大学の授業にて「農業ビジネス」について話す

神奈川県伊勢原市にある
産業能率大学様よりご依頼いただき
「農業ビジネス」について授業の一コマお話する機会をいただきました。

私(内田)と弊社の農業生産者横田敬一の
2人で話してきました。

要点をまとめると

・異業種コラボ事業について
・ブランディングについて

うちの会社の農業部門は
生産と販売を完全に役割分担し
生産者は生産に専念してもらってます。

生産(生産者の仕事)は土を耕し種をまくことから始まるのではなく、最も重要なのは「計画」を立てることです。
「計画」とは、年間の作付け計画のことです。
いつ、どこに、何を作るかを年単位で決めます。

作付け計画は、社として農業部門でどれだけ売上が欲しいか事業計画で決まってます。
例えば、農業部門で800万売上が欲しいとなれば
(実例ではありません)
うちの生産者は、800万の売上になるように作付け計画を立てます。

この800万の売上という計画は、生産者ではなく
私がします。
この数字は、取引先様や近年のお客さまの状況、
農地の状況、人員など、諸々で決定します。

計画を立て、野菜を生産するのが「生産者」
生産された野菜を販売するのが「販売担当者」
です。

さて、ここからは
「販売担当者」の仕事について少し。
(私の仕事です)

ざっくり3つ
①畑の価値を伝える
②生産物の価値を伝える
③生産者の価値を伝える

それぞれをブランディングします。
例えば
①なら「自然力畑」
②なら「かおるお野菜」「エシカルローズ®︎」
③なら「ケーイチ」
です。

③の「ケーイチ」
野菜を買ってくれたり、farmに遊びに来てくれたり、かつ、うちの商品を支持してくれる売上の面でも大変ありがたい存在の方の多くが
「ケーイチさん」「ケーイチ氏」と、うちの横田のことを呼びます。
何も仕掛けずにいたら、50代後半男性農業従事者が
かわいいママたちに「ケーイチさん」と呼ばれるはずもないんです。

横田は実際に、とても優れた生産者です。
日本で唯一のものを作ることができる生産者はそう何人もいないでしょう。
レストランのシェフには知られた存在であっても
一般家庭の主婦に知られた存在ではない横田をブランディングするのが私の仕事でした。
ブランディングって、大掛かりなことだけではなく、小さな仕掛けも含まれます。
例えば「オーバーオール」「つなぎ」を着て人前に出る。
スタイルが良くみえるように写真を撮る(修正まではしてない。笑)
など、見た目を良くすることや、
私のSNSにたびたび登場し話をしてもらったり、
元来、変わったことや新しいことが好きな性格を活かすためスカートを着用してもらったり、絵本セラピストになってもらったりなど。

唯一無二の生産者は、無二の技術と哲学を持っています。それを分かりやすく言語化し発信することも大切です。


生産者をブランディングすることは
プロデュースともいいますね。
学生さんたちからいただいた感想には
「生産者」をブランディングすることへの驚きが多かったです。
②の商品ブランディングが「農業ビジネス」だと
思っている人が多かったようです。

①の自然力畑については
「畑」を「農園」に変えて、実際に土の魅力や生産物を見てもらえる場所を造ること。
異業種(絵本と農業)のコラボ事業である点が従来にはない視点です。
異なるのは「業種」であり、農園の存在意味に対する考え方が同じであることが最大の特徴。
ターゲットを子育て世帯とし、この世代の暮らしに合わせた発信やコンテンツ作りをしました。

「畑」は元から存在し、すでに価値ある「土」がある。それを野菜生産のみならず、人にとって有意義なものであることを知ってもらうには、「土」のブランディングが必要ということです。

「子育て」との共通点をうたった農業体験などは、単なる自然体験とは異なり、社会活動の一環として「農業」を捉えるきっかけとなります。
この活動の面白さを理解してくれて、やっと本当の意味でうちの会社の「ファン」となる。
一過性のお客さんは、会社にとってさほど重要な存在ではなく、その会社の社会への貢献度を理解して
対価を支払ってくれる人により社(ビジネス)は発展します。
強固なファンを持てるか否かで社の生命は決定されると言って間違いない。というのが現時点での私の考えです。

学生さんたちにとって「土」に価値を見い出し、それがコンテンツとなり商品化されることが驚きだったようです。

②は、言わずもがな、「絶対に美味しい」生産物があることが条件です。
生産物に力があるからこその①③のブランディングでもあります。

②については、おいしさのキーワード「香り」に注目し、買う人食べる人も味わうときに「香り」に意識を向けてもらえるネーミングを考えました。
ここは対象が野菜であることや、ターゲットが子育て世代であることから「ひらがな」を使って
「かおるお野菜」と名づけました。
「香るお野菜」
「かおるおやさい」
「香るおやさい」
「薫るお野菜」
「薫るおやさい」
おなじ呼び名でも表記は色々あります。
その中から
「かおるお野菜」に決定しました。

かおるお野菜、エシカルローズ®︎共に
販売のときに使うパッケージや提案の仕方も一般家庭用に作りました。
エシカルローズ®︎を使ったラムネ作りなどはその一例でもあります。
かおるお野菜を定期便で販売することにもこだわりました。

といったことを授業で話してきました。
もちろん、ここには書いてないことも話してきました。

学生の皆さんが「農業ビジネス」を多角的に捉えるきっかけになると嬉しいです。

2022.9.4
待ちよみ®︎絵本講師
内田早苗





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?