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漫画から学んだ愛の話。「山田くんとLv999の恋をする」が好きすぎる。

「山田くんとLv999の恋をする」という漫画が、これまでの、どんな少女漫画にも描かれてこなかった“真理の愛”を教えてくれたーー。

※単行本以降、GANMA!連載のネタバレ含む

GANMA!で連載中、ましろ先生によるラブコメ漫画「山田くんとLv999の恋をする」が好きで、好きで、たまらない。

こんなに好きになった漫画は、初めてだ。
一度読んだら、そう読み返さないわたしが手元のファッション雑誌を捲るように何度も何度も何度も……何度も繰り返し単行本を開いては、「山田くんとLv999の恋をする」の世界観に浸っている。

少女漫画だけれど、どこか少女漫画らしくない。王道でベタな展開がきそうでこない自然な日常と、漫画ならではの特別な非日常が絶妙に混ざりあったストーリーが、心を鷲掴みして離さないのだ。

ページを捲る手をたびたび止まらせる美しい絵柄。

キャラクターたちに語らせすぎない余白の上手さ。

ベタではないのに、読者が求めているものをドンピシャでくれる供給力……もう、ましろ先生の手腕が高すぎて「虜」なんて言葉で表現するのはもったいないくらいに、とてつもなく、好き。

好きなシーンは語りきれないほどたくさんあるのだけれど、なかでも1番好きなのは、GANMA!第80話「くだらないよ」。

タイトル通り、茜ちゃんが抱えていた不安に対して「くだらないよ」と山田くんが一蹴するシーンだ。

一見、冷たそうに聞こえる「くだらないよ」という言葉。だけれど、これほど優しくて愛のある言葉なんてきっとほかにないな、と思う。

だって、「山田に嫌われたんじゃないか」と不安がる茜ちゃんの気持ちを知って山田くんが思うのは、「嫌いになるわけがないのに、どうしてありもしない未来を思い浮かべるんだろう」という、疑問だから。

山田くんのなかで、茜ちゃんが好きという気持ちは紛れもない事実で、覆ることのない真実で、全くの疑いようもない気持ち。

だから山田にとっては「なんだ、そんなことか」と「深刻なことじゃなくて良かった」と、安堵するような「くだらないこと」なのだ。

茜ちゃんが笑っていること。

山田くんにとって何よりも大切なことが守られるのであれば、他のどんな事柄だって些細なことでしかないのだ。

よくわからない恋愛映画に付き合うことも、好みではない香水を肯定することも、すべて「些細」なことだと言える山田くんの価値観が、とても美しくて、そしてものすごく、共感してしまう。

だって現実世界でも、その通りだと思うから。

じぶんが好きな人が笑っていて、しかも一緒に笑い合えていなければ意味がない。

どれだけお金があったとしても、高級住宅に住んでいたとしても、好きな人が側で笑っていてくれなきゃ意味がない。その他のことなんて、ほんの些細なこと。

ーーどうでもいい、とすら思えてしまう。

その証拠に、どんな時だって好きな人に話しかけられたら、顔も体もその人を向いて言葉を受け止めたいと思ってしまうし、仕事中でも、ラジオを聴いているときでも、お気に入りのアニメがクライマックスを迎えていても、どんな瞬間でも遮られたって構わない。

だって、有限な人生の時間を1秒でも長く好きな人と過ごしていたいから。

昔、職場の上司に「彼の嫌なところ教えてよ」と言われたことがある。まったく美しくない質問だなと呆れてしまうけれど、そういう話題が好きな人だったから、わたしは何かあるかな、と少し本気で考えてみた。

だけれど、これが本当に、一つも出てこないのだ。もちろん一緒に生活していれば、何かしら思うことは出てきていると思うのだが、わたしにとっては、ほんの些細な出来事でしかない。どうでもいい、ちっぽけなことなのだ。

だからこそ、好まない匂いの香水でありながらも、嬉しそうに笑う茜ちゃんの笑顔を見て嘘をつく山田くんに、わたしは心の底から共感してしまうのだ。

そして茜ちゃんが別れ話をされると勘違いして不安がっていたときに、「くだらない」と一蹴できる山田くんに深く感心もしてしまう。

山田くんの価値観に共感しながら、その潔い行動に感心と尊敬の念まで抱いてしまうのだ。

だって、山田くんと価値観が似ているからと言って、わたしは山田くんのようにクールで、気遣いができて、誰かを守ろうと動けるような人ではないから。山田くんよりも感情は激しいし、大雑把だし、虫がいたら我先に逃げるような小心者だ。

だけれど、今日をきっかけに、もう1歩、思いやりのある大人になれたらいいなぁと、思う。

大人になると学生時代のような節目のイベントもなくなって、成長の概念が仕事の力量によって測られがちだけれど、きっと内面だって、もっと成長できるはずだ。

今までは「仕事の場でどう成長するか」ということばかり考えてきたけれど、これからは日常生活を生きる「ありのままのわたし」が、より好きな人を笑顔にできる人になれるように、何かできることはないのか探してみたいなと思う。

とりあえず、後回ししてしまうクセを直してみよう。それから、問題にぶつかってから考えるのではなくて、ぶつかる前にスムーズに運ぶよう下調べができると良いだろうなーーと、思う。

ほかにもきっと、何かあるはず。

でも、きっと正しい答えなんてない。日が経つごとに答えの形も変わっていくのだと思う。だけれど、少しでも前向きに変わろうと挑戦しながら生きていくことが、思いやりのある大人へ近づく1歩な気がする。自己満足で終わる可能性もあるけれど、やらないより、絶対やったほうがいいことだ。

まさか「山田くんとLv999 の恋をする」を読んで、こんなに深く思考するとは思ってもいなかった。
とにかく、わたしの心に深く優しく突き刺さってきたこの作品を、わたしはこれからもずっと大切にしていきたいと思う。

ましろ先生、素晴らしい作品を生み出し続けてくれて、本当にありがとうございます。ずっとずっと、応援しています。

あぁ、「山田くんとLv999 の恋をする」が好きすぎる。

by セカイハルカ
画像:pasteltimeさん(優しい気配が漂ってきて癒やされます♡)

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