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孤独実験4

濁世(じょくせ)とは何か。違和感のあるこの世界のことだ。
自分にそぐわない、急に落とされただけの、この世のことだ。
この世を構成しているのは?

それは、人だ。

一人一人の集合体が、この世だ。

どうしてもこの世になじみ切れない。何かが違う。友達とも、それ以外の有象無象とも、調子が合わない。

仕方なく高校に進学することになってしまった私は、ふわふわとわいては消えるそんな気分を感じていた。

春になれば高校に行く。友達のほとんどは違う高校や進路を選んだ。それでも付き合ってくれる友達もいたが、私は浮世に興味が持てずにいた。
ふと、思いつく。

私にこの世界は合っていない。この世を構成する人たちと合っていない。
ならば、一人で生きていけるようにならなければならないのではないか。
そんな斜め上の思考と、
人間はどのくらい「ひとり」に耐えられるのか、知りたい。どうせ高校は高卒資格を取るために行くのだし、せっかくだからこの機会を何かに利用できないか?

私の望んでいない生を使って。

そんな斜め下向きの考えから、私は一つの実験を思いついた。

私は私に、ルールを課した。

高校では友達を作らないこと。

そして、私の3年間の実験が始まった。
きっと他者に対しては許されないであろう、人体実験だ。
目的は、
人はどれくらい「孤独」に耐えられるか?を検証すること。

私の「ついで」の時間を使った、小さな実験。
それは濁世に感じていた怒りを火種とした、小さな抵抗であったかもしれない。

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