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"歴史" 系 note まとめ

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2020年3月の記事一覧

歴史マンガセット 各社の比較(2020年版)

はじめに*歴史マンガセットの比較、2021年版を公開しました。この記事は2020年版で、古いものになっていますが、残しておきます。最新版はこちらへどうぞ。  先日「歴史マンガセット 主要四社の比較+α」という記事を公開しましたが、いろいろ追加しましたので、新しい記事にします。講談社、タイムワープシリーズ(朝日新聞出版社)、成美堂出版、朝日学生新聞社の歴史マンガセットを追加しました。出版年が古い順番に並べてあります。 小学館「少年少女日本の歴史」(1988年、平成版は2018

第1回 映画誕生前夜

さて、記念すべき「観ながら学べるサイレント映画史」の第1回ですが、さっそく映画史の大きな問題から始まります。みなさんは映画の歴史の始まりと言われていつを思い浮かべるでしょうか?映画史に詳しい方であれば、フランスのリュミエール兄弟がシネマトグラフをお披露目した「1895年」と回答されることと思います。この事実自体は歴史的に正しいのですが、ではそれでもって1895年が映画の誕生の年であると簡単に言い切ってしまっていいかというと、ことはそれほど単純ではないのです。 投影式シネマト

『#まいボコ』<はじめに>公開|日本推理作家協会賞ノミネート記念①|山下泰平

 第73回日本推理作家協会賞【評論・研究部門】の候補になった『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』(山下泰平)の<はじめに>を公開致します。 はじめに  書くはずのなかった人間が書く混沌とした本  部活を辞めた怖い先輩が、西田哲学の研究に没頭することはない。家に帰らない不良が、口語体の確立に文庫派作家がいかなる貢献をしたのか調査することもないし、密漁をシノギにする田舎ヤクザが大空詩人・永井

医学の歴史①紀元前の医学ってどこまで出来てたの?東洋医学と西洋医学の話。

今、医療は日進月歩で進化を続けています。 「人がより良く健康で長く生きる」 これは歴史上ずっと願われてきた事なのでしょう。 時代の権力者の多くが 地位も名誉も財産も手に入れたら最後に求めるものは 『不老不死』 だったと言うのだから、なんでも手に入る人でもそこだけは手に入れる事ができなかったのでしょう。僕が知る限り不老不死を手に入れたのは亀仙人のじっちゃんだけです。 そして、この「人がより良く健康で長く生きる」という願いが医学という形を作り、その願いの強さが医学の進化

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世界経済は推しから学びました。オタクなので推しを最大限利用しました

私は「推し勉強法」を推したい。推しだけに。 私なんかに質問してくださった方や経済について学んでみたいという方に捧げます。 こんにちは、Okakiです。 私が某お国ジャンルを好きになった頃、公式の更新が止まっていました。 『供給とは己で作るもの也』のモットーの中、国名が出やすいであろうとズブの素人ですが世界経済ニュース番組を毎朝一年間観続けました。 終いには「今日も公式からの供給があった!」と錯覚する程に感覚が麻痺していたので当時の自分はなかなかにヤバイ奴だ。 そして気が

軍制改革はなぜスウェーデンで完成したのか

第一章 問題提起  三十年戦争を代表する英傑の一人に「北方の獅子」グスタフ・アドルフを挙げることができる。彼はオラニエ公マウリッツが着手した軍制改革を完成させ、それで得た軍事力をもってスウェーデンを強国へ押し上げた。そして、彼の軍制は近代ヨーロッパのそれの基となる。 しかし、そこで疑問が生じる。何故、マウリッツの軍制改革はオランダでもフランスでもドイツでもなく北の辺境国であるスウェーデンで完成することとなったのであろうか?今回はスウェーデンが持っていた如何なる要素が軍制改革

浮世博史『もう一つ上の日本史 『日本国紀』読書ノート・近代~現代篇』「はじめに」公開

 2020年3月25日、幻戯書房は浮世博史著『もう一つ上の日本史 『日本国紀』読書ノート・近代~現代篇』を刊行いたします。  本書は2月既刊『古代~近世篇』に続く完結編です(『古代~近世篇』の「はじめに」と目次はこちら)。  近現代という時代は、前巻が扱う近世までと比べると、より「世界史と連動した日本史」「世界史の中の日本史」という観点が重要になってきます。と同時に、「歴史観」が「政治観」と重なりやすく、イデオロギーとも結びつきがちな分野といえるでしょう。デリケートな話題だと

『だから古典は面白い』:サポートページ

『だから古典は面白い 』(幻冬舎新書)が3月26日に刊行されました。 こんな時こそ、古典の世界に救いと安らぎを求めましょう。 これは、そのサポートページです。 内容は順次追加されます(太字で示したページが既公開です)。 ◇ 全文公開・「はじめに」 ・目次 ・第1章の1 ・第1章の2 ・第1章の3 ・第1章の4 ・第1章の5 ・第1章の6 ・第9章の1 ・第9章の2 ・第9章の3 ・第9章の4 ・第9章の5 ・第9章の6 ◇ 古典をイメージで見る

古典をイメージで見る:トルストイ『戦争と平和』

『だから古典は面白い 』(幻冬舎新書)が3月26日に刊行されました。 こんな時こそ、古典の世界に救いと安らぎを求めましょう。 ここでは、第2章で取り上げた『戦争と平和』をイメージで見ます。 ・ピエール・ベズーホフ(真ん中に立っている眼鏡をかけた男) ・ナターシャ、ピエール、アンドレイ ・ボロジノ会戦 ・ナポレオン ・ヤースヤナ・ポリャーナ(トルストイの生家) ◇ 読了日の記録(1958.1.3)

東大を志すあなたへー東大世界史2020第一問より

こんにちは、ねこです! 昨日に続き、今日も一つ記事を出したいと思います。今回は東大世界史2020第一問です! こちらも前回の倍以上と、非常に長くなってしまいましたが、問題の解説だけでなく、これから東大を目指す人に向けた抽象的な話もしていますので是非読んでいってくださいね! なお、この記事も一か月ほど前に書いたものであるため、常体となっております。ご了承ください。 1 はじめに 今年も東大入試の季節がやってきたわけだが、我々文系の人間にとって、東京大学が出題する世界史の

歴史とは何か#5:「History」の誕生④

<#4の続き> 「ペルシア戦争」という呼称は公正か?  ところで、高校世界史の教科書を見ると、これらの戦乱の事を必ず「ペルシア戦争」と呼んでいます。本稿ではギリシア・ペルシア戦争と記していますが、「ペルシア戦争」という呼び方は公正といえるでしょうか。  ペルシア帝国からすれば、ペルシアがかかわった戦乱はすべて「ペルシア戦争」です。ここで、この戦乱のみを指して「ペルシア戦争」と呼ぶのは、他でもなくギリシア諸都市がペルシアと衝突したことが由来です。つまり、ギリシア諸都市から見

「燃えよ剣」「坂の上の雲」…。いま改めて読みたい司馬遼太郎

日本でも週末の「不要不急」な外出自粛願いが政府や各自治体から出され、(奇しくも桜の咲いた都内で3月末に似合わぬ雪が降るなど)世界が、否、地球すらもコロナの収束に向けて意識を一つに合わせ始めている今、 少しずつではあるがアフターコロナや、1年の延期となったポスト東京オリンピックパラリンピックを見据えた動き、そのこと自体を考える人が出てきているように思います。 日経の特集でも各分野を代表するオピニオンリーダーが2030年の世界について語るインタビュー「#GO2030」が連載さ

歴史とは何か#3:「History」の誕生②

<#2の続き> ギリシア・ペルシア戦争でギリシア諸都市は勝利したのか? さて、ヘロドトスは、ギリシア・ペルシア戦争にギリシア諸都市が勝利したのは、民主制という成熟した制度を採る進んだ社会だったからである、と考えたわけですが、今回はまず、その前提について議論してみたいと思います。前提とは、「ギリシア・ペルシア戦争に勝利したのはギリシア諸都市である」という点です。  ギリシア諸都市が勝利した根拠とされるカリアスの和約(紀元前449年)は、その実在性を疑問視する声が絶えません。

歴史とは何か#2:「History」の誕生①

<#1の続き>  さて、本節「「History」の誕生」と次節「「歴史」の誕生」では、「歴史」という文化がいつどのようにして生まれたのか?を整理します。中でも本節では、西洋における「歴史」のはじまりに注目します。具体的には、英語の「History」という言葉がどこからやってきたのか?について考えてみましょう。 ヘロドトスとギリシア・ペルシア戦争 ヘロドトス(Ἡρόδοτος, Herodotus, 生没年不詳)は、古代ギリシアの歴史家です。彼は、「歴史の父」とも呼ばれます