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剪画作品紹介

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剪画作品をご紹介します。
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サンタが街にやってくる

サンタが街にやってくる

高橋 隆 作 606×420mm
“Santa Claus is Coming to Town” by Takashi Takahashi

 今回の作品展ではクリスマスの作品が少ないものの、全作品の中で一番大き作品はこの「サンタが街にやってくる」です。
 高橋さんは同じデザインでさらに大きい絵を以前に作ったそうで、それを縮小して制作しているため、この作品はディテールがとても細かいのです。それ

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廻

成澤 秀麗 作 200×287mm
“What Goes Around Must Come Around” by Shurei Narisawa

 廻は「めぐる」と読みます。
 成澤さんは書家で、本当は6月に開催した「剪書」展の時にギャラリーへの出展をお誘いしていました。が、その時に成澤さんは忙しくなり作品を完成させることができなかったので、今回の干支展で出展していただきました。
 カラフルな

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卯

南舘 千晶 作 250×280mm
“Rabbit” by Chiaki Minamidate

 月の光を浴びながら海の上を飛ぶウサギさん。波間にワニ(サメ)が見えないので確信はありませんが、因幡の白ウサギの話を思い起こさせます。
 まんまるな月、湧き立つ波間、無心に飛ぶウサギ…。それらを絶妙な配置で描き、剪画らしく1枚の紙から切り出しました。しっかりとまとまった構図は作者の腕の確かさを感じさ

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しあわせ

しあわせ

日野 晴美 作 297×420mm
“Happiness” by Harumi Hino

 もう一つ、新年を寿ぐのにふさわしい作品を紹介したいと思います。この作品「しあわせ」では、福々しい2匹のウサギさんを中心に据え、背景の丸窓を松竹梅と南天の実で飾りました。どちらもお正月らしい縁起の良い植物です。
 ウサギさんとこれらのアイテムを彩色した後、日野さんは背景の色として、水色や黄色のグラデーシ

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モザイク

モザイク

外山 豊子 作 297×210mm
“Mozaic” by Toyoko Toyama

記憶の底にあるような幻想的な色彩。薄い緑色で描かれた風景の中心に真っ白な道が走っています。そして手前には鮮やかに彩られたたわわなブドウ。この景色は、外山さんの故郷の風景だそうです。そしてブドウは、ご家族で栽培していたとのこと。
 実在の風景でありながら、描き手のフィルターを通して再構築してあり、それが見るも

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どっちへ行く?

どっちへ行く?

矢口 安久 作 242×272mm
“Which Way Shall We Take?” by Yasuhisa Yaguchi

 2つの方向に向かう分かれ道。人が人生の岐路に立った時、その行末を見据えながら、どっちに行こうか考える…そんなシーンを思わせる作品です。
 普通の道ではなく、線路を描いたのが矢口さんらしい表現だと思いました。山や海など自然も、町並みや人々などもそこにはなく、分かれ道だ

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銀閣寺と京都の石畳

銀閣寺と京都の石畳

宮本 真理 作 242×292mm
“Cobblestone Roads in Kyoto and Ginkakuji-Temple” by Mari Miyamoto

 「私の道」というテーマを聞いて、宮本さんが思い浮かべたのは、以前住んでいた京都の石畳だそうです。寺院の前に続く道、先斗町などの街の道…古都にはその歴史の折々に作られてきた石畳の道があります。石畳は、それぞれに石の大きさも、そ

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Mångata

Mångata

神田 いずみ 作 274×410mm Moonlight Passage Izumi Kanda

 Mångata(モーンガータ)はスウェーデン語で、水面に映る月の光が、道のようにつながっている様子のことだそうです。はるか遠くに浮かぶ船を海の中から眺める人魚の姿。彼女はこの月の光の道に導かれて船へ、そして人間の世界に向かうのでしょうか。この絵を見ながら人魚のストーリーを思わずにはいられません。

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散歩

散歩

石川 孝 作 290×240mm
“Taking a Stroll” by Takashi Ishikawa

 水辺を歩く二人の影。親子でしょうか?陽が沈もうとしている黄昏時に、くつろいだ雰囲気で散歩をしています。暗くなりゆく空のグラデーションとさざめく波が美しく、思わず見入ってしまう光景です。
 黒い台紙の上に波立つ部分をくり抜いた水色の紙を張ってあります。空のグラデーションは和紙のグラ

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行く先には… I

行く先には… I

日野 晴美 作 420×297mm
“There at the End of the Road… I” by Harumi Hino

 今回のこの「行く先には…」は、色違いで2つのバージョンがあります。1つは紺色の和紙を切り抜き、虹色の背景の上に置いたものです。力強く、明るい未来を示しているような作品。もう1つは焦げ茶色に赤がムラに入った和紙を切り抜き、金がちらしてある淡い黄緑色の和紙の上に貼り

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旅路

旅路

菅谷 順啓 作 242×272mm
“A Journey” by Jyunkei Sugaya

 昨年急逝された菅谷さんが残した作品の中にこの作品があり、あまりにも今回のテーマにぴったりなので、展示させていただきました。遠くに霞む山を望み、笠をかぶって旅路を行く人影。そのシルエットは作者に似ています。後を見送るのはりんどうの花。
 はるかな旅路を彼方へと向かった作者にふさわしい作品だと思います

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Orange Jazz

Orange Jazz

ヒリストワ リディヤ 作 190×265mm
“Orange Jazz” by Lidiya Hristova

花や果物のように実際にあるものを描いた作品が並ぶ中で、唯一目では見えない「橙」を描いたのがこの作品です。黄緑色の紙を切り出して黄色い紙と合わせ、音のうねりを表現。そして手前で楽しげに動く人たちはジャズを演奏しているのでしょう。
 演じ手の姿を写実的な線で表現するのではなく、作者の感じ

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炎の中へ

炎の中へ

ミハイロワ ヨシカ 作 185×270mm
“Into the fire” by Yoshka Mihaylova

同じ火でも線香花火と対象的に、燃え盛っている火を描いた作品です。最近世界の各地で気候変動のため自然発火による火事が起きています。そんな火事を思わせるような激しい炎の手前に佇むカメレオン。そのオレンジ色を受けて体の色を変化させたのでしょうか?樹の黒いシルエットと、オレンジ色、グリー

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線香花火

線香花火

宮本 真理 作 305×215mm
“Senko-Hanabi - Sparklers” by Mari Miyamoto

橙色で、線香花火を思い出した方もいます。空に浮かぶ打ち上げ花火に比べると小さな火ですが、バチバチと音を立てながら始める線香火花は、確かにオレンジ色。日本の夏の風情です。
 宮本さんは台紙に紫がかった紺色を使い、切り抜いたところにオレンジ色の和紙を配しました。背景にはごく薄

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