「いかなる花の咲くやらん」第12章第3話 「心が通う虎女と母」
歳月人を待たず。永遠がどんなに嘆いていても,月日は以前と変わらず過ぎていった。夏がいき、秋も深まろうとする頃、永遠は母親の万劫御前が箱根権現で兄弟の供養をなさると聞き、自分も共に供養したいと申し入れた。万劫御前はたいそう喜んだ。亀若も一緒に行きたいと思ったが、五郎にとどめを刺したことが気にかかり、万劫御前に会うのが怖かった。詫びを入れなければとおもいつつ勇気が出なかった。また、最近は気鬱になり、臥せっていることが多くなっていた。もうしばらく大磯で休養するように菊鶴にも言われ、