体を洗うのにもよいですが、サラダにふりかけても美味しいです。

レモンの果皮に含まれる代表的な香り成分リモネンは血行促進して代謝、消化活動をアップします。
レモンらしさを象徴するシトラールは鎮痛、鎮静作用があり、高ぶった感情を落ち着かせてくれます。
そして果汁がもっているクエン酸はもともと人の体の中にも存在し、クエン酸回路という、エネルギーを生み出す代謝経路にもなっており、ミネラルの吸収を助ける働きがあるといわれています。

夏の不調のお助けマンみたいなレモン。
その形も、色合いも、なんというか心をぱっと明るくして、こども心をくすぐるような、不思議で神秘的な果実です。

柑橘系の精油はすべて、果皮に多く存在しています。
果実が傷まないよう消毒殺菌作用をもち、と同時に鳥や動物を引き寄せる良い香りでもあります。
だから人にとっても、消化機能を高める香りとなるわけです。

レモン様の香りをもつハーブはたくさんあり、レモングラスをはじめとして、レモンバーベナ、レモンバーム、レモンマートル、レモンユーカリ、レモンミント等々、イネ、シソ、クマツヅラ、フトモモ科へと広がっています。

レモンの形を図形で表す場合、なんという言葉がふさわしいのか調べたことがあるのですが、アーモンド形、レンズ型、しずく型、涙型、ラグビーボール型、ヴェシカ・パイシス等々、色々候補はあったものの、やはりレモン型は「レモン型」といえば万人わかる説で落ち着きました。

特殊なのに奇抜じゃなくて普遍性がある、さらに他に似ているものがいない植物って、ちょっと珍しいと思います。



レモンをひとつ、ポケットに入れて

フランスの軍医ジャン・バルネ博士(1995年没)は、精油の効能を化学的・医学的に研究した第1人者で、大戦中に負傷兵の治療に精油を使ったことでも有名です。

レモンの精油が空気中の菌をどのくらいの時間で殺菌するか、研究結果も残されています。 そうした先人のおかげで、いまアロマテラピーを楽しく学ぶことができ、生活に生かせることを、本当に感謝してやまないのですが、レモンに限らずハーブの歴史は、呪術や魔術、占星術など非科学的といわれる領域と結びつき、現代においても、アロマテラピーは非科学的であるというレッテルを貼られることは少なくありません。

ただ個人的にはそのくらいの、ぼんやりした立ち位置にあったほうが、ハーブとのホリスティックな関係性が築けて、いいんじゃないかな、とも思っています。
成分や効能だけをとりあげる学術的な見方では、はかりしれないことが山ほどあり、現代人の制限つき脳みそではわからないことだらけ、見えないものだらけ。
そんなことを含めて、ハーブのみんなたちとはホリスティックにつき合わないと、せっかくのえにしも宝の持ち腐れというものです。

学術的に解明できないことが満載でも、直感がいいねと囁き、いのちが喜んでいると感じるものは、ちゃんと後世に伝えられてゆきます。
レモン型のように残るものは残り、ほかのハーブにもレモン様の香りがあることを知り、多種多様な広がりが受け入れられ、後世において、いつのまにか普遍性を獲得してゆきます。

レモンをひとつ、ポケットに入れて、ときおり香りを嗅いだり、ぼんやり眺めたり。
レモンがあるってだけで、いい知れぬ幸福感に満たされて、手のひらのなかに塩梅よくおさまる感覚や、その軽すぎず重すぎない質感が、いいようのない安堵感をもたらしてくれる。
中世ヨーロッパを中心にレモンを描きまくっていたという画家たちも、きっとレモンの魅力、神秘性に、わけもなく惹かれていたのだろうと想像しています。


明晰さと線引き

古典として受継がれるものには普遍性があります。
一過性の流行はやりものと違い、多くの人々の思想や印象に共通する概念を刻印して、100年、1000年の時を超え、地上にひとつの集合的な型を作り出します。

レモンは清涼感とともに明晰さをあたえ、リフレッシュできる香りです。

香りもまた他の精油と違って、感じ方、印象、気分的な変調に大きな個人差はほとんどありません。レモンの香りという、ひとつの普遍的な型が完成されているように思います。

明晰さによって、自分と周囲の境界線を明確にし、見えないけれど確かに感じる、パーソナル・スペースを再認識できるレモンの香りは、十把一絡げ、烏合の衆と揶揄される大衆心理路線から距離を置いて、自分がいまどこに、どんな風に立っているのか再確認したいときに重宝します。

自分が本当にいたい場所、本当に必要なもの、本当に食べたいものを、安全なパーソナルスペースのなかで屹立し、明晰な頭で探したいとき、レモンの香りが役に立ってくれると思います。
太陽が蟹座にある時期は、心の底から安心できる自分だけのスペースを確立することで、周囲とのちょうどよい距離間がみえてくると思います。
たゆまず、つっぱりすぎないえにしの糸は、HOMEを中心にして、織りつみかさなり、広がってゆくのです。


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さっぱりブラック クレンジングオイル&クレイパック洗顔はティトリーとグレープフルーツ、ローズマリーの爽やかなハーバル・フレッシュの香りです。
精油はすべてオーガニックを使用しています。

*Shield72°製品に使用されているオーガニック・レモン精油は、正式にはレモン果皮油と呼ばれ、賦香目的で配合しています。

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「時間」の鎖を解き放つ

織姫はこと座のベガ、彦星はわし座のアルタイル。
夏の大三角といわれるもう一点の星は、はくちょう座のデネブです。
七夕はほんらい、旧暦7月7日のお祭りでしたから、今年のグレゴリオ暦では8月4日にあたります。

7月に入ると、蓮に向日葵、ハイビスカス、ラベンダー、アサガオ、百日紅さるすべりなど、太陽の日差しがよく似合う花たちが開花します。
7月にひらく花たちは一瞬で視線をくぎ付けにして、わたしたちを時間概念の囚われから解放してくれる御業みわざをもっているような気がしています。
このフシギな御業みわざは、泥よりでて泥に染まらず、という、植物たちの本性なのかもしれません。
レモンもそうだし、星空も、もちろんそのひとつ。
そのカタチや色や輝きで「時間」という地上ルールの最たる概念を払拭して、閉塞感と窮屈さで息苦しくなってしまったときの出口を、指し示してくれるのではないかしら。

夏の宵、七夕伝説を口承して、星空を見上げる風習を残してくれた昔人せきじんたちは、地の活動が活発になる、こんな時期こそ、星空を仰ぎ花を愛で、心はいつも自由に飛翔できるように、と、秘密のメッセージを紡いでくれたんだなぁと、勝手に悦に入っています。

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