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2023年7月の記事一覧

宮崎駿の悲しみと問いかけ─『君たちはどう生きるか』

『君たちはどう生きるか』を観た。 しばらくしたら専門家が本格的なレビューを書くのだと思うが、今の段階では簡単なレビューしか書かれていない。ちらりと見たレビュー記事が「ファンタジーへの回帰」を称賛するというもので、あまりにも素朴すぎると感じたので、僕も感想を書いてみたい。 一度見終わった直後に走り書きしているので、固有名や記憶違いがあるかもしれないが、その熱だけでも留めておきたい。 宮崎駿の自我 空襲警報が高らかになり、燃え尽くす街を駆ける少年の映像。冒頭の1分ほどの映像

サイトマップ

こんにちは、yukiです。 「旅する写真帖」をご覧いただき、 ありがとうございます! 複数ジャンルで投稿しているため、 こちらのサイトマップで記事を整理しています。 気になるジャンルの記事を 読んでいただけると嬉しいです😊 これからもどうぞよろしくお願いします。 プロフィール・はじめまして! 海外旅行記 「旅する写真帖」のメインコンテンツです。 アフリカ縦断編 1.カイロから始まるアフリカの旅 ヨルダン編 1.砂漠の古代遺跡へ 2.岩山、砂漠、大地のパワー

わたしを子育てストレスから救ってくれた神サービス

こんにちは! わたしは2人の娘(小学3年と幼稚園年少)の子育て中のフルタイム会社員です。夫婦共働きで妻は原則出社型勤務の一方、わたしが基本全日リモートワークをしていて、家事や育児をメインで担っています。 この生活スタイル(もとい、家事・育児の役割分担)だと、正直、肉体的にも精神的にもキツい時期がありました。とくに子どもが3歳以下のころ、1日に何度もオムツ替えをし、食事中はずっと手元を見てあげないといけないので自分はゆっくり食べるヒマはなく、夜はやっと寝かしつけがおわったと

映画「君たちはどう生きるか」を、ある業界に生きた女性たちへの賛歌として考察する。

遅ればせながら、件の話題作を昨日7/21(金)にIMAXで鑑賞。一晩明けた今、ペンをとりました。いろんな感情を喚起する作品とはいえ、私的には「アニメーション業界を支え続けた女性たちの闘いと、それを人生の一部として伴走しつづけた監督・宮崎駿による人間賛歌」と感じられる。その理由について、備忘録的に記そうと思います。 本作を「宮崎駿氏の半生のメタファーであり自伝的作品」と評する試み、その意義や根拠についてはSNS等で盛んに議論されており、情報も豊富です。この文章ではそれらを割愛

家でビッグマックをつくる 完成編

マクドナルドは100以上の国と地域で40000店舗以上展開する世界的ファーストフードチェーンである。それぞれの地域でその地域性に合わせたメニューが展開されており、特色のあるハンバーガーが販売される中、ほとんどの地域でほぼ共通の材料と調理法で提供されているハンバーガーがある。 その名はビッグマック。 ある日、仕事中にビッグマックについて考えていると、唐突にいくつかの疑問がふつふつと湧き上がってきた。あのバランスはどのようにしてつくられているのだろうか?ビッグマックは家庭でつ

17年前に2秒見えた海を探す

17年前、海が2秒見えた。 あの海の記憶大学進学のため上京したのは、2006年の3月。山々に囲まれ育った18歳の僕は、さらなる刺激を求めて、東京行きの新幹線に乗り込んだ。予想もできない未来が待っている都会で、新しい人生が始まるのだ ー そう意気込んで列車の座席についたはずが、気づいたら涙を流していた。 過疎化の激しい田舎から出るということは、もう一生ここで暮らすことがない、ということを意味していた。その事実が、意外なほどに僕を悲しませたのだった。新大阪発・東京行きの「こだ

「プラントベースのキーマカレー」を作りました! 名古屋大学教育学部附属中学校編

食育授業実施しておりましたが、なかなか投稿できず、3か月振りの投稿となります。  関東では梅雨が明け、鮮やかな紫陽花を見かけなくなっていた頃、名古屋では綺麗な紫陽花が咲き誇っておりました。名古屋といえば、「名古屋メシ!」どんな名古屋メシを食べようかと考えながら名古屋駅に到着すると、大相撲名古屋場所を前に若手力士が「相撲列車」で名古屋入りをしていたところでした。  ちなみに今回私が食べた名古屋メシは、「ひつまぶし」「小倉トースト」です!生徒の皆さんにお勧めして頂きました。(食べ

歴史の扉 No.16 日本茶の世界史

かつてイギリスでも緑茶が飲まれていた 日本茶のヨーロッパへの輸出は古くはオランダ東インド会社にさかのぼる。取り扱ったのは嬉野茶で、平戸から積み出された。 ヨーロッパというと今では紅茶緑茶というイメージが強いが、当時「茶」といえば緑茶が主流だったのだ(影踏丸さんの記事を参照されたい)。 オランダが平戸から積み出した嬉野茶も緑茶だ。1557年にマカオに居住権を手に入れたポルトガルも、ここで中国商人から中国産の緑茶を買いつけていた。オランダはポルトガル経由で中国産の緑茶をヨー

人間は、いつ「想像力」を大切にし始めたのか(前編)

(※この記事は2020/02/26に公開されたものを再編集しています。) 「想像力は大切だ」という常識  前回の「学びと哲学」では、想像力を扱った。そこで描いたのは、人類が「見えないもの」と対峙するかのように、「わからないけれど、考えなければならない何か」について思考を進めてきた様子である。  恐らく、現代人の大半は、「想像力は大切だ」という考えに同意するのではないだろうか。年齢や性別や業種を問わず、飲み屋で酔っ払った人も、家事従事者も、会社員も、研究者も、役人や役員も

歴史の扉 No.15 ココナッツの世界史

ひろがるココナッツ文化圏 ココナッツはポリネシア人の移動とともに太平洋に広まった。台湾付近から現在のインドネシアを通り、果てはハワイやイースター島にまで拡散したポリネシア人は、前近代にもっとも広範囲に拡散した民族集団のひとつだ。 これに対し、インド洋方面に伝わったココナッツは、太平洋に伝播したものとは異なる遺伝子型を持つようだ。そこから6世紀に東アフリカにココナッツを伝えたのはアラブ人だ。 なんといってもココナッツに含まれる水(ココナッツウォーター)は、熱帯では "命の水"

歴史の扉 Vol.13 バニラの世界史 

アメリカのバニラ文化 バニラはラン科の植物から抽出された香料のこと。南米のアンデス山麓からカリブ海にかけて栽培され、古くはメキシコ湾岸のオルメカ文明で用いられていた。 特にメキシコのトトナコ族によるバニラの生産が知られ、アステカの王は彼らを服属すると、これを独占しようとした。バニラは、宗教儀礼でもちいられるチョコレートの中に混ぜて供せられた特別な香料だったのだ。チョコレートは大航海時代以前は新大陸でしか知られていなかった。では、「バニラチョコレートアイス」は、いかにして世