束の間の親切心で満ちた空間をバーミンガムの深夜に。
空港へ向かう最終バスに乗ろうと、一心不乱に駆け抜けたバーミンガムの深夜23時。
目と鼻の先にバスは見えるというのに、あと一歩のところで置いてけぼりにされた。
「おいおい、これはまずいんじゃねーか。」
と意気消沈していたその瞬間、どういう訳か、僕のすぐ側に乗用車が止まった。
突然車の扉が開き、“Do you wanna go next stop? Will you ride on this car mate?”(次のバス乗り場まで乗ってくか?)
と声をかけられた。
乗させて頂く以外の選択肢なんてあるわけがない。迷わず僕は、
“Are you sure? I want to ride with you guys. I’ll never forget your kindness. Thanks!”(ほんまですか。乗りたいです。ほんまに皆さんの親切忘れません。ありがとうございます)
と答えて有難く車の扉を閉めた。
運転席と助手席にマダム。後部座席の中央と右側にその娘たち。僕が乗ったせいでギュウギュウ詰めになったのもお構いなしに、彼女たちはスペイン語で会話を続けていた。
“Oh you guys speak spanish? ‘Me llamo Sei. Encantado!’”(おー、皆さんスペイン語話されるんですね。僕の名前はセイっていいます。よろしくね!*スペイン語で)
すると車内は大盛り上がり。その後も出身は日本だと言えば素敵だと言われ、今からオランダに行くと言えば羨ましいと言われた。
優しさで満ちた束の間の素敵な五分間。
降車時に
”Thank you so much. Take care!”(本当にありがとう。気をつけてね。)
と伝えると、
“You too!”(あなたも気をつけてね。)
と言われて去ってった。
治安が悪いだの、移民が多いだの、ネガティブな評判が聞こえがちなイギリス・バーミンガム。
実際は素敵な人たちで溢れる愛しい街。
彼女たちの優しさを僕は決して忘れないだろう。