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亀若

今回は「亀若ちゃん」について少し話します。
亀若ちゃんは吾妻鏡にも、その後の言い伝えにも出てきません。「いかなる花の咲くやらん」のオリジナルキャラクターです。
曽我五郎さんにも素敵な恋人がいたなら良かったなあという思いからうまれました。
(後に語られた話しでは、五郎さんにも良い人がいたという説もあります)
亀若ちゃんは虎女(永遠ちゃん)の親友として、彼女を支える存在になりました。
そして、節々で出てくる女性の影、例えば工藤祐経が討たれる前に女性と共にいたなどの女性を亀若ちゃんにしました。
浮世絵では、兄弟を手引きする女性の絵がありますが、この話しではその手引きも亀若ちゃんに任せました。愛する五郎様の為に、その操さえ祐経に捧げた亀若ちゃん。
亀若ちゃんは作者の意図より、自発的に成長していったような感じがします。最初の頃は月蝕が怖くて布団を被って震えていた少女が恋するが故に強くなり、ついには「お慕い申しておりました」と五郎さんをあの世に送ります。この場面は大河ドラマ「黄金の日々」で川谷拓三さん扮する善住坊が李麗仙さん扮する恋人の手に拠って命を終える、名場面をオマージュしたつもりです。
そして、兄弟亡き後も亀若ちゃんは虎女さんと兄弟の母親万劫御前を支えてくれます。
美しくたおやかな虎女さんも好きですが、明るく元気な亀若ちゃんも、大好きなキャラクターです。
皆さんにも愛していただけますように。

後の話しと書きましたが簡単に言うと、曽我物語は真名本、仮名本があります。鎌倉時代初期に書かれた漢字て書かれたものと100年ほど後に分かりやしいように仮名で書かれたものです。江戸時代には歌舞伎の人気の演目になり、そこでも色々と変化しています。
また、広重の浮世絵でも描かれている曽我物語ですが、広重は聞いた話しを浮世絵にしたということで、そこでも原作と少し違った解釈があると思います。「いかなる花の咲くやらん」でも衣装が歌舞伎の装いになっています。


亀若の活躍はこちら
「五郎様お慕い申しておりました」
「亀若の操」


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