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自由すぎる怖さと日本人の性質

先日、日本在住のアメリカ人2人によるYouTubeを観ていた。
話しているトピックは「日本の生活」についてだ。

「日本はルールが多すぎる。暗黙の了解みたいなものも多い。正直、なんでこんなにルールを設ける必要があるのかを思ったけれど、逆にルールに従えば日本は本当に住みやすいいい国だ」

「アメリカはあとは自分でなんとかしなよって社会に放り出される。ルールが全くないから、自分の軸を持っていないと生活は大変なことになる。逆に進む方向が決まっていれば後はルールを気にせず自分のやりかたで進むのみだ」

彼らはこんなことを言っていた。


私は18歳で海外に出はじめたのだが、理由のひとつは日本で生きるのが息苦しかったから。ルールに縛られたり、はみ出ないように他のみんなと同じ方向を向き続けるのがとてもしんどかった。高校卒業まで苦しい時間を過ごした私は「日本での居心地が悪いのは日本社会のせい」と決めつけ、ほとんど逃げるように海外に居場所を求め始めた。

海外に出ると、とても心地よかった。
特に、他民族国家で留学したり就職したお陰で、もう誰が何をしてい
ても気にならない。そして、私のことなんて誰も見ていないし気にしていない。私は羽を伸ばし精一杯自分らしく生きることができた。

はじめて海外に出てから8年ほどの月日が経った。
これまで様々な国を訪れ、色んな人、価値観、文化、景色、宗教観、たっくさん見て吸収してきた。
そして今、思う。
「果たして日本のルール社会をそこまで毛嫌いする必要があったのか」



例えば私はアメリカのスクールドラマをネットフリックで観るのが好きなのだが、出てくる生徒はみんな私服を着ている。髪だって染めてるし、アクセサリーも付けている。ネイルだってしている。
私はアメリカの高校に通ったことはないのだが、今のところ観たアメリカのスクールドラマは全部私服だったと思う。

一方、私が通った日本の田舎の高校は制服を採用していた。
もちろんアクセサリー禁止、髪を染めるのも禁止、スカートは膝下丈と決まっていた。
当時はこれが嫌で仕方なかった。高校1年の時にピアスを開けて登校すると所属していたテニスクラブを辞めさせられた。(後から戻ることになるのだが)それほどに校則はきっちりしていた。

ダメはものはダメ。でも何でダメなの?それは決まりだから。
日本に長く植え付けられた意味のないルールに今もなお縛られる。
バカバカしかった。



だけど、現在の私はこう考えるようになった。
「校則で色々決めて貰ってるとありがたい」。

例えば私服となると女子の間では、あの子が私の服をまねした、あの子の髪色がダサい、あの子のブランドバッグはきっとフェイクものだろう、先生が変な目で見てくる気がする、お気に入りのアクセサリーが誰かに盗られた、、など、色々なドラマが発生しそうだ。

もし、私が高校生の時にこんな噂や愚痴が広まっていると、私はもう怖くなってそれこそ白Tシャツにブルージーンズ、腕時計、黒髪ポニーテールになるだろう。
そう考えると「みんなと同じ」は安心安全なのかもしれない。



私と同じように「自由」を求めて海外に出る人は多くなってきていると思う。コロナも段々落ち着いてきたタイミングだし、海外出稼ぎも流行っている。
みんな海外に憧れ日本を離れるけれど、もしかしたらすぐ気が付くかもしれない。「自由を取ることは、その選択に責任を負う」ということ。

世界は自由。犯罪や人に迷惑が掛からなければそれでOK。なんでもOK。
だけど、何かしくじってしまった時、自分ひとりで解決しなくてはならない、しかも外国で。その覚悟はあるのかということだ。

私はこのことに気が付いた時に「校則は生徒を守るもの」なんだと考えた。
そのスケールを大きくして日本社会のルールに当てはめる。
それは「秩序を守るもの」なんだと再認識した。
お陰で日本は他の国に比べると、平和で清潔でとてもいい評判がついている。そのことが信頼に繋がり、日本のパスポートは世界最強だ。



ここまで書くと誤解を生みそうなので言っておくが、世界に出たいと思うのなら私は出来るだけ出た方がいいと思う。
しっかり自分の目で見て肌で感じ、脳で考える。
その経験が無ければ日本が合っているのか、外国が合っているのか、分からない。
世界の自由を体験したい!どうぞ!経験してください!
そしてその後、やっぱり日本の方が心地いいと感じるなら帰ってくればいいだけ。それを失敗とかネガティブな方向に捉えるのではなくて、「良かった!経験できて!」で良いのではないか。どちらにせよ、とてもいい人生の肥やしになる。


やっと私は「ルールは沢山あるが、日本はとても良い国」と思えるようになった。そう思えるようになるまで8年かかった。
でも、その8年間、私は確かにとても果てしなく「自由」だった。




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