Nanao

7年のフランス生活を終え、2022年9月に日本へお引越ししました。シャルキュトリーの資…

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7年のフランス生活を終え、2022年9月に日本へお引越ししました。シャルキュトリーの資格を持つフランス人のパートナーとともに長野県で美味しいことをしようと画策中です。

最近の記事

楽しく怖いスノーボード

この冬もスノーボードを特訓しています。 スノーボードの面白いところは今この瞬間の自分の身体と環境に深く集中して、頭でものを考えなくなるところだと思います。 普段から考えることが好きです。頭の中でずーっと自分と議論したり、日常を振り返ったり、考えを巡らしています。けれどスノーボードで滑っている瞬間は余計なことを考えません。他のことを考える余裕はなくて、滑っているこの瞬間以外のことに意識が向いてしまうとフッと足を取られて転倒します。 しかしスノーボードってなんと酔狂な遊びなの

    • 愛と欲 谷崎潤一郎『卍』

      人妻園子と年下の学友光子の恋愛を中心に、グルグルと渦巻いてゆく人間模様を描いた谷崎潤一郎の作品です。物語は筆者の元へやってきた園子の告白から始まり、全編を通して園子の言葉で語られます。 初めはただの痴話喧嘩の話かと微笑ましく読んでいたのですが、さすが谷崎潤一郎。ラストの数十ページでどんどん狂気が増していきます。 人間を支配したい欲望、支配されていると分かっていても抜け出せない関係、そして支配されることの心地良さ。人間関係がもつれ合い、騙し合い、駆け引きし、嫉妬に燃え上がる

      • 痛快な中に残る僅かな苦味『坊っちゃん』

        夏目漱石ってこんなにもユーモアのある人だったとは!『坊っちゃん』とっても面白かったです。一級の悪口にニヤニヤしていたら、最後はちょっと哀愁を感じ、若い頃を懐かしく思い出す一冊でした。 教師の職が決まり、東京から田舎へ引っ越す主人公の坊っちゃん。 いかにも都会人な彼の放つ田舎を見下す悪口には身に覚えがあります。他人を皮肉る極上の悪口にもニヤリと笑わされっぱなしです。夏目漱石ってこういう意地の悪い笑いも巧みに操れるセンスの良い人だったのかと惚れ惚れしました。 不正を匂わす教頭

        • わたしの英語はどんな英語

          世界で一番話されている言語はブロークンイングリッシュだそうです。 英語は私の母国語ではないし、訛りなんてあって当たり前。最低限通じればそれで良いやと、今まで英語の発音に対してあまり向上心を持っていませんでした。でも、もしかして、私の英語ってすごく伝わりにくいかもしれません。 英語で話していると、よく聞かれることがあります。 「あなたもしかしてフランス語、話す?」 初めて聞かれたときは「え!なんでわかるの!」と驚きました。答えは簡単、どうやら私の英語にはフランス語訛りが

        楽しく怖いスノーボード

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        記事

          国際結婚は大変か?

          夫が外国人だというと「国際結婚って大変でしょう?私には無理だな~」なんて言われることがあります。 そういう言い方って失礼じゃない?という疑問はひとまず置いておいて、世の中には「国際結婚は大変」というイメージがあるのだなあと興味深く思います。 果たして”国際結婚は大変”というとき、世の中の人たちは一体どんな大変さを想像しているのでしょう。 外国語で話すのが大変? でも日本語で話しているのに言葉の通じない人は山ほどいます。大事なのは何語で話すかよりも何を話すか。議論をする中身

          国際結婚は大変か?

          どうしてお給料が上がらないんだろう

          この冬、観光地で英語のアルバイトをしています。海外からのお客さんの対応をしたり、観光情報を英語で発信しています。 まさか日本の山奥に住んで、こんなに英語を使うことになるとは思ってもみませんでした。フランス語が生活の中心だったパリに比べ、日本に帰って来てからの方が断然、英語を使う機会が多くなりました。何がどこで役に立つか分からないものですね。 地方でも観光地には驚くほどたくさんの外国人が訪れます。しかし英語を話せる人は少ないのが現状です。英語を話せる人が求められています。い

          どうしてお給料が上がらないんだろう

          2023年を読書でふりかえり

          すっかり遅くなりましたが2023年を読書でふりかえり。去年は大当たりで、面白い本とたくさん出会えた1年でした。noteに感想を書けなかった本の中から特に印象に残った何冊かをご紹介。 ジャック・ロンドン 『マーティン・イーデン』 直立できる分厚さ。指の置き場がないくらい紙の端っこまでビッチリと文字で埋まったページ。これは読むのに時間がかかりそうだなあと、おっかなびっくり手に取ったのですが、なんのその。面白すぎて止まりません。一冊の本を読み切れるかどうかって、分厚さや物語の長

          2023年を読書でふりかえり

          2024年の計画

          あけましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 出遅れてしまいましたが、2024年の計画を立てました。今年も、年末にどれくらい達成できたか振り返るのが楽しみです。 それでは今年の目標を、4つばかり。 1.お金を稼ぐ! 帰国して以来、騙し騙しアルバイトをしたり自分たちでいろいろと動いていたけれど、収入は微々たるもの。ずっと貯金を切り崩す生活でした。これは精神衛生上良くなかった。 仕方のない面もありました。目的地もなく職の当てもなくパリから引越

          2024年の計画

          2023年の目標をふりかえり

          2023年の1番初めに投稿した記事は、2023年の計画についてでした。 さて1年経ってみて、どれくらい計画を実行できたのでしょうか?振り返ってみましょう。 1. おいしいお店をオープンする お店の場所が決まらずオープンすることはできませんでした。でもお店実現に向けてチャレンジすることのできた1年でした。 色々なイベントに出店することができました。まずは小さな一歩です。 ポップアップショップをしたり、イベント的にお知り合いのお店で提供させてもらうこともできました。 い

          2023年の目標をふりかえり

          2023年を映画でふりかえり

          今年はなかなか面白い映画と出会えなかった。そもそも映画を観る本数が極端に減ってしまったのだ。去年までは1年に100本は映画を観ていたのだけど、今年は12月になってようやく60数本。観る作品が減ると名作に出会う確率も減るのだなと、身をもって証明する年だった。数打てば当たるというのは映画にも当てはまるようだ。 人口あたりの映画館数が世界一とも謳われていたパリから、映画館のない町に引越した。最寄りの映画館まで車で1時間かかるようになったいま、映画館の有り難みを感じる。 劇場公開

          2023年を映画でふりかえり

          権利が先か、義務が先か?

          義務や責任を果たしてこそ、権利を主張することができるのか? 何はともあれ自身の権利を主張することが大切なのか? とある経営者の人とお話ししている時に「最近の子は勘違いしている人が多い。まずは義務や責任を果たしてこそ、権利を主張できるというものなのに、何もせずに自分の権利ばかり主張しようとする子が多いんだよね」と言っていた。 そう言われれば最もらしく聞こえ、周りの人も皆ウンウンと頷いていたのだけど、どうしてだか当たり前に聞こえるその言葉が耳に残った。 こういうふうに考えて

          権利が先か、義務が先か?

          日本語を勉強します

          パートナーが、うちの母にインスタグラムでメッセージを送っている。自分の打っている日本語が合っているかどうか、聞いてくる。ひらがなのフリック入力は使えないけれど、ローマ字入力モードを使えば、もう自分でも日本語が打てるようになってきているのだ。 彼のケータイ画面を覗いていると、日本語を打つ時も文節で言葉を切ってスペースを開けている。フランス語らしい発想だなと思う。 Google翻訳で I lean Japanese. を日本語へ変換する。これは正しいか?と尋ねられる。

          日本語を勉強します

          駆けっこ

          久しぶりに全力で駆けっこをしたら転けた。転けるのも久しぶりだった。 先週、近所の友達のお誕生日会があり、ご近所のお仲間たちと美味しいレストランに集まってお食事会をした。飲んで食べて飲んでとワイワイしていると、幼稚園や小学生の子どもたちは外へ出て駆けっこを始めていた。 どうやら小学生の男の子が速いらしい。私はもともと陸上部だったから、とはいっても高跳びが専門で飛びきり足が速かった訳ではないのだが、それでも駆けっこと聞くと腕が鳴るし脚も鳴る。走りにはちょっと自信がある。 「

          駆けっこ

          フィルムからデジタルへ、人間から機械へ

          パートナーがフォトアシスタントの仕事を始めた駆け出し時代、デジタルカメラはまだ存在していなかった。写真は当たり前のようにフィルムで撮られていた。 ライティングや露光を自分たちの目で見て操作し、フィルムへ映る写真をイメージした。そしてフィルムカメラで撮る前にポラロイドで撮影して確認する。とはいえフィルムに写る絵とポラロイドの絵は同じではない。ポラロイド写真を確認し、フィルムでの出来上がりを想像し光とカメラを調整し、フィルムカメラのシャッターを押した。 今では写真を撮ったらす

          フィルムからデジタルへ、人間から機械へ

          どれくらい話せるとペラペラと呼べるのか

          「フランス語ペラペラですね!」と言われることがよくある。その度になんと答えるのが正しいのだろうか、と迷う。 はたして私のフランス語力は”ペラペラ”なのだろうか。そもそも、どれくらい話せると”ペラペラ”の称号に値すると言えるのか。これは難しい問題だ。 フランスに住んでいたときは日常の99%がフランス語での会話だった。 仕事でも家でも友人ともほとんどがフランス語だ。フランス語で働き、フランス語で結婚し、フランス語で確定申告もできた。生活をするのに困ることはないし、フランス人だ

          どれくらい話せるとペラペラと呼べるのか

          日常の気になる言葉

          「〜でいい」といわれると、”で”の部分が気になってしまう。 近所の美味しいお蕎麦屋さんでときどきアルバイトをしているのだが、ランチの注文を受けるときに気になることがある。お客さんの中に「Bランチ”で”いいわ」と注文する人がいるのだ。毎回、何人かはいる。 「かしこまりました〜!」と元気に注文を受けるのだが、しかし頭の中には疑問が浮かぶ。「本当はAランチ”が”いいけれど100円安いBランチ"で"いいわという意味なのか? それともAもBも食べたくないけれど、どちらかを選ばないと

          日常の気になる言葉