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読書感想18「読書嫌いのための図書室案内」青谷真未

こんにちは、せ→る→です。

今日は、青谷真未さんの
「読書嫌いのための図書室案内」
の感想を書こうと思います。

※ネタバレ少しあり

著者:青谷真未
イラスト:中村至宏
出版社:早川書房 ハヤカワ文庫JA
(敬称略)
<あらすじ>
読書が嫌いな高校二年生の荒坂浩二は、ひょんなことから廃刊久しい図書新聞の再刊を任される。本好き女子の藤生蛍とともに紙面に載せる読書感想文の執筆を依頼し始めた浩二だったが、同級生の八重樫、美術部の緑川先輩、生物の樋崎先生から、執筆と引き換えに不可解な条件を提示されてしまう。その理由を探る浩二と蛍はやがて、三人の秘めた想いや昔学校で起きた自殺事件に直面し……本をめぐる高校生たちの青春と秘密の物語。
Hayakawa Online

とっても面白かったです。青春、学園ものではありますが、図書新聞に載せる読書感想文を依頼した3人の悩みや秘密を解き明かすなど、ミステリーとしても楽しく読むことができました。

読書嫌いな荒坂が、読書好きな藤生と交流していくことで、本に興味を持っていくお話。私も元々本が苦手だったので、最初の方で読書の楽しさがわからない荒坂にすごく共感しました。

作中には、「赤い繭」や「箱男」「少年の日の思い出」「舞姫」など、実在する本がたくさん登場します。

「少年の日の思い出」は中学「舞姫」は高校の教科書に載っていて、授業で読んだことがあります。ですが、当時の私は荒坂同様、読書嫌いだったため、授業で習った解釈でしか物語を読んでいませんでした。

そんな中、藤生は、裏読み(=深読み)をすることで様々な角度から物語を深堀りしていきます。藤生によって新たな解釈を知ることができ、もう一度読み返したいと思いました。

裏読み(=深読み)とは、キャラのバックボーンなどを考えることだそうです。

藤生は作中で、

現実に嫌な人が現れても、たくさん裏読みをすることで『何か理由があるんじゃないか』『前向きに受け止めよう』って思えるんです。だからなるべく本を読むようにしています。いろんな考え方ができるように。他人の言葉をひとつの意味にしか解釈できないと苦しくなってしまうから、逃げ道をたくさん作っておけるように。(p190)

と述べていました。

すごく素敵な考え方でグッときました。たしかに、私たちは他人の生い立ちや性格を全て知っているわけではなく、誰かにとっての冗談でも、違う誰かにとったら本気の言葉として捉えられてしまうこともあります。

私は注意されたり怒られたりすると真に受けてすぐ落ち込むタイプなので、傷つくことを言われたら、自分の都合の良い解釈をしても良いんだって思えました。逃げ道があったっていいんだ。

この本を読んで、さらに本を読みたくなりました。読書に正解はなく、”自由に想像して自由に解釈する”ことができます。

読書好きはもちろん読書嫌いの人に読んでほしい作品です。私も藤生のように裏読みに挑戦して、これからも読書を楽しみたいと思います!

ここまでお読みいただきありがとうございました。他の読書感想文も読んでいただけたら嬉しいです!

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