2022/08/08 カスタードをなんとしてでも食べたい。
友だちが貸してくれた『カスタード』という小説を帰宅途中の電車で読み終えた。序盤にはあまり面白味を感じていなかったが、後半に進むにつれストーリーが繋がり、一本取られた最高の物語だった。
小説の題の『カスタード』というワードに食欲をそそられ、電車の乗り換えのところにある行きつけのたい焼き屋さんで、カスタード味のたい焼きを買うことに決めた。ショーケースを見てみるとチョコやあずきのたい焼きは売られているが、カスタード味のたい焼きだけが売り切れている。その時の僕はカスタード以外の食べものを食べる気にはなれなかったので、仕方なくコンビニでカスタード関連の食べものを探してみることにした。
「絶対にカスタードを食べてやるんだ」と強い気持ちをもって虎視眈々と商品棚を行ったり来たりしていると、カスタードとパッケージに書かれた、280円と少しお高めの価格で販売されている、これまでに見向きもしなかったフランスパンを小さくしたような不思議な食べものが目に留まった。この機会を逃したら買うことはないだろうと思い、初めて目にしたその商品を手に取り迷うことなくお会計へと向かった。そして口の中に入れてみる。
おいしい。これは革命だ。クリームのようなホイップが口の中にどんどん広がっていく。パンの堅さもいい具合だ。こんなにおいしい食べものがコンビニで売られているということを、遅ればせながら知ってしまった。
しかしひとつどうしても疑問に思うことがある。まったくカスタードの味がしないのだ。これは何かおかしいなと感じ、もう一度パッケージを見直してみた。
そこに書かれていたのは、『カスクート』という文字だった。カスタードとただ名前が少し似ているだけの、カスタード要素は何ひとつないただのあんバターのパンだった。
少しばかりの恥ずかしさ、そしてもどかしさと悔しさ。これは話のネタにできるなという嬉しさ。様々な感情が一瞬にして僕の心を駆け巡った。
後輩にこのことを話すと「今日も切ないな」と言われた。そう言われても仕方がない気がする。
今日も ってなんやねん。
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