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マークの大冒険 常闇の冥界編 | 歩みの刻

前回までのあらすじ

俺は闇に包まれた螺旋階段の上で目を覚ました。目覚めも束の間、階段を駆け上ってくる見たこともない様相の怪物たちを見た俺は、死を覚悟した。だが、そこにネコウサギ?よく分からないが、白くて小さい奴が現れたんだ。ネコウサギは俺に刀を差し出し、だが決して抜刀するなと言う。俺は言われた通り、鞘に入ったままの刀を振るう。不思議なことに刀は軽く、振る度に疲れるどころか力がみなぎってきた。俺とネコウサギは迫り来る怪物を殲滅し、螺旋階段の頂点を目指した。


「この階段、一体どこまで続いてるんだ?」

俺は、螺旋階段を共に上がる傍らのネコウサギに訊ねた。

「さあな。ボクにも分からん。だが、地下世界の冥界では上に向かうほど地上の現世に近付くことは間違いない」

「本当なのか?」

「なら、着いてこなくてもいいんだぞ」

「分かったよ。それで、お前は何でここにいるんだ?」

「お前じゃない。名前がある。自分の名前が分からない名なしのキミと違ってね。マーク様と呼べ」

「名前を知らなかったんだから、仕方ないじゃないか。マークか、分かったよ。マーク、それで何でここにいるんだ?」

「しれっと敬称を取ったな。まあ、いい。何故ここにいるかって?心当たりは滅茶苦茶あるが、詳しくは分からん」

「おい、お前も俺と同じで迷い込んだ仲間なんじゃないか。さっきは、ボクはキミと違ってとか特別感出したくせに」

「そうだな。ちと、カッコつけたかった。キミの言う通り、ボクも冥界に迷い込んだ。たぶん、歴史を改竄し過ぎた罰で消されたらしい」

「歴史を改竄?」

「ああ、タイムマシンを使って、18世紀末のブルボン朝フランスでいろいろ人助けをしてね」

「タイムマシン?気でも狂ったか?」

「まあ、無理もない。理解できなくて当然だろうね。でも、タイムマシンは存在しているんだ」

「それで、タイムマシンでフランスに行ったのはいいとして、一体何をしでかしたんだ。人助けをしただけなんだろう?」

「処刑されるはずのマリー=アントワネットとその家族たちを救出した」

「歴史上、死ぬはずだった人間が生きているってことか?」

「ああ、そういうことになるね」

「それはまずいんじゃないか?いろいろと後のことが変わってしまって」

「ああ、そうだよ。だから今、ここにキミと一緒にいるわけさ。だが、ボクはキミと違って記憶に問題はない。キミはボクより自分の心配をした方がいいぜ。本当に何も思い出せないのか?」

「ああ、全く」

「まあ、この先に進むうちに思い出すかもしれないし、そこに期待するしかないな。とにかく先を急ごう」


To Be Continued...


Shelk 🦋

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