マガジンのカバー画像

【ライブラリ】notes

3,211
Excellent curation of the noters, a truly inspiring compilation of content:
運営しているクリエイター

2022年8月の記事一覧

【講義のお知らせ】メイヤスー『有限性の後で』を解説するレクチャーイベント

The Five Books主催のレクチャーイベントで、カンタン・メイヤスー『有限性の後で』について講義をします! 参加者の方には毎週少しずつテクストを読んできてもらい、ぼくがじっくりと解説をする、という形式です。本は買ったけど途中で挫折したという方、名前は聞いたことあるけどまだ読んではいないという方。この機会にぜひご参加ください。いっしょに読んでいきましょう! 以下、The Five Booksのサイトから詳細を転載いたします。 日時9月1日(木)〜9月29日(木)の

〈二者〉の哲学者、國分功一郎

(批評再生塾、國分功一郎ゲスト回の提出文です) はじめに. ーーかつて古代ギリシアに存在していた「中動態」という文法概念を繙くことで、私たちが普段何気なく使う「意志」や「責任」という概念を詳細に再検証し、個人にとってありうべき自由の姿を素描するーー國分功一郎『中動態の世界』の企図を概観すれば以上のように述べられるだろう。本書が医学書院から出版されているのは、「意志」や「責任」の再検証がある種の精神疾患、たとえばアルコール依存症の患者の治療に役立つと考えられるからだ。「中

大学の授業にて「農業ビジネス」について話す

神奈川県伊勢原市にある 産業能率大学様よりご依頼いただき 「農業ビジネス」について授業の一コマお話する機会をいただきました。 私(内田)と弊社の農業生産者横田敬一の 2人で話してきました。 要点をまとめると ・異業種コラボ事業について ・ブランディングについて うちの会社の農業部門は 生産と販売を完全に役割分担し 生産者は生産に専念してもらってます。 生産(生産者の仕事)は土を耕し種をまくことから始まるのではなく、最も重要なのは「計画」を立てることです。 「計画」と

いま、手紙として「育児エッセイ」の本を書いたわけ

『1歳の君とバナナへ』という本が、本日発売となりました。会社員として1年間の育休をとり、子どもと過ごした日々を描いたエッセイです。小学館より、単行本・電子書籍版・オーディオブック版が同時に出ています。 本を出すのは3冊目ですが、これまでで一番苦労しました。ほとんどが書き下ろしだったからというのもありますが、子どもとの日々を、一体どのように書くべきなのか、悩みに悩んだのです。 締切を破りまくって、発売日も当初の予定から半年くらい遅れたのですが、めちゃくちゃ時間をかけたからこそ

タイルたちよ、蘇れ!

「工場は仕舞う、されどタイルは蘇る」のPart 2である。 窯業の街・常滑の老舗の建築陶器メーカー旧 杉江製陶所。 老朽化に伴い工場が閉鎖・解体されることになったが、戦前につくられた貴重なタイル見本室が"再発見"されたことから、有志によるタイル救出プロジェクトが動き出した。 建物の解体は2022年5月に始まり、8月にはほぼ更地となった。 しかし6月から7月にかけて行われたクラウドファンディングにより、1,001人から¥4,287,124もの支援金が集まり、解体前にタイ

中井久夫先生のご逝去を悼む

2022年8月8日、中井久夫先生がお亡くなりになられました。謹んで中井先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 本作のモデルとなっている亡兄・安克昌は中井久夫先生との出会いがきっかけで、精神科医の道を歩むことになりました。 克昌は、先生にお目にかかる前から、先生の本を耽読していました。そして神戸大学医学部に入学し、先生の講義を初めて聴いた時の「喜びと興奮」を、「中井先生は凄いんだ!」を連発しながら、嬉々として私に語ってくれました。もう40年も前の話です。 酒を酌み交わし

なんの意図もなく作られた、わけのわからない芸術を鑑賞しよう、という人がいるものだろうか?

"midjourney"というサービスがネットで話題になっている。 いわゆる「絵を描いてくれるAI」という触れ込みで、文章でお題を指定すると、それに沿ったイメージをAIが絵で表現してくれるというのだ。そのクオリティは非常に高く、かつ、人間にはなかなか真似のできない発想で描いてくれるということで話題を呼んでいる。 "midjourney"と検索すれば、いくらでも創作物が出てくるので、興味があれば参照されたい。 現代の技術は日進月歩なので、日々いろいろなウェブサービスが誕生

竹を切る人がいなければ、竹のお箸は作れない。本当の意味での“持続可能なものづくり”を目指すKPIを設定します

こんにちは。「竹の、箸だけ。」に、こだわり続けてきた、熊本のお箸メーカー「ヤマチク」です。純国産の天然竹を人の手で一本一本刈り取り、削り、「竹の箸」を作り続けてきました。 今日は、お箸の原材料である「竹」についてお話します。 空高くまっすぐ伸び、太く、しなやか。ヤマチクが原材料とする「竹」は、切子さん(竹を切り出す職人のこと)の手によって一本一本、力強く丁寧に切り出されています。その仕事はまさに重労働。身体一つで山に入り、チェーンソーで切って運び出す。一定の大きさや長さに

『アフロフューチャリズム ブラック・カルチャーと未来の想像力』著者インタヴュー

本日2022年8月26日、『アフロフューチャリズム ブラック・カルチャーと未来の想像力』がフィルム・アート社から出版されました~(パフパフパフパフゥ~~)!! 共通の友人がいることもあり、著者のイターシャ・L・ウォマックさんに話を聞くことができました。訳者あとがきにも彼女の発言を引用しましたが、せっかくなのでここに残りの会話も載せておこうとおもいます(情報は共有するためにある!)。編集もない長い文章になってしまいますが、アフロフューチャリズム、ブラック・カルチャーについて興

横浜中華街いろいろ食べたくなるガイド

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2274849 (↑↑ メロンブックスさんのページに飛びます ↑↑) あ、前置きが長いので、店を探したい人はさっさとメニューから飛んでください_(:3」∠)_ えー、ある日、ついなんとなく中華街に泊まったのです。 それも4泊5日で。 自分、神奈川県民なので、中華街まで1時間。基本的に日帰りの距離。 なのに、特に理由はないんですが、近場にも関わらずなんか泊

『tout simplement noir』 肌の色、いろいろ

最近見たフランス映画『tout simplement noir』が面白く、それ以来肌の色について考えている。本作はフランスにおける人種差別問題をコミカルかつシニカルかつギリギリのブラックユーモアでコテコテにデコレーションした作品で、笑いの中に鋭い視点や問題提起のある興味深い作品だった。 BLM運動のお陰で人種差別問題について少しは関心を持つようになっていたのだけれど、本作を観て今まで”黒人”と大きな括りでひとまとめにしてしまっていた自分の浅学さに気づくとともに、人種差別とは

原始美術ってなに? オーリニャック、ラスコー、アルタミラなどの洞窟絵画と造形の特徴

と、まぁいきなり酔っ払ってみましたが、私は真剣に「西洋美術って難しく書かれすぎじゃねぇか」と思っとりますよ。なんかもう「大谷翔平ばりにワインドアップで振りかぶって書きました!」みたいなね。重い。もうどの書籍も官僚がしゃべっているような文章で、イラストたっぷりのかわいい本でも、ちょっと小難しく見えちゃいますよね。ちいかわの横で、岸田首相がしゃべってんですよね。 この連載ではもっとおしゃべりするような感覚で、でもしっかり内容がある感じでやっていきます。「大学の講義」というよりは

AIが見つけてきた存在しない収蔵品の展示

文章から画像を生成する「DALL·E 2」のベータテストに参加しました。日々いろいろな画像を生成して眺めています。 命令文の工夫次第ではこの世に存在しない物体をリアルに顕現させることができるので、まるで異世界をのぞきこんでいるような感覚になります。 今回、AIが生成した「何に使うのかわからないモノ」たちを並べ、ちょっとした展示にしてみました。 ここにあるのは全て、人の意識の奥に転がっていたものたちです。 ひとつくらい見覚えがあるかもしれません。 収蔵品の一部 用途も

【第67回】「人権」は「国家」に勝てるのか?

「国際人権」の重要性第二次世界大戦中、世界各国で特定の人種の大量虐殺や迫害、特定の社会的・思想的立場の人々に対する侵害や抑圧が横行した。それらの「非人間的行為」に対する根本的な反省から、「人権」は「国家」を超えた国際社会全体の課題であり、「人権」こそが世界平和の基盤と考えられるようになってきた。 1948年12月10日、パリで開催された国際連合の第3回総会において、「すべての人とすべての国が達成すべき共通の基準」として「世界人権宣言」が採択された。この宣言は、人類が史上初