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#6 旅が築くしあわせの基礎

「 今ここで、しあわせを繋ぐ意味がある」〜 しあわせ探求庁です!

しあわせは何でできていて、どんな姿をしているのでしょうか? 私たち「しあわせ探求庁」は、デンマーク🇩🇰発祥の「対話」をもとにした手法を用いて「しあわせの地図」を描いていきます。
 メンバー2人が対話し、その記録を元にした記事を毎週水曜日に投稿、はじめの部分は2人によるトークでお届けします。下のボックスの右下にある再生ボタンを押して、放送をお聞きいただけると光栄です✨


〜 以下の記事は、上の stand.fm 放送の続きです 〜

旅行って何するの?


このテーマをしあわせ探求庁で取り上げようと提案したのは僕なのですが、美織さん、基本的な質問していいですか?かなり突拍子もない質問なので、ぎょっとされるかもしれません……

対話はいつでも質問からスタートしますから、何でも聞いてください。

僕の印象では、美織さんはたくさん旅行されている印象があるんですが、旅行って何するんですか? もちろん、いろいろ見て回るということは分かってるんですが、僕が聞きたいのは、何のために見て回るのか、あるいは見て回ってどうするのか、という根本的なところです。美織さん、年明けにはインドへ行ってらっしゃったんですね!旅行記楽しく読みました。最初の記事を引用しておきます。

面白い質問ですね、考えたこともなかったです!でもヒントとなることには、私がデンマークでの滞在を終えてスイスに移り、最後の一週間家族が合流して一緒に旅行した時に気付きました。
 それまでは、「住んでいる場所」だったスイスを、気持ちを切り替えて「旅行」したんですよね。その時に感じたのは、積極的に「思い出を作る」という感覚でした。旅行しているその時に見聞きすることももちろん大切なのですが、素敵な思い出はその後のしあわせにつながるので、そんな思い出を旅の中で作っていく、という感じでしょうか。答えになっていますか?

なるほど、「積極的な思い出づくり」ですね!僕には外交官をしている友人がいて、彼女は今ブラジルに住んでいるんですけど、いつも、「〇〇の世界遺産を見てきたよ!」って写真を見せてくれるんです。でも僕の疑問はやはり、「それ見てどうするの?」だったんです。
 世界遺産を訪ねて、見て感動する、それは分かるんだけど、「何のために感動するの?」っていう疑問に誰も答えてくれなかったんです。美織さんが今言った、「積極的な思い出づくり」は一つの答えかもしれませんね。

海外出張とマラソン遠征


でも、透さんも、仕事ではあるにせよ、多くの国を訪ねていらっしゃるので、きっと色々な国や場所に行くのは嫌いではないんですよね?

もちろん好きですよ。でも、僕の経験は、「仕事で年間100日、20カ国へ行く」というような極端な経験だったので、「旅行に行く」がどういうことなのかというような、いわば「普通の感覚」があまり分からないんです。一度、「こういうのが旅行だよ」って連れていって教えて欲しい感じです。

でも透さん、私たちが知り合ったきっかけは、透さんが 2023年9月のコペンハーゲン・ハーフマラソンに出て、私が応援メッセージを送ったことでしたが、その時には結構コペンハーゲン観光なさってませんでしたか? note の記事にも書かれてましたよね?

そうですね、マラソンの前日の朝に現地に入って、丸一日旅行しました。でも、内容が美織さんの旅行とはかなり違うと思います。説明したいのですが、美織さんは「魂」とか「気の流れ」とか、そういったスピリチュアル系の話は不愉快ではないですか? 大丈夫なら、続けますが。

旅は過去の魂との交流


母の影響もあり、私はどちらかというと、そういう存在も認めた方が、日々の生活が豊かになると考えるタイプなので、大丈夫です。ぜひ教えてください。

よかったです。僕が以前 note の記事にした、ヴィルヘルム・ハマスホイというコペンハーゲン出身の画家が大好きなのですが、彼は生涯で描いた 370枚ほどの絵のうちの約3分の1を、夫婦で住んでいたコパンハーゲンの自宅の室内で描いています。色彩を抑えた北欧らしい落ち着いた絵です。
 自然と、その自宅はハマスホイファンの聖地になります。現在は別の人が所有していて、中に入れるわけではないのですが、それでも、彼が百数十枚の絵を描いた場所が今もちゃんと残っているんです。

そこへ行かれたんですね、記事を読みましたよ。

ハマスホイファンの聖地、コペンハーゲン、ストランゲーゼ30番地

ありがとうございます。僕はどうしても、「ああ、ここがハマスホイの家か!」と言って写真を撮って、「じゃあ、次の観光地へ行こう」とはならないんですね。何と言うか、120年ほど前に彼がそこに住んでいたわけで、その頃の彼の魂がまだ周辺に残っているような気がするんですよ。
 なので、彼の家が見えるところに小さなベンチを見つけて、そこに数時間座って、「彼はこの通りを歩いた時に何を考えたのだろうか」と思いながら、風の中に彼の魂を感じる……それが僕にとっての旅の感覚です。
 僕にとってはハマスホイの家を訪ねるだけで、半日は使いたいです。よく欧米人が、「日本人は首からカメラを下げて、観光地で写真を撮ったらすぐ次へ行ってしまう」と日本人を皮肉りますが、僕に言わせると欧米人もそう見えます。

その話を聞くと、やはり透さんの中の研究者的な部分が見えてきますね。自分が気に入った部分をとことん追究してみたいっていうような。
 それで、その話で思い出したのは、私と同時期にデンマークに滞在していて、同じく note で発信なさっている方が、最近、「自分が好きなのは、観光旅行ではなくて、その土地での暮らしだ🌙」というようなことを書いてらっしゃったんですよ。生活者目線である街を感じることが、その方にとっての喜びだそうです。透さんの感覚にも似ていると感じました。

そうですね、似ていますね。もし僕がある国のある街を訪ねて、一週間過ごせるとしたら、毎日同じ道を歩いて、同じカフェに通って、そこから見えてくる街の風景を追いかけてみたい、と思ったりします。一週間あちこち違うところに行ってしまうと見えなくなってしまう……お気に入りの一箇所から見るその街の風景をとことん追いかけたい、みたいな。

ミオリ&トオル、対照的な旅のスタイル


なるほど、「狭く深く知る」感じですね。私はやっぱり正反対ですね。一週間もあるなら、「できるだけいろんなところに行きたい」と思いますね。「もったいない精神」が出てきてしまいます。この部分は日本人的かもしれません。
 それで、その一週間で私が得られるものは、きっと透さんが「狭く深く知る」のとは違った、「広く浅く知る」経験ですね。ところで、「広く浅く」と言えば、透さんがフルートの仕事でいろんな国に海外出張された時は、どちらかというと、「広く浅く」的な見方で街を見ていたんじゃないですか?

そうですね。僕が仕事でヨーロッパを回っていた時は、国同士が近いこともあって、一カ国二日間くらいでスケジュールを組むことが多かったです。空港や駅に代理店の人が車で迎えに来てくれて、街を歩くこともなく事務所へ直行、ビジネスミーティングやイベントを現地の楽器店でやって、夜はビジネスディナー、次の日の午後には次の国へ移動、みたいな感じでした。ロンドンへは5回くらい行きましたが、ビッグベンを見たこともありません。

仕事だとそうなってしまうんですね。観光的なことは全くなかったんですか?

実は、一度だけですがいい思い出があります。勤めていた会社の契約プレーヤーがベルギーに住んでいて、その時は楽器の試作品をいくつか持っていって試奏してもらい、改良のアイディアをもらうという仕事でした。
 事前にスケジュール調整をすると、「丸二日間空けておくように」って言われたんです。実際には仕事は1日目で終わってしまったので、「先生、明日も空けてありますが、何するんですか?」と聞きました。美織さん、分かりますか?

仕事が終わって、次の日も丸一日空いてたんですよね。どうしたんですか?

実は、「日本人は海外に行っても仕事ばかりで良くない。だから、明日も仕事ということにして、君たちのスケジュールを空けておいてもらったんだよ。明日は旅行だ!」と言って、彼の車で僕と社長を連れて、丸一日、アントワープのいろんな見所を案内してくれました。
 「フランダースの犬」ゆかりの大聖堂に、ルーベンスの家、名物のムール貝の白ワイン煮が有名なレストランに、ベルギーワッフル発祥のカフェにも行き、本当に楽しく、最高の思い出です。

ほら、一日でたくさん回って、それが「いい思い出」として残っているじゃないですか。私が最初に話した、「積極的に思い出づくりをする」というのは、それですよ。透さんもちゃんと楽しんで、いい思い出を残していますよ!

そうですね。確かに旅は一つのスタイルにこだわるのではなく、いろんなスタイルを試してみる方が良さそうです。

旅についてのモヤモヤ


今回の対話で、「旅とは?」を提案してくださったのは透さんですが、なぜこのテーマについて話そうと思ったんですか?

そうですね、大切なポイントですね。美織さん、note の記事とかを見ていて、最近は特に、「自由になる時間とお金は、全部旅に使う」みたいな、画一的な価値観が気になりませんか?服や車のような「モノ」にお金をかけるのではなく、旅という「コト」に投資する方がいい、みたいな価値観が固定化されているような気がするんです。
 本来、多様性を認めることをしあわせの条件とするなら、旅にお金を使うことを過剰に推奨するような最近の風潮に少し疑問を感じていたんですよ。以前の勤務先には、「可能なら、一生自宅の半径 2km 以内で暮らしていたい」っていう人がいたんですけど、本来そういう価値観も尊重されるべきですよね。

もちろんそうだと思います。でも、やはり私は、「旅はするほうがいい」と思うんです。というのも、一箇所にずっと留まっていたら、異なる様々な価値観や考え方を受け入れることができるのだろうかって思うんです。
 私も20代半ばになってやっと自分が知らない世界や考え方をある程度受け入れられるようになり、20歳以上も離れた透さんとも難なく対話ができますが、それは、色々旅して全然違う人や街をたくさん見てきたからじゃないかって思うんですよ。その意味で、旅で身に付く「違い」への適応性が、しあわせを築く上での大切な基礎になる、というような感じでしょうか。

多様性への心の余裕


なるほど。ということは、僕が神戸に生まれて、もし兵庫県だけで育って海外に出ることも全くなく、美織さんも和歌山に生まれて、もし和歌山県だけでこれまで育っていたら、我々がどうにか知り合ってもうまく対話はできなかったかもしれないということですね。そう考えると、お互い色々旅や旅行をした後で出会ってよかったということになりますね。

そうですね、ちょっとしたことでぶつかって、「もう話さないでおこう」となっていた可能性もあるんじゃないかと思いますよ。多様性を認める心の余裕を私に与えてくれたもの、それが旅や旅行だった、という感じでしょうか。

そう考えると、旅や旅行で各地を観て回るのは、単に「見聞を広める」以上の価値があるということになりますね。僕は、純粋な旅や旅行は数えるほどしかしたことがないのですが、今日話したことを覚えておいて、自分の「多様性を認める心の余裕」がどう変化するか、観察してみようと思います。

「 今ここで、しあわせを繋ぐ意味がある」〜 しあわせ探求庁でした🍭
それでは、また来週水曜日にお会いしましょう。

(2024年5月22日)

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日本支部:成江 美織
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