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5.1~5.5 ビバラ!オンライン2021

さいたまスーパーアリーナで5日連続で開催されたVIVA LA ROCK。昔からGyaoでの中継とかも活発だったのですごく好印象なフェスだったのですが今年は前年に引き続きオンラインイベントとしても機能するような仕様に。もう1,2日目はアーカイブ観れないんですが5日間の感想をざざっとメモ書き。


5/1
フェス初日、KEYTALKがオープナーとして抜群の活躍を見せた後にKANA-BOONが地に足つきまくりのライブを決めてて素晴らしかった。パンクとかハードコア中心だったそれまでの野外ロックフェスに新たな空気を呼び込んだバンドだと思うし、リアルタイムでずっと観てきたバンドとして個人的にはフェスの象徴たるバンドで。鮪君の休養もあったので久々に映像で観たけど、つくづく気持ちの良い音楽だった。ビート含めあのなだらかなメロディラインと鮪君の歌、あの流線型のロックに身を委ねたい瞬間って絶対にあるなぁと再確認した。フェスがどうしたって恋しくなるようなアクトだった。

それで言うと2013年くらいから毎年欠かさず夏に観てたSHISHAMOも印象深かった。人前であまり披露されてこなかったであろう昨年の楽曲も骨太に届けていたし、何より「明日も」。いつも演出で1番サビまでモニターに客席全体を映すのだけど、去年の無観客ライブではとても寂しい光景になっていて。だけども今回は隙間はありながらも観客がいる光景がそこにあって、そのショットには軽率にグッときた。「明日も」のあとに「明日はない」っていう真逆のセルフパロディみたいな破壊的な曲をやって終わるようなバンドではあるけど、この日は真っ直ぐに「明日も」が届いちゃった日だと思う。


若手中心のCAVE STAGEだとインナージャーニーHakubiが良かった。インナージャーニーはバンド名から察するにandymori以降のフォーキーなメロディーにシンプルなロックサウンドを志しているタイプだと思うのだけど、ボーカルの声がなんかずっとニコニコしててそのナチュラルさが他にない強みだなぁと。素朴さって結局1番突破力になり得る。Hakubiは徹底的に冷たい世界観に聴衆を沈めていて凄く良かった。低めの女性ボーカル×ダークな詞世界っていうバンドで3ピースなのはかなり意外性ある。空間系のギターを用いずに、歌声の説得力と剥き身な演奏で引っ張っていたのが新鮮に映った。



5/2
この日はアイナ・ジ・エンドに圧倒された。このアクトを観るだけでも価値のある日。とにかく声のコントロール力が凄まじい。攻撃的な世界観こそ持ち味と思いきや、しおらしくて可憐な曲も祈りのようなバラードもあって、そこにもあのハスキーさがばっちりハマってしまうのだから。それにダンスというアウトプットまで持ち合わせてる。それも、キャッチーな振り付けもあれば、情念をこれでもかと塗り付けるコンテンポラリーな舞いもあり、えぐみの強い奇妙なステップもある。路上で踊り狂ってパフォーマンスしてた下積みがあるようなこの野性の表現者にバックアップがつけばこのレベルに到達しちゃうのだ、と震えた。ほんと、見つかるべくして見つかった才気だと思う。ワンマンとかどうなっちゃうんだおるか。他の人を持ち出すのはどうかと思うけど、いずれ椎名林檎レベルの影響をシーンにもたらすと思う。


ネクライトーキーは新曲多めのパフォーマンス。逆境で噴出するエネルギーをカラフルに染め上げて届ける、みたいなタイプのバンドゆえ、この状況下では闘争の歌として響き渡って一層に力強い。もっさのシャウトがキレキレで更に頼もしかった。去年の配信ライブで披露されていた誇り高き「続・かえる君の冒険」、現状に対する不満をぶちまける「俺にとっちゃあ全部がクソに思えるよ」など、アルバムへの期待が高まる内容にもほどがあった。


CAVE STAGEの小林私には驚いた。野蛮さと品性がすごいバランスでかち合ったような存在感で痺れた。文豪みたいな佇まいもすごくイケてるし、またちょっと違う角度から歌謡曲を生まれ変わらせるタイプのシンガーなのではないだろうか。あと、顔出ししていないコレサワはどんな風に中継するんだろうと思ってたら資料映像みたいな固定カメラで、ピントがぼやけてる、という仕様だった。「右耳のピアス」、情念を爽やかに歌っている様が良い。



5/3
とにかく観たいアーティストが多かった日。Twitterでのタイムライン上も沢山の人が行ってて、1日行くならこの日よなぁと強く思ったりもした。


Base Ball Bearが久しぶりに有観客の前でライブをしている映像を観て胸いっぱいになった。好きすぎるバンドなので配信含めて何度も観ているはずだけど、出音一発で改めてこんなすげえの?ってなる屈強な演奏で鳥肌が立つ。往年の瑞々しい曲に加えて新曲「SYUUU」の即効性も思い知った。長いイントロを足された「changes」、またも新たな意味を帯びていたなぁ。


初めてライブ映像を観たBBHFが無茶苦茶に良かった。2曲目にGalileo Galilei時代の「恋の寿命」をやって懐古的な気分で興奮したのだけど、それ以降の曲たちがどれも抜群。正直、ワントーンな感じのバンドだなーくらいにしか思えてたなかったのだけど、ライブはすごく豊潤で温かくてダンサンブル。アコースティックギターの調べとリズムの残響がじわっと染み入った。


ビバラの象徴的存在・the telephonesにおける鹿野淳の登板であったり、どぎついファンクネスをどばどば投下したスガシカオだったり、この場所への信頼が滲むアクトがとても多い。遂に大舞台に臨む規模感へと飛躍したAwesome City Clubの賑やかなステージングもこの歩みを追ってきたMUSICAだからこそ高い物語性がある。「Sing out loud, Bring it on down」のパーカッション隊とか、大所帯バンドらしさも増していてワクワクした。


ブースターとして抜群の役割を果たしたCreepy Nutsは「日曜日よりの使者」が泣けて仕方なかった。ビバラの縁で生まれ、津野米咲のギターがエディットされたこの曲がここで鳴る意味の大きさったらない。そしてそんなクリーピーが「CAVE STAGEのトリは売れる」と告げていたわけだが、この日はkroiが務めており、確かに爆発しそうな予感が満載だった。小躍りできるファンクナンバーなのだけど、パーティー感よりも煙たさとか泥臭さが全面に出ててこの"悪さ"は放っておけないやつ。ラップのまぶし方も絶妙だった。



5/4
この日はVIVA LA J-ROCK ANTHEMSの出演日で、アーカイブのオンエアも含めてすごく賑やかで楽しい日だった。亀田誠治を中心とする名曲カバーバンドで各曲ごとにゲストボーカルを迎える企画性が特徴で、去年のオンラインでも名演セレクションがオンエアされてたけど観たことない曲が沢山。特にホリエアツシ(ストレイテナー)が桜井和寿に似せたスタイリングで歌い上げたMr.Children「名もなき詩」は名演だった。この人がJ-POPを歌う時に生まれるくすぐったさとしっくり感のぶつかり合いは何なんだろうか、と思う。


今年のゲストボーカル陣も素晴らしかった。藤井風の久保田利伸「LA・LA・LA LOVESONG」は彼のポップスターとしての素質が遺憾なく発揮されていて圧巻だった。ピアノ弾いてても、ハンドマイクでも、強烈な華やかさ。Saucy Dogの石原慎也が歌うSUPER BUTTER DOG「サヨナラCOLOR」は爽快さを携えた曲に仕上がっていて見事だった。そして白眉だったのはアイナ・ジ・エンドによる赤い公園「Canvas」。事前の解説によれば選曲を担当したのはアイナ自身。津野の推薦によって2019年にアンセムズのボーカルに選ばれた彼女から贈られた返歌のようなこの曲。彼女の絶唱は悼むことと同時に強くこの曲をここに残す意志を感じる、嗚咽して観るほかない時間だった。


アンセムズのアーカイブでJUDY AND MARY「そばかす」の絶唱を聞かせていた大森靖子もこの日、バンドセットで出演。一瞬たりとも隙を見せることのない緊張感溢れる35分だった。「Co Ro s Na」と名付けられたアカペラの新曲はその体温まで伝わるほどに生々しい怒りであった。彼女のようなシンガーがど真ん中で歌えるフェスというのもビバラの独自性だろう。ACIDMANを序盤に置いて宇宙で満たしてしまうフェスも、「to live」を1曲目にやっても誰も置いてけぼりにすることはないフェスというのもここだけだと思う。



5.5
最終日。ハードめなバンドが揃ったこの日の1番手として登場したtetoは笑っちゃう程に破滅的で、この音を出さなければどうにかなってしまう、という生き様が全部出ちゃってるライブだった。爆速の「拝啓」から新曲にあたる「もしもし?もしもさぁ」「光とロマン」までずっと前のめりっぱなし。ステージの淵、ギリギリまで歩み寄って声を届けようとする小池貞利(Vo/Gt)の姿が輝いている。ライブハウスに通っていた少年期を重ねながら歌った「光る街」は原曲をアレンジし、熱情に満ちた楽曲へと変貌を遂げていた。「9月になること」が似合う季節までにはどでかい音を浴びたくなってくるだろ。


キュウソネコカミがこの状況下でどんなライブをしているのか気になって仕方がなかったが、ものすごく真っ当にロックバンドをやっていて驚いた。元からキメとビート感の快楽指数は抜群だったけどステージを降りたり、客席を泳いだりしない分、ソリッドな演奏が際立っていてこれはかなりアリなのではないか?と思った次第。「囚」のラウドなグルーヴ、「何も無い休日」の切り裂くようなシャウト、一層に意味を高めていく「The Band」の晴れやかさ。テン年代フェスが生んだイロモノのような扱いをされがちだけど、結果として愚直にライブと心中しようとする、愛すべきロックバンドなのだ。



マカロニえんぴつはJAPAN JAMとのダブルヘッダーという売れっ子にもほどがある香盤を見せたのだが、この日のビバラではかなり浮いてる存在。しかしながら全く問題のない浸透力でトリ前を飾っていた。テレビでの歓迎のされ方、そしてロックフェスへの順応性、これを両輪で走らせてるバンドって稀有では。また、CAVE STAGEのPanorama Panama Townは久々に観たけどより荒々しいロックンロールバンドになっていてカッコ良かった。メロディがどんどん磨かれている。「SO YOUNG」みたいに動きまくる旋律も綺麗。



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