サンタはいる?いない?論争は続く・・「オバケのQ太郎」クリスマスエピソード一挙紹介
本年の年末も、仕事バタバタ、飲み会バタバタしている内に、あっと言う間に12月23日。子供の学校が終わり、明日はもうクリスマス・イブ。時の流れが速すぎて、全く体も心も追いついておりません。
とても恐ろしいことです。
藤子Fノートは3年目に突入しており、早いもので3度目のクリスマスになります。昨年、一昨年とクリスマスに関係する記事を書いてきましたが、今年もクリスマスネタを書きたいと思います。
ちなみにこれまでのクリスマス記事はこちら・・。
そもそも幼児~小学生向けの月刊誌を活動のベースにおいていた藤子F先生は、毎月、四季折々のネタを書くことで知られている。
例えば、1月号だったらお正月、2月号ならスキー、4月号だったらお花見、5月号なら子供の日、8月号なら海水浴など・・。そして、12月号で最も多く採用される題材は「クリスマス」である。
藤子作品を見渡すとクリスマスのお話はとても多く、まだ記事化できていない作品も数多く残されているのだが、今年ついては、四季ネタの宝庫である「オバケのQ太郎」から、クリスマスエピソードを全部抜き出してみることにした。
いくつかのパターンがあるのだが、総じてサンタが来るのか来ないのか、サンタは本当にいるのかいないのか、という子供たちの気持ちを良く汲んだ作品群となっているようである。
それでは、全6作品を、ザザッとご紹介していく。
まずは未就学児童向け作品から。「クリスマスにはサンタが来る」と正ちゃんから聞いたQちゃんは、今夜はずっと起きててサンタに会うと言い出す。「寝ない子にはプレゼントが貰えない」とママに釘を刺されて正ちゃんは寝てしまうが、Qちゃんは「貰えなくても会いたい」と言って寝ようしない。
そこでパパがサンタの格好をしたサンドイッチマンから服を借りて、サンタのフリをしてQちゃんの目の前に現れる。これで納得して寝てもらおうというわけだ。
するとQちゃんは取っておいたお芋をサンタパパに差し出す。「いつも人にあげるばかりで可哀そうだ」というのである。芋をプレゼントして、「じゃ、お休み」と眠りについてしまうQちゃん。
「優しい子だ」ということで、プレゼントをどっさり用意するパパとママであった。
幼稚園向け作品だが、プレゼントは親が用意してくれるように描かれていて、まるでサンタがいない世界となっているのは少し意外な気がした。ただ内容としては、サンタにプレゼントを贈るという逆転の発想を描いたとても気持ちの良い作品となっている。
サンタは煙突からやってくる。
自分(筆者)の実家は煙突がある家だったが、それは薪のお風呂用の煙突で、サンタが入るには狭くて汚かった。よって、逆に煙突からサンタが来るわけがないと考えるような子供であった。
正ちゃんは、自宅に煙突がないので、サンタが来ないのではないかと心配して、Qちゃんと一緒に煙突のある家を探して、そこでサンタを待つという作戦に出る。
小さい煙突のある家に入ると、そこはラーメン大好き小池さんの自宅。サンタは来たことがないと聞いて、すぐに出ていく。大きな煙突があったの近づくとそこは銭湯。やはりそこにもサンタは来ないという。
煙突の上でサンタが飛んでくるのを待つことにする二人。やがて、日が暮れて暗くなってきたのでQちゃんは帰ろうと言い出すのだが、正ちゃんはまだここで粘るという。
そこで正ちゃんを家に帰すために、Qちゃんがサンタに変身。道を歩いていた男性から、ちょうど捨てるところだったという白い袋を譲ってもらい、それを正ちゃんにプレゼントする。
その袋の中から出てきたのは一匹の子犬。男性は捨てようとしていたものは子犬だったのだ。
これには犬嫌いのQちゃんは大弱り。「どこかへやってくれ」と言うが、正ちゃんはサンタに貰った犬だからといって、家で飼おうとするのであった。
サンタはいるのか、いないのか。ある時期になってからの子供たちにとっての最大の課題である。
Qちゃんと正ちゃんは、もちろんサンタの存在を信じているが(昨年も枕元にプレゼントがあったし)、斜に構えたドロンパは作り話だと言い張って、Qちゃんたちと対立する。
Qちゃんたちはサンタの写真を撮って、ドロンパをぎゃふんと言わせようと考え、P子をチョコレートで釣って、サンタに変身して夜に大原家に来るようお願いする。
一方のドロンパは、大見えを切ったものの、実はサンタがいるのではないかと思い始める。もしいたら、それみろと言われるのがシャクである。
外で大原家にサンタが来るか見張っていると、そこへP子が変身したサンタが飛んでくる。本物のサンタが来たと驚いたドロンパは、サンタを大原家に近づけないようにするのだが・・・。
この後、少しお洒落なオチとなるが、サンタは本当にいるともいないともはっきりさせない絶妙な落としどころとなっている。(若干、サンタは親というようにも読めるが)
再び、サンタがいるかのか、いないのか論争がテーマ。肯定派はQちゃんで、否定派が正ちゃんである。互いに主張が平行線を辿り、クリスマスイブである今晩・夜12時までにサンタが来るかどうかで、二人は賭けをすることになる。
本当にサンタがいるか心配になったQちゃんは、昼の間にサンタを見つけて予約をしておこうと考えて町中をサンタ探し。サンドイッチマンのアルバイトをしているサンタを見つけるが、本物はいないと言われてしまう。
そこでQちゃんは賭けに勝つために、自分がサンタになって正ちゃんの前に現れようと考える。いわゆる自作自演をしようというのである。
そこでさっきのアルバイトのサンタの服を借りることにするのだが、その代わりにPRの仕事を手伝うことになる。
サンタQちゃんの大奮闘がそこから描かれていくが、いつものドタバタQちゃんが楽しい一作となっている。
学年も上がれば、サンタを信じない子供も増えていく。本作は中~高学年向けの雑誌掲載作ということで、「いない」側の理屈が勝った作品となっている。
冒頭で、言うことの聞かない正ちゃんに、パパが「悪い子にはサンタが来ない」と脅すのだが、毎年のプレゼントはパパがこっそり置いていくもので、サンタはただのお話だと言って笑う。
・・・うちの小さき息子も、いつかそんなことを言い出すのかと思うと悲しくなる。
「念のためにいい子にしておこう」と言い出す正ちゃんたちだったが、パパがサンタが来ないと脅したという話をママにしているのを聞いてしまい、だったらこのまま騙されたままにしようと考える。
うまく誘導して、パパに高級なおもちゃを買ってもらおうという作戦なのだが、果たして・・・。
読後思うのは、もはやサンタクロースはいないこと前提のお話となっているということであった。
本作は、少年サンデー掲載のクリスマス作品で、サンタの存在など最初から無視した構成となっている。冒頭は、パパとママからプレゼントをもらったが、希望していたものとは少し違う・・・という正ちゃんの口から始まる。
友だちのパーティーでプレゼント交換会をしたのだが、有益なものは入手できなかった。そんなところへ、田舎のおばあちゃんからクリスマスプレゼントが贈られてくる。中を開けるとギョッとするほどに真っ赤な毛糸の靴下であった。
欲しくないプレゼントばかりとはいえ、一度手に入れたものを、バッサリと捨ててしまうのも勿体ない。そこで友だちを集めて、物々交換会をやろうということになる。
けれどガラクタばかりが集まっているので、単純な取り換えっこは不公平な結果を生む。そこで、品物を一つずつセリ売りをすることに切り替えるのであるが・・・。
物語後半は、5円でよっちゃんに売り渡してしまった赤い靴下を、90歳のおばあちゃんが夜なべして編んだくれたものだとパパから聞いて、取り戻そうとする、という展開に移行する。
ラストで、この靴下はおばあちゃんから、息子である正ちゃんのパパ宛てのプレゼントだということが判明し、母親の真心に泣くというハートウォーミングなお話となっている。
確認できたところでは、オバQでは6本のクリスマス作品があった。かなりの数ではあるが、実はこれで終わりではない。1971年から再連載された「新オバケのQ太郎」でも、クリスマスをテーマにした作品が数多く描かれているのである。
「新オバQ」では、Qちゃんの弟、O次郎が登場して、また別の滅茶苦茶な展開となる。次稿ではO次郎を中心にしたクリスマス作品を一挙ご紹介したいと思う。
「オバQ」もたくさん紹介しております。
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