#9 読書を思考する「地域医療」★3:『神様のカルテ:夏川草介』(2022-09-03-②05)

★内容紹介(裏表紙より)

栗原一止は信州にある「二四時間、三六五日対応」の病院で働く、悲しむことが苦手な二十九歳の内科医である。職場は常に医師不足、四十時間連続勤務だって珍しくない。ぐるぐるぐるぐる回る毎日に、母校の信濃大学医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば最先端の医療を学ぶことができる。だが大学病院では診てもらえない、死を前にした患者のために働く医者でありたい…。悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。二〇一〇年本屋大賞第二位、日本中を温かい涙に包み込んだベストセラー、待望の文庫化。
《小学館文庫:内容紹介(裏表紙より)》

★『神様のカルテ:夏川草介』を読んで…

「24時間365日」信州地域医療を担う本庄病院で寝る間を惜しんで働く5年目の内科医一止。築50年を超える二階建ての木造家屋「御嶽荘」に妻榛名と二人で暮らす。ある日最先端医療の大学病院から誘われて…。
一般診療から救急医療まで。終末医療も請け負う地域医療の基幹病院である本庄病院。様々な医療に従事し適切な処置を施す医師はまさにスーパーDr。多忙極める医師や看護師。多岐に亘る病気に患者も多様。患者、医師、看護師、病院それぞれの信頼関係なくして地域医療を担えない。”大学病院で先端医療を学ぶか多忙な地方の基幹病院で地域医療に生きがいを感じるか…患者と接し大切な何かを学ぶ…”
本庄病院の医師、看護師、患者、「御嶽荘」の住人、そして最愛の妻。登場する人物はどれも個性的。これら人物のキャラ設定が心地よさを醸し出す。温かい作品です。

★”地域医療”…

近年日本では少子化が進むと共に高齢化も進んでいる。高齢化が進むということは医療体系も高齢化に伴う医療へのスライドが必要となる。人は高齢化に進むにつれ身体に何かしら悪いところが現れてくる。ということは医療に携わる人も増えなければならない。また当然の如く介護される人も増加し介護する人も増やさなければならない。反面、少子化が進むということは医療・介護に携わる人が増加し難くなるという乖離問題が発生する。”高齢化に伴う医療・介護される側の増加と少子化に伴う医療・介護する人の減少”。相反する問題。同様に地方では人口が減少しつつ高齢化が進むという問題すなわち”高齢化に伴う医療・介護される側の増加と少子化に伴う医療・介護する人の減少”が都市部に比べ顕著で医療・介護における問題として深刻化が進んでいる。”深刻化する地域医療””地域医療”について調べてみた…。

☆地域医療について

地域医療とはコトバンクによると

地域住民の健康維持・増進を目的として、医療機関が主導し、地域の行政機関・住民・企業などが連携して取り組む総合的な医療活動。疾病の治療・予防、退院後の療養・介護・育児支援など幅広い分野に及ぶ。
《デジタル大辞泉より》
地域住民の健康の維持を目的として取り組む医療活動。国の医療計画のなかで、医療が主体的に実施される場として地域をとらえ、医療対策を地域内で完結して行う。
《日本大百科全書(ニッポニカ)より》

とある。”地域医療は都市部地方に関係なくその地域での地域住民の健康維持を目的とした医療活動”のことのようである。その地域を地方で考えた場合が”地方地域医療”ということか。医療活動の連携は医療・行政・住民・企業等が必要とされ、それらの連携が密に効果的に作用して”地域医療”が成り立つものとなる。都市部では多種多様な連携で”地域医療”の仕組み作りが構築し易いがこと地方となると限られた資源(医療・介護機関や人材等)で如何に効果的な”地域医療”の仕組み作りを行うべきかという課題は都市部に比べ大きな問題となる。

”地域医療”について興味を抱いた方はこちらをクリックしてみて下さい。↓↓↓

コトバンク”地域医療”

Wikipedia”地域医療”

☆地域医療の活性化について

地域医療の活性化には”患者”と”かかりつけ医(地域医療機関)”と”公社の病院”の連携が欠かせない。患者と医療機関との医療情報の収集提供、かかりつけ医と公社の病院との連携が求められる”地域医療”。これら連携が成り立ち活性化する為の”地域医療を活性化するために必要な要素”は3つあるようだ。

・かかりつけ医を見つける…かかりつけ医により適切な医療機関への紹介が可能
・在宅医療の充実…
医師や看護師が自宅に訪問して診察を行うことで通院困難な患者さんの自宅での療養が可能
・医療従事者の確保…
医療従事者確保に向け様々な補助金制度を設ける等取り組みを活性化

”地域医療”で検索したら一番最初に出てきたサイトはこちらです。↓↓↓
”地域医療の活性化・取り組み”について参考になりますね。

☆医療従事者の確保について

”かかりつけ医”と”公社の病院”との連携はネット環境等情報共有の為の仕組みが進化する中連携構築が進むものと思われる。問題はやはり”人材か?””医療従事者を如何に確保し地方地域医療を構築してゆくのか?”が課題となるだろう。補助金制度だけでは限界がある。”医療従事者確保の為の施策”が求められる。

”医療従事者の確保”については厚生労働省から2017年7月にPDFにて次の資料が発行されています。↓↓↓。

医療従事者の確保について

また日本看護協会からも2021年3月に要望が出ているようです。↓↓↓。参考になりますね。

新型コロナウイルス感染症対応で厚生労働大臣に要望

◎つぶやき…

医療系小説『神様のカルテ』。そこには”地域医療”についても触れられている。”地域医療”は都市部地方関係なくその地域での医療活動。都市部と地方とを分けて考える場合は”地方地域医療”というべきなのか。今まで地方での医療を”地域医療”と思っていた。誤解である。しかし地方ほど”地域医療”の難しさが顕著であることには変わりない。”地方地域医療”ではやはり”医療従事者の確保”が最重要課題の様に思われる。地方で人材を確保することこそ難しい課題はない。人が生きてゆくのに欠かせない医療活動。必要なのは《産官学+人》の連携か。《産官学+人》が寄り添い連携してこそ成り立つ”地域医療”。その問題の根底には”少子化問題と高齢化問題”がある。”少子化問題と高齢化問題”は医療だけの問題ではない。

”少子化問題と高齢化問題”解決にこそ明るい未来が待っている

のかもしれませんね。


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