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一からわかる円安 進む円安 どうなる日本⁉

先日1ドルが135円になりました。これは約25年ぶりの水準です。なぜここまで円の価値が下がっているのか。今後下がり続けるとどうなるのか。そもそも円安とは? 一から分かる円安についてです

1 円安・円高とは?

 そもそも円安・円高とは何でしょうか。何となくわかる、聞いたことはあるという人が大半だと思います。
 日本銀行のホームページでは円安のことを

円の他通貨に対する相対的価値(円1単位で交換できる他通貨の単位数)が相対的に少ない状態

教えて日銀 円高、円安とは何ですか?より引用

と説明しています。しかしこれでは非常にわかりにくいです。

ここで車で考えてみるとわかりやすいです。
例えば、ここに100ドルの車があります。1ドル100円の時、この車は10000円となります。では、1ドル200円だとどうでしょうか。車の値段は20000円となります。
円の価値が下がり、1ドル200円になったことで、車の値段は10000円値上げしたのです。
このように円の価値が下がったことを円安と言います。

海外から日本へ物を輸入するときは円高のほうがよいです。
1ドルのタオルを輸入するときに、1ドル100円の時は、100円で購入できます。1ドル200円の時は、同じ1ドルでも200円払わなければなりません。これでは原材料のコストの増加につながります。
現在の円安による物価高はこのような理由があります。

ここまで聞くと円高、つまり円の価値が高いほうがよいではないかと思います。しかしそうではありません。円安にもメリットはあります。

2 円安のメリットデメリット

 円安のデメリットは先ほども説明したように、海外から物を輸入するときにコストがかかってしまうということです。
 では円安のメリットは何でしょうか?輸入するときにコストがかかるならば、その反対、輸出するときのコストはどうなるでしょう。

1000円でタオル販売したいとします。1ドル100円の時は10ドルで販売しなければなりません、1ドル200円の時は5ドルで販売できます。
つまり円安の場合、輸出した品を安く販売できるのです。総じて、海外での販売が向上し、売り上げ向上につながります。

これは旅行に関しても言えます。日本人が海外でうどんを食べるとします。10ドルのうどんがあった時に、1ドル100円の時は1000円で食べれますが、1ドル200円の時は2000円もかかります。
なので円安の時は海外旅行に行く際にコストが多くかかってしまうます。

一方で外国人が日本に旅行しにくるときではどうでしょうか。1000円の扇子を外国人が購入するときに、1ドル100円の時は10ドル払わなければなりません。1ドル200円の時は5ドルで済みます。
つまり円安の時は外国人からすると日本の商品の値段が下がる、つまり外国人の購入率が上がるのです。

今、日本は2年以上外国人の入国を制限しているため外国人の購入により経営を保っていた店は危機的状況になっています。
コロナが落ち着いてきて岸田総理は外国人の入国規制緩和を発表しました。国内でのインバウンドが期待されています。

先ほども説明した通り、円安だと外国人からすると物の値段が安いと感じます。今後日本に外国人観光客が増えることが予想されます。円安は外国人観光客に多く来日してもらうためのいい手段です。

3 悪い円安・いい円安

 ただし、今の円安は悪い円安と言われています。一時的な円安はコロナで落ち込んだ経済を外国人観光客を利用し立て直すには非常によい手段の一つです。
 ただ、長期的な円安はむしろ日本経済にとってマイナスの側面のほうが大きいです。円安が続くと物価上昇が続き、日本国内の消費が落ち込みます。日本人はただでさえ貯蓄民族と言われるほど、消費が少ないです。
 円安が長期的に進み、物価狂乱とも言われるレベルになってしまうと、生活困窮世帯が増加します。コロナで給料が減少したという家庭が多い中での物価上昇は非常に危険です。現在の円安が悪い円安と呼ばれるのはこのためです。

4 そもそもなぜ円安に?

そもそもなぜこのような円安になってしまったのでしょうか。
その原因は、アメリカと日本の金利差にあります。この話は非常に難しい話ですので、飛ばしもらっても構いません。

まず金利について説明します。簡単に言えば金利とは利子のことです。同じと考えてもらって構いません。
金利が1%だとします。その場合、100円を借りたら、100×1.01=101円にして返さなければなりません。利子と同じです。

仮に皆さんがお金を借りるとして、金利100%のところと、金利1%のところどちらからお金を借りたいですか?
多くの人は金利1%から借りると思います。金利100%の場合、貸したお金を倍にして返さなければなりませんからね。

話が少し変わりますが、日本は長年不景気です。いわゆるデフレ状態です。デフレのループについて説明をします。

まず、会社の儲けが減ります。すると会社の社員の給料も減ります。給料が減ると物をあまり買わなくなります。物が買ってもらえないと会社は儲けが減ります。すると社員の給料が減るのです・・・

これがデフレのループです。まさに今の日本はこの状態です。では約30年前のバブル時代のインフレとはどのような状態だったのでしょうか。

まず会社の儲けが増えます。すると社員の給料は上がります。給料(ボーナス)が上がると物を買います。物が買われると会社の儲けは増えます。そして再び社員の給料はあがります。

これがインフレです。一見するとインフレのほうがよいように感じますが、インフレになると物の値段が上がっても需要が減らないので物の値段が上がりやすくなります。デフレは反対で値段がどんどん下がり続けます。

日本は長年のデフレで物価は世界的に見ても低いはずなのに、日常生活で安いと感じることはすくないです。その理由は物価も下がるし、給料も下がっているからです。

では日本政府は日本がずっと不景気で、永遠にデフレの状態を眺めているだけだったのでしょうか。いいえ、違います。政府は金利を下げるという政策を行いました。
金利を下げるとどうなるでしょうか

まず金利が下がる。すると企業は銀行からお金を借りやすくなる。企業が新事業に成功すると儲けが増える。社員の給料が増える。物の消費が増加する。物が購入され、企業が儲かる。そして社員の給料が増える。

つまりインフレ状態にするのです。この金利を下げたのがアベノミクスです。ただしあまりうまくいかず、今も日本はデフレの状態でしかも金利も低いままです。しかしここで急に金利を引き上げるとよりデフレが進行してしまうので、今のような低い金利のままになってしまうのです。

一歩でアメリカは、コロナウイルスで落ち込んだ経済を立て直すために、ゼロ金利政策。つまり金利をほぼ0状態にしたのです。するとこの政策は大成功。アメリカはインフレ状態になりました。ところがインフレになりすぎて、物価の上昇率が給料の上昇率を上回ってしまったのです。

そこでアメリカは急いで金利を引き上げました。そして今日、アメリカは金利を0.75%大幅に引き上げました。これは約30年ぶりです。

では金利があがるというのはどういうことでしょうか。日本の銀行はお金を預けていても全然利子がつかない。というのは有名な話で。昔は銀行に1億預けておけば一生暮らしていけるだけでの利子がついたという人もいます。実はこの銀行の利子は、金利と同じなのです。

つまり金利が高いアメリカドルを購入し、アメリカの銀行においておくとアメリカの金利は高いので大量の利子が付くのです。何もしなくてもアメリカドルを購入し、銀行においておくだけでお金が増えるのです。これにより日本の円を売り、ドルを購入するという行動につながっているのです。

当然多くの人が円を売れば、円の価値は下がります。これが円安の真実です。

5 まとめ

・円安とは円の価値が下がることである。
・円安になると輸入品や国外の物の物価が上昇する
・円安になると輸出品の値段が下がり、外国人による消費が増える
・日本の金利が低いのは、デフレを改善するため
・アメリカはインフレ抑止のため金利を引き上げている
・円安はアメリカと日本との金利差によっておこる

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