“人肉を饅頭にして販売”こんな悍ましい事件が存在したとは…「八仙飯店之人肉饅頭」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(498日目)
【ホラー映画を毎日観るナレーター】(498日目)
「八仙飯店之人肉饅頭」(1993)
ハーマン・ヤウ監督
◆あらすじ
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1986年、マカオの海岸でバラバラ死体が発見された。腐敗が進んでいたために警察の捜査は難航したが、やがて死体の身元が判明し、八仙飯店の店主ウォンが容疑者として逮捕される。壮絶な取り調べの末に自白に追い込まれたウォンは、元の店主チェン一家を皆殺しにして店を乗っ取ったことや、彼らの死体をミンチにしてつくった饅頭を客に食わせていたことを告白しはじめる。(映画.comより引用)
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1985年にマカオで実際に起きた“八仙飯店一家殺害事件”を題材にした香港映画です。
この事件を大まかにまとめると
◇容疑者の黄志恒が自身が勤める中華料理店“八仙飯店”の経営者一家及び親族の9名と従業員1名を殺害したとされる事件。そしてその遺体の肉を解体し、叉焼包(チャーシューバオ)にして店で販売したとして騒ぎとなりました。
犯行動機としては
◇黄容疑者は店主夫婦らと共に麻雀やポーカーなどの賭博を日常的に行っており、ある日、黄が店主とのゲームに勝って大金を貰うはずだったが店主がそれを反故にし続けたことで口論となり犯行に至ったそうです。
黄容疑者は無罪を主張し、最後は刑務所にて空き缶の蓋を研磨したもので手首を切って自ら命を絶ちました。
今作はこの事件をモチーフにしているだけあって、作中には凄惨な暴力•残虐描写が多数盛り込まれています。
内容が映倫規定に抵触しているため日本でも劇場公開は長らく見送られていましたが、1994年の東京国際ファンタスティック映画祭における初上映を皮切りに、2006年チネチッタのハロウィン映画祭においては「片腕カンフー対空とぶギロチン」、「MAY メイ」、「死霊の盆踊り」との豪華4本立てオールナイト上映が開催されました。
更には2015年には“スーパークレイジー極悪列伝”と称して、東京や大阪などを含む四都市で「エボラシンドローム 悪魔の殺人ウイルス」、「タクシーハンター」と共にロードショー上映されました。
なんだか香ばしいタイトルばかりですね(笑)
その翌年にも大阪にて限定上映されているなど長年に渡ってカルト的な人気を誇っており、アングラ映画好きにとっては外せない一作となっているのではないでしょうか。
内容が内容なだけに配信などはされておらず、私は池袋のTSUTAYAにて発見しました。
もちろんR18です。
本作の流れは実際の事件とほぼほぼ同じです。
ざっくりと流れを書くと
八仙飯店の店主になる元従業員のウォン
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元店主のチェンが行方不明&海で人の腕や足が大量に発見される
↓
八仙飯店の饅頭が美味いと話題になる
↓
警察もウォンをマークし始める
↓
勘付いたウォンは国外逃亡を図るも逮捕
↓
警察からの暴力による自白強要、刑務所でチェンの弟たちから壮絶なリンチ
↓
脱獄や逃亡を図るも失敗、最後は刑務所内で自殺
という感じです。
映画の醍醐味とも言える“登場人物たちの緻密な心理描写や葛藤”、“愛憎渦巻く人間模様”などはほとんど描かれていません。
そのため
映画というよりかは世界仰天ニュースなどの再現VTRを見ている感覚に近いかもしれません。
史実をなぞっているため仕方がないとはいえ、映画として見るとフィクションやオリジナリティが薄いように感じました。
警察をコミカルに描くことで全体のバランスを取って重くなり過ぎないようにはしているものの、逆にそこだけ浮いてしまっているというかリアル路線の中に強引にねじ込まれたギャグっぽさがクドく見えました。
実は共犯者がいたという説もあるので、そのあたりをうまいこと折り込めばエンタメ映画としては面白くなったかもしれません。
しかし、書くのも憚れるようなショッキングなシーンの数々のインパクトは凄まじく、アンソニー・ウォン氏が演じた主人公ウォンは本物の犯人が憑依したのではと見紛うほどの鬼気迫る演技で非常に恐ろしかったです。
ちなみに本人はこの作品のことを「大嫌い」と証言しています。
中でも、肉切り包丁でチェン一家(チェン夫妻と幼い子供5人)を惨殺するシーンはあまりにもおぞましく、思わず目を背けたくなりました。
面白いとか面白くないとかそういった物差しでは語ることのできない作品ではありますが見識は広がりますので見て損はないと思います。凄い映画です。
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