【マルチ投稿】アステリアの鎖_第三十七話【殖生】
世の中うまくいかないことをダフネは知っている。
しかも今回は、命をかけることが必要最低限の条件なのだ。ユリウスは信用できるが、双子の兄を至上としているイーダスを、ダフネは信用していない。
カーリアの血を啜りながら、ダフネはいざという時の保険を胚の中に仕込むことにした。王家の血を取り入れて、その中にさらに肉体の構築に必要な情報を詰め込んで、バックアップ用として生殖胚に仕込んだのだ。
「ダフネ、私の血って美味しい?」
「うん……、おいしい。おいしいわ。林檎の香りがして、