せろ

流れに浮かぶよしなしごとを、そこはかとなくかきつくるページです。

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最近の記事

うつ病がなおってきたあとのこまりごと

他人の悪意に敏感になってしまった。 それまでのわたしはどちらかと言うとアクティブで、怒られても「それがなに?」という反抗的なアクションを起こしていたのだが、 今敏感なのは自分ではなく、他人が怒られてる場面でも、嫌だな、やめてほしいな、つらいなと深刻な苦しさが起こること。 いつ誰が怒り出すかわからないという基本的信頼のなさ。 これって発達障がいの見通しのもてなさでもあり、トラウマティックな体験の結果でも起こりえる症状です。 そして、発達障がいを持っている方は失敗体験や怒られ体

    • 兄のことを書いてみて

      私は広汎性発達障害であると同時に、安全とは言えない家庭で養育された子でもあることがわかったように思う。いわゆる機能不全家族だ。 発達障害と愛着障害は症状が似ている。 今の家庭を守るために私が出来ることは何だろう。 それを探すことが次の課題だ。 同時に、幼いころから反社会性パーソナリティ障害の素因を持っている子供たちに、もっともっと適切な療育を受けさせたいなとも考える。 私はその担い手になりたい。

      • 兄の話をしよう。

        私には一人兄がいた。 過去形で言うのはもう兄ではないから。 不幸なADHDの子どもの話をしよう。 彼は幼いころから、人を殴ることに何のためらいも感じない子どもだった。 むしろ殴られて泣く子を見てはどこか手柄顔をしているような子だった。 彼が何を考えて人を殴り、虫を焼き殺していたのかは後年わかってくる。 衝動性が抑えられない子だった。 気が向けば面白半分で妹を布団でくるんで窒息させようとした。兄はそれを楽しんで笑顔で行っていた。 怒りを抑える気もなかった。怒ればためらい

        • 梅が枝(うめがえ)

          春の夜の 闇はあやなし梅の花 色こそ見えね香やはかくるる 高校の卒業式から、大学入学までの数週間、私は梅の花と対面し続けた。 誰もいない和室の大花瓶に梅が枝をさして、毎日水を替え、 梅に声をかけていた。 「きれいだね」 「いい香りだ」 「しぼんだ花は摘んであげようね」 私はむせ返るような梅の花の香りと、時々ひらりと落ちる花びらを浴びるために、花瓶のそばに横たわっていた。 家族のだれもそれをとがめることはしなかった。いつものように少しおかしい娘が、また変わったことをし

        うつ病がなおってきたあとのこまりごと

          孤独実験5

          高校に入学した私は、大嫌いな勉強が学校開始時から始まるので、説明会でその予習問題集を渡されたことで、大変腹を立てていた。 一緒に説明会に参列した母親に対してもイライラしっぱなしだった。 3年間の我慢我慢…  それだけで学校に行っていた。 最低限のレポートや宿題を出し、できないものはできない、と教師に丸投げた。出席だけはしていた。 一人だけ、私のやる気のなさに気づいた教師がいた。 「君は何のために勉強しとるんだね?高校卒業の免状を取るためだけじゃないだろう」 老教師に「実は

          孤独実験5

          孤独実験4

          濁世(じょくせ)とは何か。違和感のあるこの世界のことだ。 自分にそぐわない、急に落とされただけの、この世のことだ。 この世を構成しているのは? それは、人だ。 一人一人の集合体が、この世だ。 どうしてもこの世になじみ切れない。何かが違う。友達とも、それ以外の有象無象とも、調子が合わない。 仕方なく高校に進学することになってしまった私は、ふわふわとわいては消えるそんな気分を感じていた。 春になれば高校に行く。友達のほとんどは違う高校や進路を選んだ。それでも付き合ってく

          孤独実験4

          孤独実験3

          小学校では楽しく過ごせていた。 テストはいつも100点だったし、そういう子どもに教師は難癖をつけられない傾向があることはわかっていた。 嫌いな体育の授業は小1の時にさぼって問題となり、親が呼び出された時もあったが、それ以外はこれと言って問題はなかった。 教師たちは、私を極端に好み、あるいは極端に遠ざけた。私も面白いストーリーを語ってくれる教師は好きになれたが、そうでないものは関心の外だった。 誰とも仲良くできているつもりだった。つまり誰にも興味がさほどなかったのだ。 私が興

          孤独実験3

          孤独実験2

          元来、私は本を友としていた。 発声よりも先に読書を覚えた。 それは私を心地の良い世界へ誘ってくれる。 母親が読み聞かせをして寝かしつけようとすることもあったが、私は無言で横たわっていた。 一人でなければ本の中に深く潜れない。 人間に興味がないわけではない。 友達も年齢相応にいたが、一緒に遊ぶことに違和感を感じていた。 友達の家に行っては、その家の本を読んでいた。 最初の私の遊びの世界は、兄と弟と、彼らと一緒に見たテレビや映画の世界をまねすることに尽きた。 雨の日に夢中になって

          孤独実験2

          孤独実験

          義務教育は中学まで。 当の中学生になればそんなことはいやでも知識として叩き込まれる。 だから私は、中学生になれば勉強から解放されると思っていたのだろう。 とにかく勉強が嫌いな人間だった。何がそんなにいやかと言われてもわからないが、強いて言うなら「面倒」の一言に尽きる。  私は「面倒」の塊であるこの濁世(じょくせ)に飽いていた。 学校に行くのが苦痛だった。いじめもあるが、そんなことは私の関心事ではない。成績も人並み以上に良い。親しい友人も少ないがいる。 ただただ、私は飽いていた

          孤独実験

          不気味な赤子

          私がまだ乳児の時、母は一定の時間になると、私と一緒に布団に横たわり、歌を歌ったり絵本を読んだりした。 絵本には目を向け、文字を覚えていく私だったが、歌には興味を示さなかった。 今思うとあれは「寝かしつけ」という行為だったようだ。 途中で母自身が寝てしまうことが多く、 私はその一部始終をじっと見ていた。泣きもせず。 ハッと母が起きては、地っと母親を見ている私に、何かがっかりした声を挙げる。乳児の私にはわからない言葉で。 私はそんな子どもだった。

          不気味な赤子

          生まれたくて生きているわけじゃない。

          「なあ、あそこにはいきたくないよ。」 私は「それ」に向かってつぶやいた。こんなことつぶやいても変わりはないのはわかっていた。 私はもう少しで出荷される。この世に生まれ落ちようとしているのだ。 そのことは「それ」の意志でどうにかできるものではないことも知っていたし、ましてや「それ」が意志あるものかどうかも検討がつかなかった。 しかしながら私は生まれようという気にはなれなかった。 生まれるところが気に入らなかったわけではない。 私はすでに、下界そのものを疎んじていた。 「生まれた

          生まれたくて生きているわけじゃない。

          幼いころの記憶

          何か爆発が起こったことは覚えている。 そしてそれから必死で逃げたことも。 逃げて、逃げて、逃げて、そして私は目覚めた。 目覚めた場所はだだっ広い和室だった。黄色い、赤ちゃん用の布団をはねのけて、私は起きた。汗をかいていた。 隣の部屋に母がいることは感じ取れたので、まだ歩けなかった私は急いで這っていった。 それが、私の最初の記憶。 夢を見ていたのだと思うけど、乳児の私がなぜ「爆発」という光景を知っていたのか、それだけが不思議だ。

          幼いころの記憶

          新型コロナ11日目。

          今日から会社に行ってよし!と、法律上はそうなっている。 しかし、寝ることに慣れた私の体は思うように動いてくれない。 試しに昨日家事をしてみたが、カレーを作っただけでへとへとになってしまった。 ちゃんと会社で働けるか。それだけが不安だ。 療養期間(外出禁止)のほかに、「疾病回復期間(外出してよし)」といったものを作ってくれないと、社会復帰は難しいのではないか。 そんなことを考えて、今、出社準備をしている。

          新型コロナ11日目。

          新型コロナ10日目

          七日目までは、医師から対症療法的な処方薬が出ていた。 薬が止まった一昨日、昨日と鼻水はなおらなかったので、オンライン診察で鼻炎薬を処方してもらっている。しかし、効いていない。 ティッシュは減っていく一方だ。 本当にこれで、仕事に出てよいか迷う。

          新型コロナ10日目

          慣れない男の恋

          彼女が抱きついてくる。 それは遊園地の着ぐるみに対するように前から腕を回してくる。 俺はそれにただ耐える。自分は木になったと思って、直立不動だ。 なぜなら慣れていないからだ、こういうのに。 よって正解がわからない。抱き付かれたらどう反応するのが正解なんだ?抱き返す?どこのハリウッド俳優だいったい。俺はそんなにキザったらしい男じゃない。 抱き付かれても冷静なのが男だ。 どんなに彼女がかわいくとも。 うちの彼氏は照れ屋だ。今までの男と違って、変に女慣れしてないのがかわいい♪

          慣れない男の恋

          初めまして。

          初めまして皆さん。わたしはせろといいます。 宮沢賢治が好きだから、せろ、です。 私の人生はそれなりに起伏に富んでいました。 おかしなことだらけの幼少期、 人は時に私を嫌い時に好むと知った小中学生時代、 実験期間の高校生活、 自分のおかしさが発達障害を軸に回っていると理解した大学生以降、 発達障害とそれに伴ううつと付き合ってきた成人後の山や谷。 そんな私の生活を、物語のようにつづっていきたいと思います。 時間軸は前後します。また、完全なる作り物語もあるので、信じるか信じないか

          初めまして。