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老化に負けないシニアを目指す 3  「最高の体調」 鈴木祐

前回の第2弾「70歳が老化の分かれ道」に続き、今回ご紹介するのは
鈴木祐さんの「最高の体調」です。

サブタイトルには100の科学的メソッドと40の体験的スキルから編み出したとあり、具体的な老後生活の参考書として有効と思われるところがたくさん紹介されています。

私なりに刺さった部分、実践しようと思っている事や感じたことを要約してみたいと思います。豊かな老後を過ごすための秘訣、学びましょう。

最高の体調 鈴木祐

鈴木さんはご自身のブログ「パレオな男」で健康や科学に関する知見を紹介されているサイエンスライター。

出版社勤務を経て独立。数多くの科学論文読破、海外の学者へのインタビューを重ねヘルスケアをテーマとした書籍や雑誌を執筆。エビデンスを基にした内容が好評でブックライティングで手がけた書籍は100冊超え。

「はじめに」で現代人が抱える問題について下記の記述があります。

鬱病、肥満、散漫な集中力、慢性疲労、モチベーションの低下、不眠、弱い意志力など、一見バラバラのように見える問題も、根っこまで下りてみれば実は同じもの。
すべては一本の線でつながっています。
そして、その正体を暴くカギが、「文明病」という考え方なのです。

p5

本書はこれらの問題を総合的にアプローチしていくものです。
筆者も本書の知識を実践しつづけ、人生を良い方向に変えてきたとのこと。

鈴木祐さんは、体調不良改善の為に

  • 狩猟採集民の食事を目指し加工食品をやめ

  • 精製穀物の量も減らし

  • 野菜や魚の量を増やし

  • 間食はゆで卵で代用

  • 食物繊維が豊富なさつまいもを主食に

  • さらに早歩きウォーキングや筋トレの運動を取り入れ

  • 仕上げはメンタルの改善

これら取り組みに成功され、人生でもっともリラックスした時間を過ごせているそうです。

ベースに有るのが「ヒトはどう進化してきたのか?」
この進化論にもとづくヒトの理解です。

文明病

「文明病」とは、近代社会の変化によって引き起こされる、現代に特有の病気や症状を意味します。もっとも典型的な例は肥満です。ここまで肥満が普通になった理由は、もちろん社会が豊かになったからに他なりません。

p22

「進化医学」の射程距離は、たんに肥満の謎解きだけにとどまりません。体の不調だけでなく、心のトラブルや脳のパフォーマンス低下も、やはり進化のミスマッチが原因だと考えられるからです。

p26

毎日朝から晩まで働いて会社と家の往復、飲み会ではネガティブな話ばかり、そして〆のラーメン、ストレス満載の日々、私だけではないのではないでしょうか。こんな生活を続けていましたが、幸い今日まで大病にかかったことはありません。身体にいいことと言えばタバコをやめたことぐらいです。ラッキーだっただけで、これからツケが回って来そうです。

現在社会においてはこのように多くの矛盾を抱え心と体は蝕まれていきます。自業自得と思っていたのですが、本書では「悪いのは自分だ」という考え方を採用しないとのこと。どうゆうことでしょう。
それは、原因は現代人に特有の「文明病」だからということです

こう考えると物質的な豊かさを手に入れたものの、はらった代償は大きいのかもしれませんね。著者もこのような状況にあり体調不良でしたが、旧石器時代の食事法で健康を取り戻したそうです。

問題解決へのステップはシンプルで下記の2段階
・自分が抱える問題について、どこの遺伝のミスマッチがあるかを特定する
・ミスマッチを起こしている環境を、遺伝に沿うように修正する
この2段階をこなせばほとんどの問題解決し、肥満は解消し、集中力と生産性も改善されるとのこと。

現代人にありがちな不調の原因を大きく2つの要素に分類し個別の対処法を見ていきます。文明病を引き起こす要素となる「炎症」と「不安」。

炎症とは

あなたが転んでヒザを擦りむいたとしましょう。すると、その直後からケガをした部分にジクジクと液体が染み出し、軽い痛みとともに皮膚は赤く腫れ上がってきます。これが「炎症」です。大事なのは、炎症が体の表面だけに起きる現象ではない点です。

p40

この炎症は誰にでも経験があるのでわかりますが、身体の表面だけではなく外傷の他、アレルギー、風邪など免疫システムがウイルスと戦うものも炎症によるパフォーマンスの低下ということ。
これは今回初めて知りました。また、内臓脂肪も減らない限り体はジワジワ燃え続け血管や細胞が炎症性物質で傷つくことになるそうです。内臓脂肪は「異物」でしかないと。このような恐ろしい状態を作っていることが、早くわかっていれば現在のメタボ体形は避けられたかも。
今からでも遅くないと思って対処法を学び努力をする気になりました

この炎症で面白いのは狩猟採集民と現代人ではちがう事です。
現代の日本人は体内で延々とくすぶる長期的な炎症がメイン。
それに対して外傷や感染による短中期的な炎症がメインの狩猟採集民、慢性炎症に由来する病気がほぼ存在しないと報告されています。

古代と現代で違うものは何でしょう?
現代人に多すぎるものとして「カロリー」
少なすぎるものとして「睡眠」
新しすぎるものとして「トランス脂肪酸」と「孤独」があげられています。

多すぎる「カロリー」は皮下脂肪や内臓脂肪として貯蓄され炎症サイクルにはまり込んでいきます。
少ない「睡眠」は体内の炎症マーカーが激増します。
「トランス脂肪酸」は肝臓の働きを乱し「孤独」は脳が脅威に感じ抵抗を始め、免疫システムを過剰に働かせ炎症につながっていきます。

不安とは

要するに、原始的な社会ではどのように不安を解決すべきかが明確なのです。芥川龍之介の「ぼんやりした不安」を現代的な不安とするならば、原始的な不安は「はっきりした不安」と言えるかもしれません。

p59

原始の不安は猛獣の危険や毒性の草、食料の不安など「はっきりとした不安」でシンプルで対処しやすいもの。
一方現代の不安は、仕事やコミュニケーション、将来の不安、SNSにおいては無数のユーザーからバッシングを受けるなど心理的なダメージの質と量は、古代の世界とは比べものになりません。

「ぼんやりした不安」が現代的な不安ということになるでしょうか。
ぼんやりした不安は記憶力を低下させ、理性的な判断力を奪い、死期を早めます。

では「不安」の存在意義はなんでしょう。
あらゆる出来事に対して生存の危機を察知し事前に対策を取れるよう
「アラーム」としての役目。これが「不安」です。

不安の質が変わった現代では、うまく機能が動作せずアラームが誤作動を起こし、頭の中で非常ベルが鳴りっぱなし状態になっています。
本来目の前に迫った危険への対策をうながすシステムでしたが、現在は将来のお金や仕事、死への不安、すなわち遠い不安を抱くことが問題なのかもしれません。

狩猟から農耕が開始され、人類の生活は一変しました。
もっとも現代人への影響が大きいのが「時間感覚の変化」。
農耕を効率よく進めるために遠い未来を思い描く必要が出てきたわけです。

ぼんやりした不安が脳に炎症を起こし、そのせいで増強された不安が、さらなる炎症の火種に変わる・・・この負のスパイラルを断ち切らなければ現代人のパフォーマンスは低下し続けることになります。

まとめ

人生なんて狩猟採集民時代からの時を考えれば、ほんの一瞬の出来事。
体は長い歴史によって受け継がれてきた人類の遺伝子レベルで出来ている。

このまま体調不良と医療の進歩の綱引きが続き寿命だけが延びていく。
こんな世の中、誰も良しとは思っていないでしょう。

とは言っても、現実はそう簡単には変えられません。
出来る事から実践していこうと思います。

  • 腹八分目から七分目

  • 納豆、キムチ、ヨーグルトを食べる

  • 定期的なウォーキング、日光浴、たまに低山トレッキング

  • 良質な睡眠を意識する、昼寝

  • 未来の自分の身になって考える

私事で恐縮ですが、自分の歴史を振り返ってみます。

徹夜でプレゼン資料作成、たばこ、愚痴の飲み会、朝帰り、深夜のラーメン、牛丼大盛、立ち食いそばの日々、売上ノルマ、営業成績のプレッシャー、上司の叱咤激励・・叱咤・叱咤、休日は昼まで寝てる。

この本に書いてある悪いことをお手本のように実践していた毎日。
今日まで、よく生きてこられたな~と改めて思いました。

最高の体調・・・今からでも間に合うのだろうか?負債が多すぎる気も。
改めて、自分の価値を追求し見直してみようという気持ちになりました。

かって学生から「人間は何のために生きているのか?」
と質問されたアインシュタイン博士は、こともなげに答えました。
「他人の役に立つためです。そんなことがわからないんですか?」

エピローグ p287

著者は、遺伝子が定めるルールのなかで幸福を最大化させるには、
「抜苦与楽」が最適解なのでしょう。
と述べられ上記の引用で締めくくられています。
深いですね。

☆☆☆ ⇩⇩ 詳細はブログをご覧いただければ幸いです。


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