「見通しの良い生活」への道:生活マンダラ図と図解<その1>
「見通しの良い生活」のためのツール編です。「マントラ(真言)とマンダラ(曼荼羅)」を生活に作り込んだらどうなのかなっていう試考です。
後半はマンダラ図(曼荼羅図)です。曼荼羅は悟りの世界観なので、やや生活の娑婆感からはかけ離れたものに見えますね。まあ、そこをです。「見通しの良い生活」だって、その細くて長い道のそのまた先の先には悟りに繋がってるはずだと思えば、もう一歩踏み出そうとかと思えるのではないでしょうか。
生活マンダラ図と言ったものの、いわゆる図ですからね。あくまでも図解の範疇で扱ってみます。厳かな細密画に対して、素っ気ない線画になっちゃうんだけど、これなら、100%凡夫の小生でも取り扱えそうです。
娘「曼荼羅図って神様がいっぱいいるやつだよね?」
父「そうだね、世界を神様の分業とみなすってことだね」
娘「よく大きなお店とか施設の、スタッフ紹介の写真が壁に飾ってるのと似てると思うんだけど」
父「うむ、新しいな。この世に生まれるって、初めてのお店に来店したようなものなのか?」
娘「ほら、この世界って超どでかい施設じゃないですか。顔の見える頼れるスタッフがいるって、ちょっと安心するでしょ」
父「スタッフ紹介の中心にいるのがこの世界の施設責任者だとすると、それが大日如来っていう神様のことになるぞ」
娘「神様たちは曼荼羅図で、『この世で何かあったら、近くの神様に遠慮なくお声をおかけください』って語ってるんだ」
父「さも、ありなん」
◼️生活マンダラ図を描く
今回はツールとしての生活マンダラ図の可能性を探ろうというものです。できるだけ、生活現場を反映しなが、人生の「見通しの良さ」に貢献できるように試考します。
人生全体を客観的に図解するのは無理なので、本物の曼荼羅図に任せるとして、生活の領域を定めて図解していきましょう。
今回のラボ視点では、職業の変遷に貢献する生活マンダラ図をお題にします。
では、そのための背景説明から入ります。
小生がブランディングのコンサルティングをするときに、差積化(させきか)という概念をよく使います。これはロングセラーを作る時の一つの視点でして、この反対の概念の差別化(さべつか)とセットで解説しておりました。
図表206のように、差別化はオリジナリティが最初にピークな状態にあります。この反対に、差積化は徐々にオリジナリティが増えるようにすることで固有のブランドを確立していこうという行動指針です。気になる方は「ブランディングの基本」参照してください(本書での扱いはちょっとなので、立ち読みでも十分です)。
個人ブランディングという考えがあります。拙著「ブランディングの基本」に載るはずだったのが、ページ都合で割愛してしまいました。そこではこの差積化と差別化が交互に価値を生み出すことを図解にしていました。この没チャートが日の目を見たのが図表207です。差別化と差積化に相補性の関係を見ています。
個人の職業を人生スケールで差積化と差別化を繰り返しながら個人ブランディングしていく視点で解説しているチャートです。人生は長いので、いくつかのステージで職業を変遷させていく必要があります(全員じゃないけどさ)。そのステージごとでの差積化がどんな感じになっていくかを表しています。
あっさり言うと、人は差積化で価値創造の波を作っていけるってことです。差積化→それが真似しにくさを作る→差別化→ブルーオーシャンから差異が少なくなってレッドへ→次の差積化→
・・・みたいな展開です。
やっと、ここで本題に戻ります。第一の差積化(小生で言えばマーケティング・コンサルタント)が第二の差積化(現在、絶賛推し中の生活思創家)にどのように貢献できるか、今回の生活マンダラ図のツールでの利用目的になります。
ベータ版の生活マンダラ図が図表208です。差し出した事例は、小生の職業だったマーケティング・コンサルタントの専門性の体系をマンダラ図化してみたものです。中心とその周りが職種名称なのは、曼荼羅図が個々の神様を単位にしているのを模しています。
小生の場合、中央がマーケティング・コンサルタントで、4方にプランナー、クリエイティブ・ディレクター、リサーチャー、プロジェクト・ファシリテーターという4職種が配置されております。この4隅は小生の20年キャリアからの実感知です。中央を分解して必要とされる専門性を職業名称にしたと思ってください。カタカナ名称だらけなのは、この仕事周辺の元々の特徴なので、いけすかなさはご容赦ください。
でもって、外郭には、個別職種の主要なスキル(中央から見れば細分化された専門スキル)が2つ(相補性を意識してます)づつ置かれてます。ちなみに、真ん中から放射線状に要素が増えていくと、絵柄的にもマンダラ的な世界観っぽくなりますね。
で、この今までメインだった職業の生活マンダラ図を、一般化してみます。
ここに「抽象化された知識体系」が生活マンダラ図で整理できます。これが個人の人生の見通しを語るであろう生活ステージに世界観を与えるフォーマットになります。
こうやって眺めると、それぞれの4専門スキルには役割分担のような領域があることが分かります。
外部依存の世界観を支えるものー内部依存の世界観を支えるもの:横軸
体型拡散の世界観を促すものー体系収束の世界観を促すもの:縦軸
つまり、もし、あなたが何らかの仕事や生活での役割(中央)を長く務めてきたなら、そこにはそれなりの世界観と隣接した専門スキル(4隅)がそれぞれあるってことなのです。
するとです、「次は・・・になりたい!」と思うなら、その世界観に隣接している専門スキルを目指せば良いということになります。専門スキルは専門職っぽくできます。
◼️生活マンダラ図を運用してみる
図表210の抽象化した生活マンダラ図を前提に、生成AIに必要な専門スキルを整理してもらうことができます。運用例で見てみましょう。
<運用例1>
例えば、小生が今までのマーケティング・コンサルタントで見てきた世界観が料理研究家になったら、どのような風景になるかを問うてみます。
すると、こんな生活マンダラ図に表現できます。
なるほどね。料理研究家は流石に無理だし、それを人生の最後の直線コース(高齢者の迷いのないチャレンジっていう意味です)に組み込むには、他にやりたいことがあって、優先順位も上がらないなあ。でも、料理はもっと上手くなりたいと思う。
話はやや逸れるけど、老いた実母から聞かされたのは「足が弱ったら、ボケが始まる」という話です。これって彼女の生活マントラなのですが、歩ければ環境から刺激が入って、脳が自然と回るのだそうだ。
これに準じるなら、死に際まで料理ができて賄(まかな)えるって、小生にとっての生活目標です。今は手持ちのレシピ少なすぎなので、都度、相方からご教授いただいております。
<運用例2>
話はまた本線を進みます。運用例の2つ目です。
今度は実際にある実務活動を生活マンダラ図に適用してみます。小生が将来的に生活思創を動画で展開したならという妄想に具体的なイメージを与えてくれるものがあります。3Blue1Brownという数学の話題を動画で美しく説明してくれるYoutubeです。なんといっても、直感的に理解してもらう工夫に溢れているのが魅力です。
「ああ、生活思創とか言って、ひたすらコネているものが、いつか、こんなになったら素敵だな」、そんなロール・モデルでもあります。
この3Blue1Brownのコンテンツ運営を生活マンダラ図に置き換えてみました。
もし、今の生活思創をYoutubeの方向に向けたいと思うなら、生活思創家って教育カリキュラムを開発する知見が必要になりそうだなあ、なんて予想できます。あと生成AIの使い方が左上「外部依存ー体型拡散」ゾーンのリサーチでの使いが主だけど、右上のビジュアル・コミュニケーターを深めることも視界に入ってきます。ビジュアル(動画も含め)の作成での生成AI活用にも精通せねばならんでしょうね。道は遠いが、辿り着けない距離ではないな(自己暗示w)
※日本語版のYoutubeはこちら
◼️生活思創家を生活マンダラ図にしてみる
事例を通じて、横の風景(料理研究家)や上の風景(3Blue1Brown)をちらっと垣間見てみました。生活マンダラ図のレンズからの風景は、粗いけど統合した眺めっぽいな。思いっきり凸レンズなのだ。
それでは、本丸の生活思創家そのものを生活マンダラ図という名の凸レンズで覗いてみましょう。
まず最初のステップです。ヤスハラの過去から積み上げたキャリアから絞り出した「抽象化された知識体系」(図表213の左図)に、生活思創家を当てはめてみます。で、できたのが「生活思創家の生活マンダラ図」(右図)です。
生活思創家の原風景は、小学生の娘の不登校問題への試考にあったので、この娘の事象も併記してみました。自分の古い学校への信念に揺らぎを与えながらも、不登校という社会課題にオルタナティブな視点を投げかけたい、そんなところから始まってますね。
その過程で、新たな物差し「見通しの良さ」を創出してみたりしてるのです。まだまだ差積化には程遠いとは言え、少しばかり継続していると「体系化もありかな?」などと、スタート時は求めてなかった目標らしきものも浮かび上がってくるのでした。
まだ、図表213では4隅がスキルで終わっています。これを人物的な役割というか、職業名称っぽくなるように、以下の図表でまとめてみました。
結構、強引に職業名称にまで仕上げてみると、楽しいだけでなく、未知の仕事へのドキドキ感が湧いてきますね。これは「見通しの良さ」と言うより、「風通しの良さ」か?
生活思創家を支えるそれぞれのニューワードに解説を加えると・・・
・文脈インテグレーター(右下:内面ー収束領域)
生活思創家を生業とした時の本領です。今の世の中の専門化とは、コンテンツが分離していく方向を指しています。生活思創家は敢えて抗った専門性を志向しております。同じ専門でありながら統合を本尊にしています。
・図解クリエイター(右上:内面ー拡散領域)
クリエイティブな仕事に入ります。図解は通常は言葉でできた概念の二次元平面への転写です。図解クリエイターは、言葉の行間にあるニュアンスを図の中に織り込むまでを行います。ここでは、図表は文章の確認ではないのです。図表から滲み出る「何か」に、言葉で語られなかった文脈を託せるようにします(言い切るのは自縄自縛しそうで辛いので、『しようとしています』)
・最適プロンプト・メーカー(左上:外部ー拡散領域)
統合の仕事が厄介なのは目配せの範囲が広く、手持ちの知見だけではニッチもサッチも行かないところです。そこで生成AIの登場になるのですが、生活思創なんかは生成AIの誕生とともに可能になった活動の一つでしょう。生成AIから、広大な世界をバランスよく切り出せたなら、試考の盲点を最小限にしてくれるのです。とはいえ、深く考えるための土台(時に叩き台)を作るには、それなりの手練手管が要求されます。最適なプロンプトに行き着くスキルは必須です。
・互恵プロジェクト・リーダー(左下:外部ー収束領域)
生活思創がポピュラーになるには周囲や読み手の人々にメリットを提供していく必要があります。1人ではなかなか大変な道のりです。一方で、小生も、このラボをどのように活かしていくのかも徐々に明確にしていかねばならんでしょう。いずれも、他者の叡智が必要ですね。互恵のあるポイントがどこかに潜んでいると考え、都度、探っていきます。
◼️生活マンダラ図の工程図
ここまでのラボ話をフロー図でまとめてみました。
あまり全体の絵柄が良くないので、まだまだ改良の余地ありですが、今日のところはここまでってことですな。ただ、以下の2点は明文化できた収穫かと。
1)個人の今までの生業からそれを支えてきた専門スキルには、その人の土地勘が宿っているので、次のステージは別スキルだとしても、元々の土地勘を活かす方向を目指すなら、誰にでも生活マンダラ図が描けそう(記号接地があるってことです)
2)差積化の中心を支えるもの(ここでは4隅)を、強引にでも専門家らしき名称にすると、人としての統合視点が持てる。これによって、散らばりやすくて気まぐれな日々の行動を束ねることができるし、DoingからBeingな視点に自分自身を切り替え易くなる。カテゴリー越境を理屈ではなく、「こんな越境者」みたいな扱いにすると、等身大の次期になるべき自己に見えてくるってことですかね。
娘「私が何か新しい職業を思いついたら、この生活マンダラ図って使えるかな?」
父「うーん、難しいかもな。先に入れ込んだ仕事があって、それが元になっていくからね。すまんけど、この話は人生後半向けだと思う」
娘「じゃあ、そもそも若者は生活マンダラ図で図解できないんだな」
父「おまけに、生き方が暴れ気味のあなたは拡散ばかりで、収束がないし・・・」
娘「トーチャンもよく私に言うもんね。『小さくまとまるな』ってさ」
父「まとまって欲しい場面はたくさんあるけど、無理だよね」
娘「ええ、無理です」
図解は小生の言語補完のようなものです。大昔の日本は漢文しかなく、そこから平仮名やカタカナができて、「漢字仮名交じり文」になったってことでした。今や、「漢字仮名記号アルファベット絵文字交じり文」まで進化しました。そこに図表が入って、「漢字仮名記号アルファベット絵文字図表交じり文」になることを目指しております。ちょっと言い過ぎ、目指してはないけど、明らかに混ぜようとしている。
Go with The flow.
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